シマノインストラクターの鈴木孝さんに、ハリやカワハギ初心者に向けて釣り方について解説してもらった。ポイントは魚に捕食体勢を取らせる誘い方。参考にしてほしい。
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ハリは『ハゲ系』と『吸わせ系』の2種
ハリス付きのハリを購入するのが一番。選ぶ上で大切なのは、ハリスの太さ・長さとハリの形状。基本の釣りは船下を狙う「縦の釣り」になるので、ハゲ系と吸わせ系の2種類を用意する。
カワハギの活性が高く、中層メインで釣る場合はハゲ系4~5号でハリス2~3号を6cm。活性が低く、海底メインでは、吸わせ系6.5~7.5号、ハリス1・5~2.5号6~10cmを用意。中層でも底でもアタリがでる場合は両種のハリをまぜて使用する。
ハリ先の鋭さはとても重要。甘くなったハリを使用すること=釣果のダウンになるので、魚1尾に対してハリ1本と考える。根に引っ掛かった時もハリ先を爪の上に乗せて状態を確認。ハリ先が滑るようなら即交換だ。
高活性時は、エサ(アサリ)を硬めに締める
船宿で支給されたものか事前に購入してきたものを、50粒を目安に小出しにして使用する。鮮度が悪いと食いは悪くなるので、残りはクーラーに入れておく。外気温が高い時季は特に注意する必要がある。
「カワハギはエサ取り名人」と言われるように、アタリを感じさせないまま、ハリからアサリを取っていくことが多々ある。活性の高いときに軟らかいエサを使用すると、なおのこと取られやすい。そのような場合は小出しにしたアサリを塩で締めて水分を抜き、硬くする。そうすることでカワハギはアサリをひと息に捕食することができなくなり、何回かかじるので魚信を察知しやすくなる。活性が低い時は吸い込みが悪くなるので、軽く締める程度で必要以上に硬くしないよう注意。
硬めはアサリ10に対して塩2。軟らかめはアサリ10に対して塩1の割合。時間の経過や外気温の影響で硬くなり過ぎた場合は海水で洗うと少し軟らかくなる。
大きさは小指の先ほどがベター。大きいアサリが混在している場合は吸水管を取って小さくするといい。
基本の誘い方
自然界のエサを捕食する際、カワハギは常に頭を下に向けている。砂地であれば海底に海水を吹きかけ、出てくる小型の甲殻類やゴカイ・イソメなどの生き物を、岩礁帯ではフジツボや貝類を主なエサにしている。
釣りにおいてもカワハギに捕食体勢、すなわち頭を下に向けた状態をとらせることが重要になる。
アタリについて
誘い方は大きく分けて「縦の釣り」と「横の釣り」があるが、前者が基本になる。誘い下げ、ゼロテンション、聞き下げ(フリーフォール・テンションフォール)の具体的な魚信を3つに分けて解説する。
(1)触り…仕掛けの周りにカワハギがいてエサを突つき始めた時の気配(竿先がフワフワと不規則に揺れる状態)
(2)前アタリ…エサを食べ始めた時の反応(コチッ、コチッ、と初めて手感度や目感度で分かる微妙なアタリ)
(3)掛けアタリ…カワハギの口の中にハリが入った時。手感度や目感度ともにカチッと明確で、くわえ込んだような魚信。
このように(1)~(2)の順でアタリがでる。(3)を確認できたときに聞き上げて掛けにいく。(1)(2)の魚信を感じても、(3)がでるまで(ゼロテンション以外では)仕掛けを止めずに誘い続ける。(1)(2)があってから、(3)を確認するための「食わせの間」を作れるよう、仕掛けの動きに緩急をつけることも大切だ。
「横の釣り」は縦の釣りを十分に習得してからでないと難しいだろう。横の釣りとは、遠投~着水~船下まで引き寄せる間、その各場所で「縦の釣り」をするイメージだ。
鈴木孝
1963年生まれ。東京都江戸川区在住。釣り歴は47年。幼少のころからさまざまな釣りに親しむ。沖釣りは、中学生のころから自宅に近い船宿に通ってハゼやシロギス、カレイなど江戸前の小物釣りを楽しむ。現在はカワハギを中心にマルイカ、アナゴ、フグなど釣行は年間70回以上。カワハギ歴は約17年
<週刊つりニュース関東版 シマノインストラクター・鈴木孝 /TSURINEWS編>