村越正海さんの「人生最髙フィッシング」。思い出深い釣りを振り返ってもらいながら、それを通して学んだことや魅力について語ってもらった。
(アイキャッチ画像提供:村越正海)
釣るまでの過程を楽しむ
むしろ、この期間が一番楽しいんですよ。釣りって結果より”どうやって釣れたのか”が大事だと思います。最近では「〇〇が釣れているから移動しよう」とか「〇〇はあまり釣れていないから行くのをやめよう」とか、経過を楽しむ感覚は少なくなってきていますよね。
仮に、千葉の富津でシーバスを狙っていて釣れなかったとします。そうすると今は、SNSなどで仲間から「洲の崎で釣れているよ」という情報があるとすぐに移動してしまうけど、釣りをしながら「この風向きなら洲の崎のほうが釣れるんじゃないかな」と思って移動して釣ったほうが、間違いなく面白いでしょ。
情報が少なかったから楽しめたのかもしれないけど、釣りって、その過程が面白いんだと思う。ただ、一人だったらもっとかかったと思う。仲間には感謝してます。
83年に、現場で顔見知りになった人だけで「シーバス・ファイティング・クラブ」を作りました。会のルールは「情報と釣り場は隠さないこと」。情報は共有して、もっと釣れるようになろうという考えでした。
釣りは誰にでも楽しめるもの
釣りってやっぱり大衆のものだと思う。
地位や職業などは関係ない。社会には自分のワガママをどれだけ通せるかで、優位性を保とうとする人がいるけど、そういうのは自然を相手にする釣りには通用しないからね。
あらためて、釣りは誰にでも楽しめるものだということを知ってもらいたい。
私が電動リールを使わない理由は「高価な電動リールがなければ釣りができない」と思ってほしくないから。マルイカなど浅場の釣りをやっていて「じゃあ、次はヤリイカもやってみよう」となったとき「電動リールがないからできない」と思ってほしくないからね。
また、ここ数年カワハギ釣りではスピニングリールを多用しているんだけど、これもシーバスやブラックバスのルアー釣りを楽しんでいる人にも「手持ちの道具でできるんだよ」というメッセージです。
メディアやメーカーなど釣りに関わる人たちは、釣りは誰にでも楽しめる物だという本質を忘れてはいけないと思います。
村越正海プロフィール
1958年生まれ。神奈川県出身。フィッシングライター兼、プロフィッシャーマン。釣りメディアでの執筆、出演にとどまらず一般紙にも連載を持つ。