魚種が豊富な春磯。人気ターゲットのほとんどが腹太で、白子や真子を詰めている。なかでもクロやヒラスズキは、今まさに"腹パン"だ。今回は釣魚レシピが好き過ぎて藤まる食堂をオープンした店主による「自宅でできるカラスミの作り方」を紹介する。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター松田正記)
カラスミとは
初冬のボラが詰める卵を塩漬けにして干したもの。ひと腹で200g前後あり、5,000円以上の値が付くこともある。
味は濃厚なチーズのようで(個人的な感想)、酒の肴を代表する高級珍味。特におせち料理には欠かせないひと品で、数の子同様「子だくさん」の意味を含む縁起ものだ。
カラスミの作り方
それではカラスミを作っていこう。
真子の下処理
釣れたクロやヒラスズキは頭を落として、ワタを取る。この時期は白子や真子が入っているので、これらを傷つけないように取り出し、白子と真子(魚卵)に分けていく。白子は刺し身、塩焼き、てんぷらに。真子は薄皮が破れないように優しく扱い、軽く水洗いする。
下味は漬けダレ(だし)
白子は別の料理にするため、ひとまず冷蔵室へ。真子はボウルに移し、下味を付ける。一般的には多めに塩を振って数時間置くが、どうしてもしょっぱくなるため、薄塩にしたい。方法は至って簡単。ボウルに薄口しょう油とみりんを入れて水を加え、これに真子を漬けるだけ。
漬け込む時間
大事なのは味の濃さと漬ける時間。真子の大きさによって大きく異なる。薄過ぎず、から過ぎず。あまり薄いと干す工程で腐ってしまうので、その境界が難しい。
目安としては、たれを舐めて「少し塩辛い」。漬け時間は小指以下の太さの真子で2時間ほど。親指大で2~3時間。それ以上は5~6時間。ボラ級の特大サイズなら、ひと晩。ちなみにバリやキスの真子でもカラスミができる。だだ、チヌの真子は毒性が強いのでNG。
干す
次の工程は「干す」。一般的に市販の干し網を使って天日で干すが、どうしてもハエなどの害虫が寄ってくる。そこで簡単でラクな方法は「冷蔵室内で干す」。これだと、害虫の心配はないうえ、腐りにくい。
平たく形成
干す際は皿にキッチンペーパーを敷き、その上に真子を乗せて冷蔵室内に。1日ほどで表面が乾くので、ひっくり返す。これを交互に行いながら、手で軽く押さえて平たく形を整えていく。
濃い山吹色
さらに時間が経つと、濃い山吹色になっていく。食べごろは真ん中が耳たぶよりも少し硬くなったころ。できあがりまで、おおむね1週間と覚えておこう。
カブやダイコンにのせて
食べる直前にスライスし、薄く切ったカブやダイコンにのせていただく。口の中で野菜が塩分を中和し、ほどよい塩加減になる。日本酒によく合うひと品だ。
保存方法
保存する際はラップをかけて冷凍する。その際、ラップを二重にするなど、冷凍焼けを防ぐことが大事。保存の目安は3か月ほど。
<松田正記/TSURINEWSライター>