購入時の電動リールは、軸受け部分などの動作部が油っぽかったり、グリスが塗布されています。使用や洗浄を繰り返すうちに、これらは流れ出してしまうため、定期的に注油やグリスアップが必要。今回は、分解せずに実施可能な注油&グリスアップについてリールメーカーが推奨する方法を基に解説。
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なぜメンテナンスが必要なのか
そもそも、なぜ注油やグリスアップが必要なのだろうか。主な理由は以下の通り。
・動作を円滑にし、購入時の性能を維持するため。
・動作や回転を繰り返す部品にかかる負荷を軽減し、重要部品の故障や破損を防止するため。
性能維持たけでなく、故障や部品に掛かる負荷を減らし、製品を長く使うためにも「定期的に行う必要がある作業」だということを意識したい。これらを怠ると、せっかく購入した愛機を早くに手放してしまうことになるかも。
素人の分解整備は禁物
各メーカーは個人の分解整備を推奨していない。本項では、洗浄後に行うことができる簡易的な注油とグリスアップを紹介。これだけで回転性能などが良好しない場合は購入店やメーカーになどに相談し、オーバーホール(分解整備)を依頼することを勧める。作業期間は、持ち込みから2週間~1カ月ほど。
高価な製品だけに、素人作業で部品を破損、紛失させては逆に高くつく結果につながる。そういった意味でも、本項では以前にも紹介した洗浄作業のあとに行う、定期的な簡易メンテナンスを紹介する。
用意するもの
メンテナンスを行う前に下記の道具を準備しよう。
・オイル(SSRO―1※撥水性能のあるアームローラーには使用厳禁)
・グリス(DG15)
・小さいはけ(筆や綿棒などでも代用可)
・キッチンペーパーやウエス
メンテナンスの前の下準備
オイルやグリスは粘度があり、ゴミや異物を拾ってしまいやすい側面がある。そのため、作業するリールは前号で紹介した洗浄作業が完了している必要がある。また、異物混入を防ぐため、作業する周辺は清潔に保ち、奇麗なウエスやキッチンペーパーなどの上で行うと、注油しすぎた場合の液漏れで汚れることを気にしないで済む。
オイルの注油は3箇所に
主な注油箇所は以下の3つ。
1.ウォームシャフト勘合部
ウォームシャフト勘合部は購入時、グリスが塗布されていることが多いので、グリスのほうがいいように思うが、海水などが付着しやすい部分なので定期的に注油する。
2.ダイヤルレバー部
ダイヤルレバー部は隙間から水が浸入しやすく、これが固着してしまうと、巻き上げを止めたつもりが、レバーが戻りきらず、巻き上げを続けて竿を破損させたり、余計な電力を使ってしまうことになる。動作確認と併せて確実に行いたい。また、レバー部の隙間は狭いため、粘度の高いグリスよりも、隙間から液状のオイルを染み込ませるほうが効率的。
3.本体取り付けネジ頭
さびを防ぐために行い、金属間で移るので注意。例えば、台所の流し台に空き缶を置いたままにしていたら、シンクに丸い形のさびが……なんて経験した人もいるはず。さびを移さないためにも、各ネジに行いたい作業。
本体を留めているボルト(ネジ)を見落とさないようにしよう。
4.オイルをなじませる
最後にリールのハンドルを回してオイルをなじませよう。