深海釣りと聞くと、なんだか敷居が高く思えるのは私だけだろうか?
行ってみたいと思うけど、ごついリールやサオ、それに仕掛けとなると、道具を揃えるだけで数カ月分の小遣いがスッ飛んでしまう……。
そんな障害?をすべて解消してくれ、ググッと敷居を低くしてくれる船宿があると聞きつけ早速釣行した。
クーラー以外手ぶらで参戦できる豪華深場釣りの世界
初めての深海釣りということで、不安な気持ちで予約の電話をすると、「何も心配いりませんよ、クーラーだけ持ってきてください」と優しく対応してくれたのが、南紀・田辺の江川港から出船する貴丸の若船長。
エサのイカタン(イカの短冊)だけ自分で用意し、午前3時に港に着くと、まもなく船長も到着。
クーラーにたっぷりの氷が配られ、各自準備が整ったところで出港。
ポイントまではゆっくり走って約1時間、まだ暗い時間帯からの釣りスタートとなった。
レンタルタックルと言えば、安価なサオとリール……と勝手に思っていたが、渡されたサオとリールはなんと『フォースマスター9000/SHIMANO』。
サオもなんだか高価そうなピカピカのサオで、まだ真新しいPEラインがきっちりと巻かれている。
船べりにつけたマグネットに10本のハリをセットし、持参したイカタンをチョン掛け。
後は船長の指示通りに鉄筋でできた400号のオモリを放り込むだけ。
ここまで若船長が横に来て分かりやすく教えてくれた。
大掛かりな仕掛けなので操作は丁寧に
海底までは330m。
東京タワーとほぼ同じで、狙うタナは底付近。
着底したらゆっくり手巻きでリールを巻いて、イトふけを取る。
「早ければここでアタるよ」と船長は言うが、1投目は空振りに終わった。
電動で巻き上げ、仕掛けを手繰り、マグネットにハリをセットする。
このときに横着すると、投入時にトラブルになるので、ここはきっちりするのがポイント。
仕掛けは一斉に投入するのではなく、船長の指示で順番に落としていくので、遅れないようにしないとオマツリの原因になる。
2回目の投入でイトふけをとっていると、サオ先にタリが出た。
手巻きでゆっくり巻き続けると、どんどんアタリが大きくなり、サオには重量感が増してくる。
十分に追い食いさせて、巻き上げ開始。
電動のスイッチを入れ、巻き上げ速度を10に合わせ、あとはゆっくりと待つだけ。
キンメダイは口が弱くゆっくり巻き上げるのがコツと言うが、なんとももどかしい時間だ。
やがて、仕掛けが上がってくると、水中に赤い魚影が見える。
本命だ!
「あ~、ようけ外れてるわ」と船長。
確かに8つのハリのエサがなくなっており、巻き上げが慎重すぎてハリ外れしてしまったようだ。
良型キンメダイが鈴なり!
獲物のハリを外し、仕掛けをマグネットにセットし直し、エサを付けて手早く投入準備を済ます。
全員の準備ができたところで3回目の投入。
全員が足並みを揃えて釣りをするので、1日の投入回数は10回程度。
釣果を上げるには、1回の投入でいかに効率よく追い食いさせるかにかかっている。
追い食いさせるテクニックはいろいろとあるようだが、慣れるまでは小細工せず、トラブルなく釣ることを優先した方がいいだろう。
今回も投入して、着底後すぐ、イトふけをとっているときにアタリが出て、順調に追い食いしてくれる。
巻き上げ開始は自分のタイミングでいいので、少し早めに上げることにして、今度は速度を少し早めて速度12で巻き上げた。
やや速巻きが功を奏したのか、この回はなんと6連、しかも良型ばかり。
高級魚がこんなに簡単に釣れてしまうとは本当に驚いた。
日が昇るにつれピークは止んだが、それでも初心者の私がキンメダイ14匹。
仕掛けの投入回数は10回で、オマツリしたのが1回。
それも簡単に外れたので、最初に配られた仕掛けで最後まで釣りをすることができた。
レンタルタックルは仕掛けが1セットついて3000円。
面倒な後片付けもなく、手入れの必要もないので帰ってからも楽チンで、それだけでも十分に価値のある金額、一度経験してみても損はないだろう。
<週刊つりニュース関西版 APC・近藤徳幸/TSURINEWS編>