観賞魚の飼育では時代ごとに色々なブームがありました。少し前までは映画でも主役に選ばれた「カクレクマノミ」。その前は、「古代魚」、さらに遡ると「金魚」などがブームとなりました。いまそのブームの中心にいるサカナが「メダカ」なのです。なぜいま「メダカ」ブームが来ているのか調査してみました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
メダカの価格が高騰する理由
飼育・繁殖が容易であれば、供給過多になり、希少価値が下がりそうですが、ここにも秘密があります。
先にも述べたようにメダカの中には、1匹数千円の価値がつく個体が存在します。その秘密が、「固定率」です。
固定率とは、新しく生まれた個体のうち、その表現型が親の表現型と同じ個体の割合のことを指します。
メダカの産卵では、珍しい種類ほど固定率は低く、希少性が高くなります。つまりは、親と同じ見た目をして生まれてくる個体の割合が少ないということです。
例えば、ずんぐりむっくりとした体形や泳ぎ方の愛らしさから人気の「ダルマメダカ」の固定率は、「ダルマ同士を掛け合わせても30%ほど」だといいます。
このように同じ種類を掛け合わせてもなかなか同じような個体が生まれないことがほとんどなのです。
他にも高級なメダカの代表的な種類は、鱗の一枚一枚に黒い縁が見られる「ブラックリム」や、黒目部分である瞳孔が小さい「スモールアイ」、錦鯉のように朱赤と白と黒の体色を持つ「3色メダカ」などがいます。
固定率はそれぞれ低いため、「三色メダカでブラックリム」のように2つの特徴を持つメダカが生まれると、その希少性から1匹数十万円のような値段がつくのです。
メダカがビジネス商材へ
最近ではホームセンターなどでも「メダカコーナー」が設けられるようになってきており、メダカへの関心が高まっているのを感じます。
学校の水槽で飼育しているイメージの強いメダカですが、ここ数年でビジネス商材へと立場を変えているのです。
しかし、どんなに熟練のブリーダーでも希少性に高いメダカはなかなか生み出せません。
これはもはや運ともいえるでしょう。
比較的安価な品種のメダカからでももしかしたら、誰も見たことがないような高価なメダカが生まれるかもしれないのです。
そしてそれが繁殖し、次世代でも生まれてくるようなことがあれば、まさに一攫千金です。
この記事を読んで、もし興味を持たれた方がいましたら、今日さっそくホームセンターを見にいってみてはいかがでしょうか?
<近藤 俊/サカナ研究所>