5月を迎えフライはいよいよシーズン本番に突入する。今回はこれから初夏にかけて効果的なフライを状況別に紹介し、その中からロイヤルコーチマン似のドライフライの作り方を解説する。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・森宮清釣)
初夏のフライフィッシング
初春の釣り荒れた渓流も初夏を迎えると、チビアマゴが浮かれだして楽しませてくれるのだが、これは漁協が放流した物と、自然ふ化したアマゴに分かれる。漁協放流は、おおまかだが林道終点までが多いが、自然ふ化したものは里川から人の入れない奥の奥まで生息し、水生昆虫や陸生昆虫を捕食しながら成長していくのだ。
フライフィッシングの対象となるのは里川(人家の点在する周辺)。細い渓流は樹木に覆われてキャスト困難になるので、ある程度川幅のある所までが釣り場となるだろう。
状況別効果的なフライ
さて夏の渓で釣るわけだが、扱いやすいのはニンフフライ。水の澄み切った渓ではフェザントテイルを用いたニンフやブラック系統のやや硬めのマテリアル(イロハ)を用いたニンフ、釣り始めや水底の見えない河川では、マラブー(ニホヘ)で作成したウエット(ニンフ含む)がお勧めだ。注意点は、必ずフライの上30cmくらいに小さなシンカーを付けること。
雨の中とか雨後の濁った水の場合、ニンフはホワイト系統やクリーム、オレンジ、ドライはCDCやパラシュート、エルクヘアーカディスなどに好反応を示すが、普通はパラシュートやエルクヘアカディスだ。この二つはいつでもどこでも使えると思ってもいいフライだ。
管理釣り場のフライフィッシングエリアで楽しむ場合は、水深20cm未満の流れのあるポイントでは、8Xのティペトでミッジを使うとよく釣れる。カラーは黒や濃いグレー、フェザントティルで作ったものなどがいい。ただし、大物が釣りにくい欠点がある。
深い所の場合、「絶対」なのはマラブーのブラックやレッド、グリーン系統だろう。他ではメイフライニンフやフストーンフライなどのリアルニンフがお勧めである。
ロイヤルコーチマン似のドライフライ
ドライフライを使う場合に要注意なのが、キャスト時のスピン。まずキャストしてみて、ティペットに捩れがないか確かめること(ニンフも同じ)、怠るとティペットやリーダーが使えなくなることがある。
今回作り方を載せたのはロイヤルコーチマン似のドライフライだ。本物はハックルの上に白い耳に似たウィングがあるが、これを付けるとバランスが崩れ、キャスト時に捩れるから省いてある。
テイルも本来はゴールデンフェザントティペットを使うのだが、高価なのでフェザントテイルにした。他の物を流用してもいいと思う。使用する前にテイルに薄くオイルを刷り込んでおけばいい効果が得られ、初夏から初秋にかけて、主に午後からは重宝するドライフライである。
素材
使用する素材は、フェザントテイル、スレッド、赤いフロス、ピーコックハール、ハックル(ジンジャーがお勧め)、ヘッドセメント、ドライフライ用フック#12。ハックルは止める時に抜けない様に両方を数ミリカットしておく(イ)。ハックル幅を多く取りたい時は、片側を除去しておけば綺麗に巻ける(ロ)。
作り方
1、ドライ用フックにスレッドを巻く、この時巻き終わり部分に小さなコブを作っておくこと。
2、テイルの取り付け(ここではフェザントティル2本を使用したが他の物でもいい)。
3、クィル2本を広げて置いて、コブの右にスレッドを2回ほど巻く。
4、ピーコックハールを取り付け、巻いていき、スレッドを隠すようにしてレッドフロスを数回巻き付ける。フロスは白や黄色でもいい。
5、レッドフロスの右側に再度ピーコックハールを巻きつける。
6、(イ)のハックルを巻いていくのだが、長いハックルの場合は、(ロ)ハックル片のように片側をむしり取って巻けば綺麗に巻ける。キャタピラーやハックル部分を多く取りたいときに使用すればいい。
7、ウィングを巻くのだが、隙間のないように密に巻き、ハーフヒッチで止めてヘッドセメントで止める(マニキュアや瞬間接着剤でもいい)。
8、完成。写真はデコレーションがまだの状態。細かいはみ出しなどカットすれば出来上がり。
<森宮清釣/TSURINEWS・WEBライター>