大阪湾のタチウオ釣りのエサはイワシを使うのが定番だが、最近はサンマも見直されているようだ。本当にサンマがいいのか、実際にイワシと使い比べてみて、その効果を確かめたく、タチウオ釣り用の加工サンマ「KINGドラゴン」に携わっている練餌海道の飯沼瑞恵さんの釣りに同行して使い方などを見せてもらった。
定番のイワシエサと比較してみる
このボディーのボリューム感。
12月29日午前5時、泉佐野・北中通港からブルーマックスの午前便で出船。洲本沖へ向かう。
この日は大潮。
条件としては厳しい。
午前6時過ぎに釣り開始。
水深は75m。
飯沼さんはKINGドラゴンを、私は比較のためにイワシで釣る。
「タチウオが噛みつくボディーにエサを巻いてボリュームを持たせるといいと思います」と飯沼さんは丁寧にサンマを装着した。
底から20mほどを、誘いを掛けながら丁寧に探ったが、釣り開始から1時間ほどしてようやく、60m付近で私の穂先にフワッと食い上げアタリが出た。
即、アワせたが空振り。
その後も何度か空振りして、アタリがなくなったので上げてみると、イワシはテンヤから外れかけた無惨な姿だった。
これでは……。
すぐ、エサをサンマに取りかえ、飯沼さんに教わった「巻き付け装着」にした。
サンマは待てる……!
先ほどアタリが出た60m付近で誘いを掛けてから、ゆっくり下ろすとフワッ、コツコツと何度も小アタリ。
その度にアワせても掛からないが、アタリが続くのだからエサは残っているのだろう。
コソコソと小アタリが出ても巻き上げ続けると、グイッと力のあるアタリが出た。
大きくアワせるとドカーンと掛かり、激しい引きを見せて1m級の良型タチウオが釣れた。
こんなに待てるのか……。
改めてサンマの効果を実感させられた。
複数回使えるので手返しの速さが圧倒的に
サンマエサの驚異的なパフォーマンスを披露してくれた飯沼瑞恵さん。
そのころからアタリが多くなった。
釣れるタチウオはほとんどがメーターオーバーだ。
その時に長沼さんが入れ掛かりショーを見せつけた。
大きくテンヤを跳ね上げてゆっくり下ろし、グイッとくるアタリでアワセを入れると、ガツーンッと掛かって小気味よくサオが曲がる。
入れ食いだった。
良型のタチウオを取り込むと、エサは丸残りだからそのまま投入して釣りが続けられる。
入れ食い時のこの手返しの早さには驚きで、なんと4匹も同じエサで釣れたのだった。
同じ要領で私にも入れ食いタイムがあり、11時半の沖上がりで、私の釣果は12尾(93~108cm)、飯沼さんは7尾。
食い渋りで、アワせても掛からないことが多かっただけに、イワシと使い比べて「エサ保ちのよさ」が目立ったサンマエサだった。
特に、空振りした後に安心して次のアタリを待てるのが強みで、これからのタチウオ釣りを揺るがしそうなエサの登場、と思えた。
<大西満/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース関西版』2018年1月12日号に掲載された記事を再編集したものになります。