釣りの魅力とはずばり何か?釣れる魚の姿、あるいは食味、数……など。いろいろな要素があるが、ひとつ決定的なのは、あの生の鼓動溢れる「引き味」に違いあるまい。重く暴れる感触が手元に伝わってくるたび、あたかも自分の心臓の響きを外から聞くような驚きに打たれる。今回は、そんな引き味が魅力な魚たちを、オカッパリで釣れる魚種に限っていくつか紹介し、個人的なランキングまで披露したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
引き味が良い魚たち
釣魚には「引き味」というものがある。釣りをしない人には想像がつかないかもしれないが、魚によってどんな引き方・暴れ方をするか、それがラインを通してどのように釣り人の手元に伝わってくるか、その響きは釣り物によってまったく違う。
たとえば、アジとサバのような何から何まで似たような魚までまったく違う。釣っている途中で、これはアジだな、これはサバだな、と区別がつくようになる。
引き味が伝える魚の「命の叫び」は、残酷な話のようでもあるが、釣り人にとっては逆に生の実感を得る鼓動でもある。筆者は魚を食用のために持って帰ることはほとんどしない。ただこの引き味を味わうためだけに、何年も魚を釣って釣って釣りまくっているのだ。
魚それぞれに異なる引き味だが、残念ながら「面白くない」と不興なヤツもいる。小魚であればベラやクサフグ、中型魚であればボラやエソなど。このへんは引き味=食味みたいなもので、まあリリースするのが一般的だ。引き味=食味とは我ながらよく言ったもので、確かに引き味がいい魚は食味がいい気がしてきた。次に、痛烈な引き味を見せる魚ベスト5を紹介したい。
引き味がたまらない釣り物5選
もったいぶることはない。まず、簡単に引き味が良い沿岸の魚を紹介しよう。
1位 シーバス
2位 タチウオ
3位 メバル
4位 チヌ
5位 アジ
筆者は生粋のライトゲームアングラーなので、大好きなアジがこのランキングでは5位にきてしまうのは非常に惜しいうえに不当な気がするが、まあ仕方ない。
沿岸で釣れる大型魚シーバスの引きは、やはり格別のものがある。タチウオは独特の締め込みがたまらない。メバルはメバルで、型を問わずぐいっと引き込んでくるパンチ力がある。
メバルだって痛快な引きを見せる(提供:TSURINEWSライター・井上海生)では、もしこれから「引き味」を目当てに魚種を絞り、釣りを始めるならシーバスが一番良いかというと、これはそうとも勧められない。
シーバスゲームは難しいのだ。100回行って1回釣れたら合格というレベルでもおかしくない。よって、引き味目当てに釣りに入門するなら、小型はメバル、大型はチヌを勧めたい。
特に通年釣れるのがチヌで、そこまで難しい釣りでもないので、かなり期待が持てる。
重い引きを見せるチヌのすすめ
チヌは湾奥や汽水域の河川に潜むターゲットだ。クロダイ。こいつは魚影が濃いところはとことん濃くて、見えチヌになっていることも珍しくない。うようよいる河川だってある。ちなみに筆者が釣る大阪湾奥では通年釣れるので、下手をするとアジやメバルなんかより年総計だと釣っているかもしれない。
チヌはルアーでも餌でも釣ることができるが、どちらかといえばその他の釣りへの流用も効くルアーでの釣りをおすすめしたい。チニングをマスターしてしまえば、その延長でシーバスを釣ることもできるし、タックルをLT化してメバルを狙うこともできる。
チヌの引き味は、まず鈍くグググとくる。そのあと重みが乗って前へ前へ走り、疲れてくると足元に突っ込んでラインを切りに来るという暴れ方で、スリリングな駆け引きが楽しめる。
風格漂うビッグ・チヌ(提供:TSURINEWSライター・井上海生)シーバスは春に絞って
もちろんショアから青物を狙うこともできるので、最大に引く魚はブリやヒラマサなどの魚とも言えるのだが、まあ現実的なことをいえばやはり沿岸の頂点に立つ魚はシーバスである。
その大きさのため何せ天敵もいない。王者だ。さすがに最大1m以上にもなる体格を備えているだけあって、中型以上のものをかけてしまったときには、どうかすると悲鳴を上げそうになるほど引く。
狂ったように引くシーバス(提供:TSURINEWSライター・井上海生)しかしシーバスは人気が高い釣り物でどんな場所でも基本的にスレているので、難しい。一時的に簡単になる春のバチ抜けシーズンが、初心者でも有望だ。イソメなど多毛類を捕食するバチ抜けの春は、表層系のI字プラグで出やすい。沿岸の王者シーバスの引きを、あなたもいつか体験してみてほしい。
<井上海生/TSURINEWSライター>




