波止でのグレ釣りは、ウキ下の調整が釣果に直結します。そこで、今回は初夏の波止グレ釣りでのウキ下調整法を3パターン紹介しましょう。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・兵頭良弘)
波止グレ釣りはウキ下2ヒロ?
晩春から初夏の時期に波止グレを狙う場合、どのようにしてウキ下を決めて釣りを行えばいいのでしょうか?案外「グレ釣りなので2ヒロ前後」と答えられる方が多いのではないかと思います。確かにこの時期のグレ釣りは水温の上昇で就餌層も浅くなり、そんなにシビアなウキ下設定をしなくても割と簡単に釣ることができます。
しかし、それはあくまで様々な海の諸条件(潮流、水温、エサ取りの種類など)が揃った時の釣果であり、決して釣行の度に「ウキ下を2ヒロにしておけばグレが釣れる」と言うわけではありません。
そこで今回は、波止のグレ釣りにおけるウキ下の設定方法について考えてみましょう。
グレが釣れれば聞かれるウキ下
私がこの時期によく通う、兵庫県淡路島の岩屋一文字では30~35cmのグレがコンスタントに狙えます。そして、釣りをしていると必ず良型を釣り上げた時に聞かれるのがウキ下です。「今のグレ、何ヒロで釣れたん?」、「タナは2ヒロぐらいか」と問いかけられるのです。
確かに1日の釣りにおいてウキ下が2ヒロで食ってくる時間帯もありますが、前述した諸条件が時間の経過とともに変化すると、それまで2ヒロで食っていたグレのタナが突然、4ヒロに深くなったり、1ヒロと浅くなったり、目まぐるしくかわるものです。
ただ、グレ釣りの醍醐味、面白さはこの刻々と変化する状況を読んで、グレの動きを推理すること。そして、それに対応したウキ下や仕掛けを合わせることで得られる結果に対して比例するものだと考えます。
ウキ下調整法
では、私が行っている3つの具体的なウキ下設定方法について紹介したいと思います。まず、最初はエサ取りの遊泳層を基準にしたウキ下の設定方法です。
1.エサ取りの泳層から判断
スタート時、海面にまきエサをマキエシャクで10杯近く入れると、エサ取りがワ~ッと湧き上がってきます。そのエサ取りが群れる層を基準とし、例えば海中1ヒロ前後でまきエサを拾っているようなら、ウキ下2ヒロで釣りを始めます。
しばらくしてさしエサがすぐに取られればウキ下を半ヒロ縮め、それでもさらに取られるようならまた、半ヒロ浅くします。逆にさしエサが残るようであれば半ヒロ下げて、さらにさしエサが残ればまた、半ヒロ下げます。
このように、さしエサが残るか残らないかの微妙なタナを探り当て、ウキ下をそのタナに設定することで、グレに口を使わせるチャンスを広げようとする、もっとも基本的なウキ下の合わせ方です。
2.ハリの掛かり位置で判断
次は磯のグレ釣りでも良く使われている設定方法です。それは魚を釣り上げた時のハリの掛かり方で判断する方法です。これもよく会話の中で出てくる言葉ですが「あかん、ハリ飲まれたわ」、「それ、ウキ下が深いからやで」と言うような会話を耳にしたことはないでしょうか。
ウキ下の設定方法おいて、このハリ掛かりする位置でグレのタナを推理し、ウキ下を合わせる方法はもっともポピュラーで、手元で確認しながら行えるやり方なのです。
会話の例えのようにハリが飲まれた場合は、ウキ下が深いと判断して半ヒロ上げる。ハリが上顎に掛かる時はウキ下が浅いと判断し半ヒロ下げる。ハリが上顎と下顎の合わせ目、いわゆる閂(かんぬき)に掛かる場合はウキ下が合っていると判断します。釣り上げた魚のどの部分にハリ掛かりしているかを確認してウキ下を設定するのです。
なお、ウキ下の調整に当たって行う上げ下げの間隔は人により差があり、グレの食いが渋くなる寒の時期ほど数cm単位でシビアに行い、今の時期は魚の活性が高いこともあるので、比較的、大胆に行っても大丈夫でしょう。
3.ウキの動きで判断
最後はウキに出るアタリで判断する方法です。ウキ下を調整する上で、私が目で見てグレのタナを推理するアイテムがウキです。ターゲットとなる魚がハリ掛かりして走り出すと、ウキは海中へ消し込まれます。その際、ウキの入る角度、スピードなどによってウキ下の調整を行う方法です。
尾長グレと口太グレではアタリの出方に違いがありますが、ここでは一般的に、波止で釣れる口太グレのアタリを想定してみます。
ウキが横走り気味に消し込まれるようなアタリが出る時は、ウキ下が浅く、ウキが斜め45度にスーッと消し込まれる素直なアタリが出る時はウキ下が合っている。水面下でウキがモゾモゾとしたり、半ヒロから1ヒロ沈んだところでウキの沈降が止まる時などは少しウキ下が深いと判断。それぞれの状況に合わせてウキ下を上げたり下げたり調整を行います。
ウキ下調整の要因は複雑
今回、紹介した以外にもウキ下を設定するにあたって、参考にしたい要因には、潮の濃度や透明度、水温や潮の干満時間など様々な要素があります。
それらの要素全てを加味することは無理としても、釣果が出ない時にいろいろな側面からグレの食いそうなタナを推理し、結果を導き出せる引き出しを一つでも多く持っておくことは波止のグレ釣りでも重要なことなのです。
<兵頭良弘/TSURINEWS・WEBライター>