群馬・埼玉の県境をまたぐ巨大な神流湖(下久保ダム)が、秋の好シーズンを迎えた。ヘラブナ推薦釣り場として、今週は同地を紹介する。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース伊藤さとし)
神流湖概況
毎年この時期になると、良型が舟釣りで出始める。完全野釣り場なのでオデコの可能性もあるが、そのようなときは桟橋釣りに転向すれば、型はともかくアタリは十分楽しめる。周囲の木々も徐じょに紅みを増してきたので、湖畔が色づくのも、もはや目と鼻の先だ。
桟橋はほぼ日並みに関係なく釣果が出ており、好調時は束釣りも可能なほど。ただし型は尺前後が一般的。良型を狙うなら舟だが、日並みやポイント差があるので一筋縄ではいかない。できれば風が弱い穏やかな日に出舟したい。
ポイント
群馬県側にある観光ボート桟橋からなら、舟・桟橋の両方が楽しめる。また舟釣りの料金を支払えば、仮に舟から上がってもそのまま桟橋釣りが可能。その逆は、差額を支払えばOK。
広大かつ豊富な貯水量をほこるダム湖なので、今現在の水位を把握することは何の意味もない。むしろ前日から水位が何cm上下したか、あるいは変動なしかが重要。それらはボート桟橋の事務所でおよその数値は確認できる。
ポイントは手こぎの舟釣りであればボート桟橋周辺か農協ワンド、ダムサイト対岸周辺までが限界だろう。モジリの有無を確認するといっても、湖は広大なので見つけることは困難、イチかバチか的要素が強い。ただしポイントが当たれば良型イレパクのパラダイスに遭遇できることもあり、そこが舟釣りの魅力だ。
そんな体力は使わずに、気軽に狙いたいなら桟橋がオススメ。事務所左側の長方形マスであれば、多くエサ打ちされているのでアタリ出しも早く、オデコはまずない。
釣り方とエサ
神流湖の攻め方を紹介しよう。
舟釣り
通常の舟釣りなら、背後の樹木や水中立木などを利用して3点止めする。だが超満水時を除いて同湖の場合、それらがほとんどない。大きな倒木や根のしっかりした樹木などがあればいいが、それらもないことが多いので、通常は金属製のペグ(杭)を使うことが多い。
桟橋の事務所に常備されてはいるが数に限りがあるので、この機会に購入するのも手だ。さほど高額でもない。長さ1m前後が3本、それと木製の金づちなどがあれば、どこでも打ち付けて舟を止められる。
底は基本的に急傾斜面が多く、底面もフラットとは限らない。むしろ石ころだらけと想定したほうが無難だろう。また一日のうちで水位も変化するので、安定的な底釣りはほぼ不可能。
つまり机上の計算どおりにいかない底釣りとなるので、ナジミ幅だけを頼りにした「なんちゃって系」がここでは効果的。とりあえず下バリで底ダテをして、その後は根掛かりの有無、ウキの戻りがいいエサ打ち点を探りつつ、ナジミ幅を多めにだした深宙チックな底釣りで狙ってみよう。
竿は15~21尺。傾斜角や舟の向きにもよるが、岸に対して正面を向いたなら、何尺を出してもほぼ竿いっぱいで底に届くだろう。
また深宙的な底釣りなら、ハリスは長め(最大70cm前後)で、段差も広め(20cm前後)が効果的だ。エサは両ダンゴまたはグルテンセット。なお日中、気温が上昇してくるとタナ2本前後の宙でも食ってくることがあるので、上ズリの兆候が見られたら試してほしい。
桟橋
舟釣り以上に底の状態が把握しにくいのが、桟橋の特徴だ。段々の石垣があったり、急に左右へ傾斜したりと一筋縄ではいかない。可能なら熟知した常連に何尺で底がとれるのかを尋ねるといいが、水位によって桟橋の位置が変わるので常連でも把握しきれないのが桟橋の実情だ。
よって底釣りは見切って、チョウチン釣りで狙う人も少なくない。釣果的には良底なら底釣りのほうが有利だが、悪底で悩むくらいなら宙釣りのほうがよほど釣果は伸びる。
ただしこれからの時期は最低でも水深15尺以上のポイントに入りたい。これよりも浅いと魚の回遊があまり期待できず、隣のイレパクを眺めているだけになりかねない。
なお舟釣り同様に、日中になるとタナが高くなる傾向があるので、管理釣り場的な浅ダナ狙いが効果的なこともある。
竿はチョウチン・底釣りとも14尺以上で、浅ダナなら10尺以上。エサは両ダンゴまたはグルテンセットだが、魚が寄りきってしまえば両グルテンも面白い。