2020年度の主要漁港水揚げランキングが公開され、銚子港や焼津港といった「いつもの名前」が上位に並びました。これらの漁港はなぜ例年水揚げ高が多いのでしょうか。
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主要漁港の水揚げランキング発表
みなと山口合同新聞社が発行する「みなと新聞」において、2020年度の全国の主要漁港水揚げランキング(速報値)が公開されました。千葉県の銚子港が27万1840tで水揚げ高日本一を記録し、実に10年連続という大記録を達成しました。以下、北海道・釧路港、静岡県・焼津港と続いていきます。
その一方で、水揚「金額」では焼津港が383億円で1位を獲得、こちらも4年連続で首位となっています。2位に福岡港、3位は長崎港と九州の漁港が続きました。
2020年はサンマやサケの大不漁やイワシ・ブリの好漁といったニュースが連日報道されましたが、このような主要大衆魚の水揚げ動向が各港の数量、金額を大きく左右する結果となったといいます。(『銚子港 水揚量10年連続日本一 20年漁港別 焼津港は金額4年連続首位』みなと新聞 2021.1.6)
銚子港の水揚げ量が多い理由
銚子港は実は一昨年と比べると水揚げ高は3%減となっているのですが、それでも今年も1位をキープしました。「高知のカツオ漁船がカツオの群れを追って宮城沖まで移動する」ようなことが当たり前の現代において、なぜ銚子漁港は長年水揚げ高1位を保つことができるのでしょうか。
海流がぶつかる「潮目」
銚子港の沖合は、暖流である日本海流と、寒流である千島海流がぶつかる「潮目」と呼ばれる場所で、暖海系の魚も寒海系の魚も棲息しています。さらに利根川から運ばれてくる栄養塩のおかげで魚の餌となるプランクトンも豊富にあります。その結果として、日本屈指の好漁場になっているのです。
さらに、比較的岸に近いところに大陸棚があるため、深いところに棲む魚たちも水揚げされます。「銚子のつりキンメダイ」のようなブランド魚も近年は有名になっています。
漁港設備が充実
そして何より、漁業拠点としての歴史が長い銚子では、漁業の発展と足並みをそろえるように漁港の拡張が繰り返され、設備を充実させてきました。その結果、現在では全国各地から集まった漁船が、魚を母港まで持ち帰らずに銚子港で水揚げすることも多くなっているそうです。
これらの理由から、銚子港の水揚げ量は長年トップを保っているのです。