知床釣行の魅力
世界遺産、知床岬、オホーツク海のキーワードを聞いただけでも一度は訪れてみたいと思われる方も多いと思う。冬は一面流氷に覆われるオホーツク海、春から秋の短い間が釣りを楽しめる釣り人のパラダイスである。
北海道の方々にも別格だと言わしめる知床、釣りをしていると時には陸に親子のヒグマの散歩、空には天然記念物の鷲、海にはクジラやイルカも珍しくない。居酒屋でしか見たことの無いホッケもここではクーラー満タン、秋には鮭、最近ではクロマグロのキャスティングも聞かれる。
過去に執筆した『世界遺産知床を釣る』では春夏秋冬それぞれの楽しみ方も紹介しているので参考にしてもらいたい。
第八平成丸
ウトロでは数隻の乗合船があるが、その中でも人気の釣船が第八平成丸。ピンクの船がトレードマークだ。瀬川船長は現役ホッキ貝漁師にして遊漁船船長、知床の海底を知り尽くした凄腕船長である。
ホームページもあり、Facebookの更新も熱心に行っているので情報は入手しやすい。また、今年度より北海道では珍しくメンバーズカードを発行、釣行を重ねると割引もある。
ホッケ釣りタックル
春先は仕掛け釣りでのクーラー釣り(数釣り)がメインだ。250号のオモリを背負えるサオとPEライン6号が300mは巻けるリールが必要になる。筆者はDeepZone(7:3調子 120-210)、リールはシーボーグ500JSでの釣行であった。仕掛けはピンクのソイ・ホッケ用ピンクスキンバルン巻き8本バリの胴つきが基本だ。
知床の海でホッケ狙い
当日は5月の後半だというのに気温は10度以下、体感では冷蔵庫状態の寒さ。絶対に忘れてはならないのが手袋、防水のゴム手袋がないと、魚が釣れても冷たくて手が動かないので一番先にお伝えする。
東の空も明るくなった4時集合。4時半にウトロ漁港を出船した。前日はオシンコシンの滝前で爆釣だったことから、知床岬方面を背中に20分ほど走り釣り開始となった。
ミヨシを陣取った筆者は訪問時の定位置、瀬川船長との会話も知床釣行の楽しみの一つである。
しかし、魚探を見ながらブツブツと、どうも前日とは様子が違うらしい。釣りではあるあるだが、筆者が訪れると爆弾低気圧や暴風雨などにかなりの確率で当たることから嵐を呼ぶ男と言われているので、出船だけでもありがたいのだが。
拾い釣りでパッとせず移動
ホッケの仕掛け釣りはタナで釣る。ホッケが回遊するまで底を少し切ったところでのステイが基本だ。なかなか指示ダナのアナウンスがなく拾い釣りが続いていたが、目の前になにやらこげ茶の物体が。アザラシだ。悠々自適に回遊している。そういえば昨年の今ごろはイルカの大群に出会ったことを思い出した。
どうもパッとしないので、大移動の決断、知床連山を見ながらウトロの街を超えてプユニ岬付近まで移動となった。仲間の船長の無線からも『今日はまいった』などの愚痴も流れてきている。
北海道の方々は80Lクーラーが満タンにならないと今日は釣れなかったとなるが、東京からの筆者には大漁の部類なのだが……。