桜の開花とともに気温が上昇し、釣行プランを立てやすくなったころ、同じタイミングで待ちに待った人気ターゲット、クロダイの乗っ込みシーズンが始まる。今回のつり作戦のテーマは、手軽な堤防や波止からこのクロダイをフカセ釣りで狙ってゲットしようというもの。きれいな銀ピカのクロダイを手中に収めるための狙い方などを簡単に紹介していきたい。
乗っ込みクロダイ
沿岸の海水温が冬季は10度前後だが春のこの時期、やっと12~13度まで上昇してくると産卵を行うため、沖の深場から浅い沿岸の藻場にやって来るのが乗っ込みクロダイだ。
産卵を控えた個体は型が良く、自己記録を更新するような「年無し」と呼ばれる50cmオーバーを仕留める確率もこの時期は高くなる。エサ取りも少なく、じっくりと狙うには絶好のシーズンとなる。
しかし季節の変わり目は水温変化が激しい。安定するタイミングを考えると大潮後の中潮で、晴れの日が3日ほど続いたころの満潮前後が一番の狙いめとなって、釣果が期待できる日になる。
フカセ釣りのサオとリール
乗っ込みの良型を想定してサオは0.6~1.0号を選択。特にテトラ堤などに釣り座を構えた場合は、掛けた魚に主導権を与えずやり取りをしたいので、胴がしっかりとした1.0号ロッドを使用した方が無難だろう。
リールはレバーブレーキ付きのスピニングリールで、1.5~2号のミチイトを150mほど巻ける2000番程度のものでいいだろう。
ミチイトとハリス
ミチイトはナイロンラインが基本だが、最近はPEラインがはやりつつある。
メリットは伸びがなく、その恩恵を受けてダイレクトにアタリが伝わってくることと、引っ張り強度が強いのでナイロンの約3分の1の号数、0.6号という細さの号数を使えること。
これによりラインメンディングは楽だし風の影響を受けにくく、仕掛けが浮き上がらないなどのメリットがある。その反面ナイロンよりイトに張りがないため、サオ先に絡んだりトラブルが起こりやすいといったデメリットがある。
ミチイトの操作さえ管理できれば、メリットを最大限に生かすことができて釣果に結びつくので、チャレンジするのも1つの手段だと思う。
ハリスは1~1.75号で、テトラや海藻など障害物がある所は太い号数を使うといい。ハリは軸のしっかりしたチヌバリ1~3号で問題ない。さしエサを抱き合わせる場合は、3号ぐらいをチョイスしよう。
ウキ
次にフカセ釣りには欠かせないウキだが、基本は中通しの円すいウキ0~5Bを水深に合わせて使用。
強風や潮が速いときなどに出番が回ってくる沈むウキも用意しておけば、さまざまな状況に対応しやすいだろう。
まきエサ
まきエサについては、オキアミ3kgに集魚材を2袋程度が目安だが、数ある集魚材の中からどれを選べばいいのか悩むと思う。
基本的には、釣行する場所の水深や潮流に合わせてタイプを選ぶといい。
中部地区なら水深が5m以内の場所が多いので、警戒心を持たせないように濁りが強いものがいいし、水深が5m以上ある場所や潮が速い所なら、粒子が細かく比重が重いものを選ぶといい。これにムギやコーン、サナギミンチなどのトッピングを加えることで集魚力やアピール力を高めたまきエサとなる。
その2つをムラがないようによくかき混ぜる。仕上げに上から押しつけて余分な空気を抜いて完成。
これを最初にやっておけばまきエサに変化をつけやすく、さまざまな攻め方に対応できるようになるのだ。
海底にためるように打ちたければ、シャクですくってバッカンの側面に押し付け固めて打てばいいし、海面から拡散させたければマゼラーなどで少しほぐしたものを軽くすくって打てばいいのだ。
さしエサ
さしエサの基本は生オキアミ。後は加工オキアミ、練りエサ、サナギ、コーンなど数種類用意してローテーションしながら、その日の当たりエサを見つけていこう。
春先はまだエサ取りが少なく、固いエサのサナギやコーンは出番が少ないと思われがちだが、気分屋?のクロダイには視覚、嗅覚、食感など多彩なアピールを行って口を使わせるのが釣果につながりやすいと思われる。