待ちに待った渓流釣りが解禁する。釣り人は川の流れの中でひと足早く春を感じる。まずは1匹渓流の女王の顔を見たい。その思いで白い息を吐きながらサオを振る。雪が解ければ春本番。本流で大物が動きだす。今回は早春の渓流から本流までのヒレピン渓魚の魅力、釣り方を紹介したい。
渓流釣りの魅力
渓流釣りの魅力は、きれいな水の流れで釣りができること。
清らかな流れの中にエサを振り込んで目印を見つめる。
日ごろの雑踏から解き放たれて1人になれる時間。
集中する時間がとてもリフレッシュになる。
また渓流は周りの景色が季節ごとに変わり、飽きがこない。
釣れる渓魚はパーマークや朱点が鮮やかでまるで宝石と呼んでもいいぐらい美しい。
本流釣りの魅力
水量がありエサも豊富にある本流では、アマゴやヤマメは大型化する。
河川や場所によっては尺上も夢ではない。
長ザオを広大な本流に振り込むと、小さなアタリの後サオが一気に絞り込まれる。
長ザオは弧を描き、本流の魚は最後まで抵抗する。
やっと水面に姿を見せた魚体は銀色の鎧をまとっている。
タモに収めた瞬間、感動と達成感に包まれる。
そんな素晴らしい魚に出会えるのが本流釣りの魅力だ。
渓流釣りは1にポイント、2にタイミング、3にテクニック、4にエサ。
どんな釣りでもそうだと思う。
ポイント選択が一番大事で、一番難しいと思う。
どんな名人でもポイントを間違えたら釣れない。
またタイミングを間違えればこれまた釣れない。
そしてテクニックはもちろんのこと、エサが合っていないと目の前に渓魚がいても釣れないことが多々ある。
早春の渓流のポイント選択
渓流釣りは基本的に3月からの解禁が多いが、東海地方や福井などでは2月から渓流釣りが解禁となる。
雪があるなかでの釣りになることが多くなる。
白い息を吐きながら雪中行軍。
時には目印が凍りつき、手がかじかむこともある。
やっと釣れた渓魚はまだサビが残っていることもあるが、ひと足早い春を感じられる。
2月の渓流は本流ではなく、支流への釣行がベター。
支流は魚影が濃く型こそ小さいが、初期は割と分かりやすいポイントで釣れる。
基本的に石裏や瀬脇などの緩流帯。
淵やエン堤下の深みが狙いめだ。
また初期は日照時間もポイント選びの大きな要素になる。
水温が上がりやすい日当たりのいい開けた流れが良く、山の影になりやすい流れは初期には向かない。
3月はその日の状況に左右される。
解禁から釣り荒れが進んだり、急激な冷え込みがあれば釣りにくくなる。
釣り荒れが進んだフィールドでは、木の真下のエサを振り込みにくい流れや、攻めにくい細い流れなどに的を絞るといい。
また天気が良く水温が上がった日は、本流や支流の流れが速い瀬で一時的に釣れることもある。
年間を通してのポイント選び
大半の河川が4~5月にかけて本流で釣れ始める。
4月~初夏の本流は瀬を中心に狙うといい。
釣れ始めの本流の渓魚は、基本的に食い気があり、いれば割と簡単に釣れることが多い。
しかし増水、渇水、人的プレッシャーにより着き場が徐々に変わっていく。
増水時は分流や瀬の瀬肩に着き場が変わることが多い。
水が引くにつれ、瀬の流芯近くに着き場が変わる。
渇水してくれば、今までエサを流せなかった荒瀬や大淵などが狙いめとなる。
またテトラ周りや橋脚周りは、格好の隠れ家になるので見逃せない。
5月以降は水温が上がり渓魚の活性は落ちる。
また人的プレッシャーにより渓魚は賢くなり数釣りは難しくなる。
しかし5月からが大物狙いの本番だ。
初夏から秋口にかけては、本流の上流部などがメーンステージなる。
ポイントは大エン堤や大淵。
また基本的に水温が低い山岳地帯の河川なども狙いめとなる。
入渓のタイミング
タイミングを予測する方法はいくつかある。
まず各河川の漁協のWebサイトをチェック。
そして釣具店に問い合わせる。
また釣行当日の朝に釣具店に立ち寄り、エサを購入し店主に直接聞くのも手堅い。
最近はSNSも情報が充実しているので、そちらも参考材料になる。
そして何よりもまずは川に1回でも多く足を運ぶこと。
釣れなくても経験値はゼロではない。
釣れないのも経験だと思い、いろいろな河川やポイントに足を運べば季節ごとのポイント、タイミングは見えてくるはずだ。
何度も悔しい思いをし、経験を積み重ね、タイミングがバッチリ合ったときは何とも言えない満足感に包まれる。
渓流釣りの基本的テクニック
基本的なテクニックは「アプローチ」、「サオの持ち方」、「立ち位置」、「流し方」、「アワセ」。
「アプローチ」について
渓流魚は基本的に警戒心が強いので、ポイントへ近づくところから釣りは始まっている。
高台や橋の上からのぞいたり大きな足音を立てたら、それだけで渓魚は警戒する。
ポイントへ近づく際は、川に自分の姿ができるだけ映らないようにしよう。
ただし、広大な本流ではそんなに気にすることはない。
「サオの持ち方」について
サオは両手持ちがいい。
サオ先が安定し、エサに不自然さを与えにくい。
サオは利き腕でサオ尻を持ち、もう一方の手は少し上を軽く支えるようにする。
支え手は強く握らない。
「立ち位置」について
サオ先とエサの角度が鈍角にならないよう、立ち位置は前後左右に修正する。
そして手前の流れから、徐々に対岸の流れを攻めていくのが基本だ。
「流し方」について
基本は上手に振り込んだエサが正面にくるまでは、目印が水面に対し垂直に立つように操作する。
自分より下流にエサが流れだしたら、仕掛けを流れに合わせ送り込んでいく。
しかし実際のフィールドでは見た目よりも深い場所が結構あり、そうしたちょっとした掘り込みに渓魚が潜んでいることが多い。
川の流れは表面が速く流れていても、川底は表面よりも遅く流れている。
目印が表面と同じ速さで流れるときは、オモリを重くして川底をたたくように流そう。
慣れてきたらオモリを徐々に軽くして、自然に流れるように意識しよう。
「アワセ」について
アワせるタイミングは、目印がモゾモゾッとしたり、底掛かりしたように止まったり、目印が上下に動いたときにアワせる。
基本は即アワセだが、活性の低い初期は少し待ってからアワせた方がいい。
<週刊つりニュース中部版 APC・松森渉/TSURINEWS編>