寒い寒い冬も終盤となり、過ごしやすい春が近づいてきた。極寒の寒空の下の釣りも趣があり楽しい時間ではあるが、やはり過ごしやすい環境下で釣りを楽しみたいのが本音だろう。とはいうものの、寒い時期も楽しみたいと思うのだから釣り人はわがままだと思う。そんな冬から春にかけて面白いメバルの楽しみ方を紹介したい。
メバルとは……
メバルはアカメバル、シロメバル、クロメバルの3種類に分類される。
基本的には体色で見分けることができるが、色での見分けが難しくどうしても見分けたいときは、胸ビレ軟条数を数えるといい。
一般的にはこの3種類のメバルをひとくくりでメバルと呼んでいるが、それぞれに習性が異なるため、同じポイントでアカとアオ、アオとシロのように2種類釣れることはあっても、3種類が釣れることは少ない。
この特徴も大型になるほど顕著に出るが、小型の時はそれほどでもないので今回は全てをひっくるめて説明しよう。
基本的には警戒心が高い魚であることと、夜に活発に動くのでデーゲームよりナイトゲームに分がある。
デーゲームの時間帯は少し深いところでストラクチャーにべったり着き、ジッとしていることが多いのでよりタイトに狙い、リグをキビキビと動かして見切られないようなアクションで食わせるのが効果的だ。
反対に夜は警戒心が薄れ、エサを求めて表層に浮いていたりストラクチャーから出ていることが多いので、デーゲームほど難易度は高くなくスローに誘って釣れる。
釣れるポイントもさまざまで、お手軽に足場のいい堤防から簡単に狙えるので、初心者にも優しい魚といえる。
サイズとしては中部地方では一般的に釣れるのは20cm前後までで、まれに25cm級が顔を出す。
大きい個体となると30cmを超え、いわゆる尺メバルと呼ばれメバルを狙う釣り人にとっては憧れの存在でもある。
ポイント選定
基本的にストラクチャーに着いている魚なので常夜灯が効いた堤防の際、漁船や係留ロープやブイの陰、テトラ周り、敷石周辺をタイトに狙うと釣果が出やすいだろう。
また見落としがちだが、スロープのエッジ部分や足元がオーバーハングになって、潮が抜ける岸壁も見つけたら狙ってみよう。
キャストの難易度は上がるが、スレていない傾向があるのでココだけの話、オススメだ。
大型を狙うのなら、潮通しがいい堤防の先端や外海側、サーフやゴロタ、地磯などを狙うのも面白い。
ポイントの探し方としては、インターネットで航空写真を見て周辺より黒くなっている場所で藻場や沈礁を探すのが手っ取り早い。
ただし、それでは細かい部分までは分からないので、時間があれば昼間に下見をして少し投げて海の中の様子を確認し、併せて危険な場所を覚え最低限安全に釣りが楽しめるよう心がけてほしい。
タックル選定
アジと並んでお手軽に狙えるメバル。
ポイントもかぶり釣れるサイズも同等なことが多く、アジングタックルの流用も可能だ。
ただし、アジとは違いバラシが多い魚でもなくアタリも明確に出る傾向があるので、アジングで主に使用されるいわゆるパッツン系のサオより、よく曲がり引きを楽しめるサオの方が面白い。
足場のいい場所であれば、ウルトラライトクラスの7ft前後が扱いやすい。
サーフやゴロタ、地磯のように足場が悪かったり、遠投が必要なときはライトクラスの8ft前後を選ぼう。
リールはロッドとのバランスも必要だが、小型スピニングでシマノの場合2000~2500番、ダイワの場合は2000クラスが適当だ。
ラインはどんなシチュエーションで狙うかによって変わってくるが、メーンラインはアタリが取りやすいPEラインにリーダーとしてフロロカーボンラインを使用する。
風が強くてどうにもならないときは、メーンラインを比重が高いエステルやフロロカーボンラインに変更するのも有効だ。
ただし、ラインごとにリールを用意していては費用がかさむので、スペアスプールを使用することをお勧めする。
メバルは大きくなっても所詮は30数cmの魚なので、極端に太いラインは不要だ。
PEラインは0.3号前後でリーダーも1.5号までで十分だろう。
メーンラインからフロロでリーダーなしのリグ直結となると、0.6~0.8号が扱いやすい。
ただし、ポイントによっては外道でシーバスなどが掛かることもあるので、ある程度は想定できる範囲の魚を捕れるようなセッティングを心がけよう。
サオは曲がる方が楽しめると書いたが、根魚といわれるだけあってアワセが決まれば一気に根に突っ込まれる。
その際にうまくバットを使い、根に入られないようやり取りしよう。
安全面についてだが、釣り場で何かあってからでは遅い。
自分の身は自分で守るようにしよう。
タックルにお金はかけてもライフジャケットなどに無頓着の釣り人を見かけたりするので、最低限の装備はそろえていただきたいと思う。
各種リグ
まずメバルの食性について簡単に知っておく必要がある。
よく〇〇に偏食していてコレじゃないとダメとか聞くが、私はそんなことはないと考えている。
人間が肉や魚に野菜とバランスよく食べるように、メバルもいろいろなものを捕食している。
イソメ類に小型の甲殻類、小魚類などが主だったところなので、小さめのルアーを使用することで十分に対応が可能だ。
メバリング用のリグには大きく分類してジグヘッド単体、フロート仕様、プラグがある。
【ジグヘッド】
まず、ジグヘッド単体だがライトルアーでの基本といえる。
ここからスタートして、いろいろな他のリグに手を出すのがなじみやすいだろう。
ジグヘッドは重さを調整することで、どんなレンジにも対応できる万能リグといえるが、その分奥も深い。
任意のレンジに応じてジグヘッドの重さを調整する必要があるが、主に近距離戦を得意とし、ストラクチャーのピンポイント撃ちに重宝する。
狙い方としてはスローリトリーブとフォールの組み合わせが基本で、時折ティップを小刻みに動かしてアクションを加えるのも効果的だ。
【プラグ】
次にプラグだが、近年各メーカーから多くの小型ルアーが発売されており、どれを使用しようか悩むほどの充実ぶり。
そんな中でも扱いやすく釣りやすいのが、5cm前後のフローティングミノーやシンキングペンシルだ。
これらは比重が小さく沈みにくいので、シャローで使いやすく根掛かりしにくいのがいい。
少し水深があるようならシンキングミノーもいいが、根掛かりには十分注意してもらいたい。
ライズやボイルが頻発する高活性時であれば、トップウオーターで狙うのも面白い。
アクションは小さいトゥイッチをメーンとし、時々派手に誘ったり、着水させてしばらく放置するのも面白い。
そしてプラグ全般にいえるのだが、細身のシルエットを選ぶと間違いないだろう。
【フロート仕様】
次にフロート仕様だが、飛ばしウキとジグヘッドのセットについて。
フロートを使用することで、ジグヘッド単体やプラグでは届かない50m先のサオ抜けポイントも狙える最強のリグといえる。
フロートといっても完全に浮くタイプと沈むタイプがあり、さらには中通しタイプとFシステムと呼ばれ、リーダーの余り部分にセットするタイプがある。
完全に浮くタイプであればリーダーの長さ=任意のレンジとなるので、レンジコントロールに間違いは生じない。
ただし、フロートの浮力よりジグヘッドの重さが勝るようなら沈んでしまうので注意が必要だ。
これはリーダーの長さ以上のレンジをスローに探りたいときのテクニックでもあるので、覚えておいて損はないだろう。
フロート自体が沈む場合はジグヘッドの重量を調整し、フロートのフォールと同調させたり素バリを使用し、ワームの浮力を生かす方法もあるので、自分に合った方法を見つけるのがいいだろう。
ジグヘッドにセットするワームだが、私のイチオシはハンドポワードといって機械を用いて生産するのではなく、直接手で型に樹脂を流し込んで製作したワームだ。
ハンドポワードの特徴として、大手メーカー品と比較し素材が柔らかく、より自然な動きを演出することができるのが特徴だ。
中部地方で購入できるのはドリームアップの製品があるが、『マッカム/ドリームアップ』というワームが特にオススメ。
メバリングはもちろんアジングにも使え、ライトゲームには最適なので機会があればぜひ使用してもらいたい。
最後に
人それぞれ楽しみ方は十人十色で無限だ。
釣って面白いこともあるだろうし、食べておいしい魚でもある。
また、自作のルアーを使用するなんてのもいい。
私が尊敬する自称ルアーマイスターいたっては、身近なモノに手を加えルアーを制作してはビックリするような釣果を出している。
最近の代表作としては、弁当に入っているしょう油差しで作ったルアーだが、これでメバルを釣ったと聞いたときは度肝を抜かれた。
人生は楽しんでナンボ、釣りに限らずいろいろなことにチャレンジしていただきたい。
<週刊つりニュース中部版 山本憲史/TSURINEWS編>