フカセ釣りやヘチ釣りなど様々な釣りのターゲットとして大人気のクロダイは、釣り味だけでなく、食味も最高な魚だ。特に、12月頃から2月頃までの低水温期に釣れたものは、「寒チヌ」とも呼ばれ、脂のノリも良く非常に美味だ。今回は、そのクロダイのお刺身4種盛を作ったので、レシピを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・杉本 隼一)
人気釣りターゲットのクロダイ(チヌ)
クロダイは、波止や堤防からはもちろん、時にはサーフや河川からでも狙う事ができる身近な大人気の釣りのターゲットだ。釣り方も多種多様で、ウキフカセ釣り、紀州釣りやかかり釣りなどの団子釣り、ヘチ釣りや落とし込み釣りからルアーでクロダイを狙う「チニング」など、様々な釣り方が確立されている。
人気のターゲットなだけあり、その釣り味はさることながら、食味も抜群!その身質は、マダイにそっくりな白身でありながら、血合いの色が映え、マダイよりも鮮やかで美しい。
生息環境や捕食した餌によって食味や臭いに個体差が出やすく、特に水温が高くなる時期は臭みが強くなる傾向があるものの、冒頭でも説明した通り、水温が低くなる12月から2月頃のクロダイは「寒チヌ」とも呼ばれ、脂が乗り臭いも少なく非常に美味な魚だ。調理方法も、お刺身はもちろん、カルパッチョ、ムニエル、ポワレ、鯛飯、塩焼き、煮付けなど豊富に存在する。また臭いが気になる場合は、洗いや香草焼きなどの調理法が有効だ。
美味しいクロダイの目利き
今回は、釣っても楽しい、食べてもおいしいクロダイの目利きの仕方を先ずは、紹介したい。クロダイは味や臭いに個体差があるが、主に3つのポイントで美味しいクロダイを見極める事ができる。
1.体色
クロダイは浅場や堤防など狭い範囲に居着くタイプと広い範囲を回遊して餌を探すタイプが存在する。居着きのクロダイは、浅い場所に多く、日焼けして体色の黒みが強い。
一方で、広い範囲を回遊するタイプは、餌を求め深場や浅場を行ったり来たりしており、日焼けが少なく美しい銀色であることが多い。
居着きの黒みが強いものは、生息環境にもよるが臭いが強くなる傾向があり、回遊性が強い銀色のクロダイは、普段潮通しの良い場所にいるからか臭いが少ない。
2.お腹に丸みと張りがあるか
お腹を見て丸みと張りがあり、太っているクロダイは脂が乗っており、逆にお腹がへこんでいる魚は脂が少なく身もパサパサしていることが多い。
3.魚のサイズ
クロダイは、50cmを超えるものが「年無し」と呼ばれ、さらに60cmを超えるものは、「ロクマル」と呼ばれる。
年無しやロクマルなどの超大物のクロダイは、大きくなると身が大味になる事が多い。クロダイの味を楽しみたい場合は、35cmから45cm程度の中型サイズが身がしっかりしており味も濃く美味しいのでおすすめだ。
まとめると「体が銀色」、「お腹に丸みと張りがあり、太っている」、「サイズは35cm~45cmの中型クラス」を基準に美味しいクロダイを見極めてほしい。
釣り場での下処理方法と持ち帰り方法
どの魚にも共通するが、釣り上げた後の下処理(血抜き)が重要になってくる。釣ったクロダイも例外ではなく、先ずエラと尾びれの付け根付近をナイフで刺して水を汲んだバケツに頭から入れ、血抜きをしよう。血が抜けたら、出来ればエラや内臓を除去しておくと臭いを抑える事ができる。
特に、刺身で食べる場合は、出来るだけ血抜きと内臓の除去までを釣り場で対応しておきたい。そしてクーラーボックスでクロダイを冷却して持ち帰る際も、「氷焼け」に気を付けたい。「氷焼け」とは、氷や保冷剤に魚が直接触れることで,かえって魚の身を傷めてしまう現象を指す。クロダイもしくは氷や保冷剤どちらかををビニール袋などに入れて持ち帰ると氷焼けを防ぐことができる。
自宅での下処理方法
自宅へ帰宅したら、次は魚を卸す工程に入る。釣り場で、内臓を取っていない場合は、この段階で内臓を取り除こう。
・ウロコを取り除き、しっかり水洗いする
・頭を切り落とし3枚に卸す。釣り場で内臓の処理をしていない場合は、この段階で内臓を取る。
・三枚卸しにできたら、腹骨と血合い骨を取り除く。
・皮付きのサクと皮を引いたサクの2種類を作る。
お刺身4種盛の作り方
今回は、基本のお刺身から昆布の旨味ともっちり感を味わえる昆布締めの他、皮付きのサクを使用した皮霜造りと炙りの4種類の作り方を紹介する。同じクロダイのお刺身でも、それぞれ味わいが異なるので是非食べてみてほしい。
お刺身
【用意する材料】
・皮を引いたサク
・薬味(つま、大葉、ワサビ等)
皮を引いたサクをお好みの厚さに切って完成。筋肉の筋を断ち切るように切ることで食感が柔らかくなる。
昆布締め
【用意する材料】
・皮を引いたサク
・昆布(利尻昆布がおすすめ)
・料理酒 少々
・薬味(つま、大葉、ワサビ等)
1,料理酒をキッチンペーパーに染みこませて昆布を軽く拭く
2,昆布でサクを上下から挟む
3,ラップをして3時間~半日程度冷蔵庫で寝かせる
4,サクを取り出してお刺身と同じように切る
皮霜造り
【用意する材料】
・皮付きのサク
・薬味(つま、大葉、ワサビ等)
【準備する物】
・鍋で沸騰させたお湯
・氷水
1,鍋で湯を沸かし、ボウルに氷水を用意する
2,皮付きのサクに横へ切れ込みを入れる(皮に切れ込みを入れる事で、身が丸まるのを防ぐ事が出来る)
3,皮付きのサクにキッチンペーパーを被し、上から湯をさっとかける。
4,皮目が白っぽくなったら、速やかに氷水に入れ締める
5,水気を取ってお好みの大きさに切る
炙り
【用意する材料】
・皮付きのサク
・薬味(つま、大葉、ワサビ等)
【準備する物】
・バナー
・氷水
1,ボウルに氷水を用意する
2,皮付きのサクに横へ切れ込みを入れる
3,網や耐熱皿などにサクを乗せて皮目に軽く火が通るまでバーナーで炙る
4,速やかに氷水に入れて締める
5,水気を取ってお好みの大きさに切る
<杉本 隼一/TSURINEWS・WEBライター>