立春を過ぎた辺りから、冬眠から目覚めたばかりのヤマメが捕食のために少しずつ流速のある流れへと泳ぎ始める。3月1日に解禁を迎えた、九州エリアの渓流ヤマメ・アマゴ釣りを徹底解説。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西武版 APC・津曲隼丞)
渓流釣りの仕掛けの流し方
ヤマメ・アマゴは、逃げ隠れできる大きな底石が点在する場所を好み、川底を少し切った下層で生活している。よって、つけエサをしっかり下層へ流すことが重要。自然に流れるように警戒心をなくすためになるべく軽いオモリを使用したい。
一般的な渓流域や開けた渓流域だとG2〜B、水量豊富な本流域だとB〜3Bのガン玉を中心に使用することが多い。水温が上昇する初夏や羽化した昆虫が発生すれば、水面下のエサを捕食してくる場合もあるのでG4を多用し、表層を流していく。
目印の位置は、目測による水深によって変動させる。一番下の目印が水面上になるように調整したい。水中へ沈んだ水中イト・目印は、水面と直角になるほど沈みも早い。サオを速やかに立てて、水中イトをやや弛ませてフケがでる状態で流していく。
さらに、水中イトを.0.2号以下の細イトにすると非常に水なじみもよく、食い込みもよい。したがって、季節、魚のアベレージ、狙うサイズによって、イトの号数を使い分けている。掛かるサイズが20cmクラスなら0.125〜0.15号、27cm前後が出たり、石が大きい釣り場なら0.17〜0.2号、本流で大物狙いだと0.3号を中心に使用している
目印をブラさない
流し方の注意点として、目印をブラさないこと。これが上手くできていないと魚に不自然なカタチとして伝わり上手く食いついてくれない。また、目印が水面の流れよりもややゆっくりと流れていること。つまり、これは、流速の遅い下層に仕掛けが届き、よくなじんでいることを表している。ただ、こればかり注視し過ぎるのも問題。時には、流すスピードにも変化を与えたい。
自然なナチュラルドリフトで流すだけでは活性の高い魚しか食いついてくれない。時には水中でエサをアピールさせるために、ブレーキを掛けながら流すドラグドリフトも非常に有効。ナチュラルドリフトで流し切り、仕上げにドラグドリフトで試す場合が多い。思わずスレた魚が口を使い、釣果も伸びるだろう。
要領は、仕掛け投入後、底波に仕掛けがなじんだら、サオの動きを止めて仕掛け先行、サオが後追いで流していく。決して底波を外さないように、つけエサ優先に流す。食わせるポイントは、自分の立ち位置より下流側になる。特に流し切りの位置がポイントになり、流し止めた状態になると、つけエサがアピールされ、集魚効果が得られスレッカラシにも有効だ。アタリも定位で安心して食べるためか根掛かりのように目印が止まり、抑え込まれるアタリ方をする。
流れを見極める
手前から奥に、ていねいに仕掛けを流すのがセオリー。ここのポイントは、意外と水量と水圧があることを考慮する。
(1)流心脇のヨレからガン玉G1で流す。
(2)水温が上昇する盛期のポイント。この筋には高活性の良型が付く。特に流し切り付近の底石前後がよい。ガン玉G1とドラグドリフトでアピールしたい。
(3)沢からの冷水が脇にあり、シーズン通して渓魚が定位する。ガン玉G2で攻略したい。
(4)(5)魚が越冬する淵であり、解禁直後から数釣りも期待できる。流す層を2層に分けて攻略。ガン玉Bで底波、ガン玉G1で中層をナチュラルドリフトとドラグドリフトでじっくり狙いたい。
根掛かりのはずし方
石の多い流れを釣ると少なからず根掛かりが発生する。第一にオモリの適合。オモリの選択に誤りがなければ、根掛かりしにくい状態が保てる。また、ソリッド穂先を使用すると根掛かり発生率が低いことも分かった。恐らく、柔和な穂先が流れの波を捉えて自然に仕掛けを流すことに長けており、根掛かりにくいのであろう。仮に根掛かりしても、ソフトに根掛かるために簡単に外すことができる。
根掛かりの対処法としては、決して上方や下流側にサオをあおらず川の上流側にサオを倒し、サオを軽く曲げると、大抵は外れてくれる。それでも外れない場合は、サオを過剰にあおるのは避けて、なるべく根掛かった近い場所に立ち込み、直接手で水中イトを持ち、上流側へゆっくり引っ張ること。イトが切れてもオモリやハリチモト付近が切れるので、予備パーツのオモリガードとハリを結び替えられる。