相模湾の夏の風物詩のひとつが、キャスティングで楽しむシイラゲーム。近海で1m級のターゲットが、自分のキャストしたルアーに目の前で襲い掛かるシーンが見られるシイラゲームはとても人気。さらに、ここ数年はそのシイラより「湾マグ」と通称される20~30kgのキハダを狙ったルアーマグロも楽しまれている。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 野呂 昌明)
情報速度アップで様々な影響が
昨今、釣りを取り巻く環境で一番変わったことが、情報速度。近海で大型のマグロが釣れだすと、情報紙やテレビ、SNSなど各方面から連日情報が舞い込んできて、現在進行形の情報をキャッチできるようになった。これはアングラーにとってはとても助かる。
しかし、情報が多ければ多いほど「誰でも簡単に釣れる」という錯覚におちいってしまう人は少なくないようだ。なかにはオフショアゲームの経験が浅いビギナーが、いきなりマグロ釣りの現場に立ち、様々なトラブルに巻き込まれてしまうことが少なくない。
ルアーフィシング講座
せっかく釣りを好きになって「これから楽しもう」と思っている矢先にトラブルに巻き込まれてしまったらうんざりしてしまうかもしれない。
「船上でのトラブルが少しでも減ってくれればいい」と、定期的にルアーフィッシング講座を開催している相模湾の船宿がある。初心者や女性、ファミリーなど、まだまだオフショアルアーフィッシングに不慣れなアングラーや「もう一歩レベルアップしたい」と思っている人を対象に、オフショアルアーフィッシングのエキスパートがインストラクターとして付く。
タックルセッティングから学ぶ
いきなり高難度のマグロゲームに飛び込むのではなく、シイラをメインターゲットにして、タックル選択やラインの結び方、ルアーのキャスト~動かし方、ヒットからランディング、船上でのマナーなど「いろはを知ってもらおう」と始まった企画。
手軽に情報の入手が可能な時代だが、疑問に思っていることや不安に思っていることをエキスパートに直接質問して解決。ラインの結び方やルアーの動かし方を目の前で実践してもらえることは、とても好評なようだ。
講師役として参加した私がもっとも多く聞かれることはタックルの選択と、効果的なルアーの動かし方だ。
シイラゲームのロッド選択
釣り座によって扱いやすいタックルは変わってくる。ミヨシは反り立っているので、海面までの距離が遠くなる。
したがって、短いロッドではキャスト時、ルアーアクション時に操作が難しくなる。
逆に胴の間からトモにかけては、海面までが近くなるため、長いロッドでは同じ操作が難しくなる。
結果、6ft後半~7ftが最適。ミディアム~ミディアムヘビークラスを選択するとベストだ。
シイラゲームのリール選択
ロッドのバランスに合う、シマノで言えば5000~6000番、ダイワなら3000~4000番のソルトウォーターゲーム仕様。
最近は安価なモデルもハイスペックだが、ドラグ性能に優れたタイプを選択しよう。
いつもアドバイスするのはギア比。ハイギアを推奨されることは多いがこれらのリールは”小細工”はできない。ハンドル1回転のラインの巻取り量が多く、慣れないとラインを巻き取りすぎてしまう。ルアーアクション時に重要なラインスラックを取りにくくなり、ルアーをうまく操作できないのだ。
また、大型の魚が掛かると苦労する。自転車で坂道を登るのと同じで、ハイギア(小さい歯車)だとペダルが重くなる。つまり、多くの力が必要で大変だ。リールはローギアの物がいい。
シイラゲームのライン選択
やはりPEラインラインが主流になっているが、ナイロンも悪くない。メリット、デメリットを考慮して選択したい。
【PEライン】
耐久力に優れていてナイロンと同じ強度でも細い。空気抵抗を受けにくくルアーは遠くに飛ぶ。伸縮率が少ないのでルアーのアクションが付けやすい。
キャスト時のトラブルは多く、掛かった魚が急に走って逃げようとした時など、瞬発的な力には弱い。
【ナイロン】
初心者にはこちらがお勧め。トラブルが少なく、大きなイトの伸縮によってバラシが少ない。
残念ながらライン自体の耐久性は前者に比べて低い。
前者なら2号前後を、後者なら16ポンド前後を200mほど巻いておく。ショックリーダーとして、50ポンド前後のナイロンを接続する。