寒中から1枚を絞りだす。そんなシビアだがワクワクするような釣りがしたいなら、ある程度魚影は濃く水深が浅い釣り場が似合っている。そのお眼鏡にかなうのが埼玉県川越市付近を流れるビン沼の最上流部、通称・広っぱだ。朝の氷割りから始まって、アタってくるのは午後から。まるで北国のような釣りだが、それができるのも最強寒波が押し寄せている今期ならでは。
概況
ビン沼の最上流部、船渡橋~三本木橋を通称・広っぱと呼ぶ。
ビン沼の他エリアに比べて水深は浅いのが特徴で、冬こそ狙い目のポイント。
ただし寒波の影響で今期は食いが渋い。
アタってくるのは午後2時過ぎで、日没まで粘って5枚も出れば御の字。
しかし、どうにかして一枚を寒中から絞りだす釣りもまた楽しいもの。
今期の寒さは例年をはるかに超える。
そのため早朝は水面が凍っていることが多い。
完全に溶けだすのは正午ごろからだが、それまで待てないなら氷を割るしかない。
重めの角材などにロープを結び付けて、手前から少しずつ割っていく。
石や鉄など潜ってしまう物だと氷に穴が開くだけで、釣りをする空間を作れないので注意したい。
ポイント
【北岸水門上流】
三本木橋~水門までの北岸エリアで、ボコボコした布地の護岸がある。
濡れていると非常に滑りやすいので歩行時には要注意。
新河岸川放水路との境目(川幅が狭まる所)にある角が1級ポイントと言われているが、近年はあまりアドバンテージを感じない。
むしろ同角~水門の中間エリアの方がアタリはいい場合も多い。
水門に近づくほど水深が深く根掛かりは多い。
平均水深は1.5m前後。
水門上流側の角付近(斜め打ち)だと水深は6尺一杯ある。
ビン沼に比べて旧びん沼の水温が高いので、吐き出し付近に魚は溜まっているが、ヘラ以外の魚が多く根掛かりしやすいので狙う人は少ない。
【北岸水門下流】
これまで上流側に比べて人気薄だったが、今期は北岸上流側の土手に駐車ができなくなった関係で、土手上に駐車できる下流側の人気がにわかに高まりつつある。
上流側に比べて水深が浅く(水門に寄るほど深いものの掛かりが多い)、長竿(竿16~21尺)有利な場合が多い。
また、長めの竿を振ったほうが対岸の陰にウキを立たせやすい。
【南岸】
季節風の影響で南岸から狙う人はまれだが、南風予報の時などは狙ってみる価値はある。
三本木橋寄りがいいとされるが、実績は薄いだけに何とも言えない。
同橋の真下付近から上流なら狙っている人は多い。
ただし、護岸角度がやや急なので釣り台設置は慎重に行いたい。
釣り方とエサ
北岸水門上流は竿10~15尺、下流なら15~21尺で南岸は10~13尺のいずれもバランスの底釣りがメーン。
エサは両グルまたはグルテンセット。
ただしバラケの使用は最小限に。
目安は5投に1回くらい。
ダンゴを底に置いてくるようなイメージで。
流れが発生しやすく、しかも回遊待ちが基本なのでグルテンは「わたグル/マルキユー」や「アルファ21/マルキユー」「グル魂/マルキユー」など繊維が強いタイプを単品で使い、ニオイ付け程度に「野釣りグルテン/マルキユー」などを少量ブレンドする。
まれにだが早いアタリがでる(上から追いかけて食うような時合い)ことがある。
その場合はタッチを軟らかくするか開きのいいブレンドに変更(『グルテン四季/マルキユー』単品など)してナジみ途中のアタリを狙っても面白い。
ただし流れに対抗できないので、待たずにリズムよく打ち返す。
タナは上バリトントンから、ズラしても3cm程度が限界。
ズラシ幅を多くし過ぎると、この時期は小さなアタリがウキに現れなくなる。
見えなければ意味はないが、可能ならトップはPC(ポリカーボネート)ムクか細パイプトップを使い小さなアタリもでやすくしておきたい。
どこに入釣しても水深が1.5m前後なので高浮力のウキは必要ないが、流れが強い場合はシモリに負けない程度の浮力があるウキを使い、ハリもあえて大きめ(重め)を使いエサが底から離れづらくするといい場合がある。
強風時などはバランスでは釣りきれないほどの流れになることがある。
こうなるとドボンやハリスオモリにチェンジしたくなるが、それだとこの時期はアタリがでづらい。
そこであえて竿を短くし、タナも切り気味(ナジんで下バリが底に着く)にして流れに任せて打ち返しのリズムで釣っていく方が、アタる場合がある。
入釣料……¥400(現場徴収)、 釣り台必携
<週刊ヘラニュース APC・棚網久/TSURINEWS編>
首都高速戸田南IC~国道17を北上。約7.5km先の埼大通り交差点を左折し、国道463を所沢方面へ。羽根倉橋を渡って上宗岡2丁目信号を右折。県道113号を川越方面に進み三本木橋を渡った右側が広っぱ。