泳がせ釣り。関西ではノマセ釣りとも呼ばれるこの釣りは、生態系の上位に位置する大型魚を狙う最も有効な釣法といえる。それゆえ、アタればデカイ。今回はそんな泳がせ釣りで狙う人気の根魚釣りを紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)
高水温の影響受けにくい底生魚
降ったら降ったで、あぁ寒い寒いと嘆くくせに、一向に雪の降らないこの冬。水温は高めのまま推移して、本来ならこの時期にいるはずの場所に魚の姿が少なく、いまだに夏秋のポイントが生きている現状は、釣りというミクロな視点から見ても海が少し変わってきていることを感じる。とはいえ、今のところ影響が出ているのは回遊魚の話であって、いわゆる底物と呼ばれる底生魚は大きな季節回遊をしないので、これまでと同じシーズンに同じポイントで狙うことができる。
イワシの泳がせで狙うハタ
今回はイワシ泳がせの根魚釣りを詳しく紹介していこう。根魚自体は周年狙うことができるが、何より寒の時期の根魚はうまい。冬をやり過ごすためにまとった脂は、鍋でも刺し身でも存分に堪能することができる。
10kgを超えるような大物は別の釣りと考えて、伊勢湾口から志摩、尾鷲にかけてのポイントで現実的なサイズは、5kgまでの中小型である。
狙える魚種はマハタを筆頭にキジハタ、ホウキハタにイヤゴハタ、オオモンハタにアカハタなどいずれ劣らぬ高級魚ぞろい。中小型とはいえ5kgを超えるハタは70cmに迫るド迫力で、掛けた直後のダッシュ力たるや魚とは思えないほどだ。
下衆(げす)なコトではあるが、このサイズを買うとなると価格に目を丸くするばかりで、なかなかおいそれとは手が出せない。釣り方はやはり活きイワシの泳がせがベストである。
タックル&仕掛け
準備するタックルや釣り方を説明しよう。
ロッド
使用するタックルだが、ロッドはオモリ負荷50~80号程度で、2~2.5mの専用ロッドがベストだが、ない場合はタテ釣り用や強めのヒラメザオでも十分に流用できる。
リールとライン
リールはPEラインの2~3号が最低200mは巻ける中型の電動リールを合わせる。もちろん体力に自信のある人は手巻きでも構わないが、手返しの面を考えれば電動リールの優位性は動かない。
根ズレは不可避の釣りであるから、擦れに弱いPEラインの先には必ずフロロカーボンラインの10号前後を、最低でも5mは摩擦系のノットで接続しておこう。PEラインは金属との接続も相性が良くないので、強度を発揮できずにすっぽ抜けたりする。無精してサルカンに直結などは、絶対に避けていただきたい。
オモリ
最後に仕掛けだが、オモリ50~80号前後を使用した胴つきの1本バリ仕掛けである。使用するイワシのサイズにもよるが、ヒラメ釣り用を流用というわけにはいかない。掛けてからの最初のダッシュ力は青物にも引けを取らないので、ハリスはフロロカーボンの8~10号を1m前後取っておく。ハリはヒラマサバリの12~14号を用意しておけば、イワシのサイズが分からなくても対応できるはずだ。
一般的にハタ類の捕食はエサをひとのみにするので、孫バリは不要。シンプルな仕掛けで挑もう。ただし、エサのイワシがなく、15cmほどの小アジや、イワシがあっても20cm以上の大羽サイズしかない場合に限り、孫バリを付けることもある。
東海エリアのフィールド
この泳がせ釣りで根魚を狙う釣りだが、主なフィールドは三重県南部に多い。鳥羽方面は同じ泳がせでも、ヒラメをメインに狙っている船が多く、根魚はあくまでゲスト扱いされることが多い。少し南に下って、南鳥羽~志摩、南伊勢方面ではエサが入手できる限り、泳がせの根魚で出船していることが多い。