なぜか動物名が入っている「ちょっと変な」名前のサカナたち5選

なぜか動物名が入っている「ちょっと変な」名前のサカナたち5選

サカナには不思議な名前のものがたくさん。そんなちょっと変な名前のサカナの中から、今回は「なぜか動物の名前がついたサカナ」5選を、名前の由来と併せて紹介します。

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目次

魚には2つの名前がある

私たちが普段、図鑑で見るような「マダイ」や「ヒラメ」、「マグロ」と言った名前は実は世界共通の名前ではありません。

これらの呼び名は和名と呼ばれるもので、言わば日本における彼らのニックネームのようなもの。

一つの種に多くの異なる名があったり、複数の種が同じ名で呼ばれたり、地方によって違う名前がついていることもあります。

反対に、世界共通の名前のことを学名と言います。

学名とは生物学的な手続きにもとづき、世界共通で生物の種および分類に付けられる名称のことを言います。

しかし、学名はラテン語で表記されるため、日本人が学名を日常的に使用するのはかなりの努力が必要です。

そのため、学名同様に公式の場でも使えるような日本人用の名前が必要になったため和名というものが使われるようになりました。

日本では、これら2つの呼び方をTPOに合わせて使い分けています。

動物の名前が入ったサカナ達

和名で呼ばれるサカナの中には、見た目などの特徴から、他の動物の名前が入った種類のサカナが多数存在します。

今回はそういった名前のサカナ5種類を紹介します。

また、そんな名前のサカナを食べたら美味しいのかも調べてみました。

ツバメウオ

なぜか動物名が入っている「ちょっと変な」名前のサカナたち5選

成魚のツバメウオ(画像出展:Pixabay)

名前の由来

ツバメウオという名前の由来は諸説ありますが、1つは幼魚の時の姿から。

幼魚、成魚ともに背ビレと尻ビレが長いですが、幼魚の頃は特にこれらのヒレが黒く細長い形状をしています。その見た目がツバメのように見えることからツバメウオと呼ばれるようになったそうです。

もう一つが、成魚を真上から見た時の姿がまさにツバメのようだったということから。

ツバメウオは胸ビレも細長く、真上から見ると、ツバメが大空で羽を広げて飛んでいるように見えるのだとか。

いずれにしろ、ヒレの長い見た目が、名前に起因しているようです。

食べたら美味しい?

ツバメウオは非常に脂が乗っており、地域によっては刺し身やフライなどで美味しく食べられているようです。

しかし、雑食性のため、磯場に生息している個体は独特の臭みがあるのだとか。

夏は比較的臭みの強い個体が多いので、秋から冬が旬で美味しいらしい。臭みのないアタリのツバメウオは脂ものって甘く、非常に美味しいそうなので、出会った際はぜひお試しあれ。

ネコザメ

なぜか動物名が入っている「ちょっと変な」名前のサカナたち5選ネコザメ(画像出典:PhotoAC)

名前の由来

ネコザメには眼の上に皮膚の隆起があります。

その隆起がネコの耳のように見えたことからこの名がついたそうです。日本ではネコの耳と表現されましたが、海外では牛の角だと言われ「bullhead shark」と呼ばれているそうです。

食べたら美味しい?

和歌山県では日常的に食べる文化がある地域も存在します。

狙って捕るのではなく、刺し網漁などでたまたま漁獲されたものが流通するようです。食べる際は湯引きや唐揚げなどの調理をして食べるのがポピュラーだとか。

身は淡白で全くクセもなく、好んで食べる人も多いそうです。

ウマヅラハギ

なぜか動物名が入っている「ちょっと変な」名前のサカナたち5選ウマヅラハギ(撮影:週刊つりニュース関東版編集部)

名前の由来

見た目はカワハギに似ていますが、全体的に細長く、「馬の面(顔)」を連想させることから馬面のカワハギ、略してウマヅラハギと呼ばれるようになったようです。

ちなみに関西圏では、なんとウマヅラハギは「ハゲ」と呼ばれており、普通のカワハギに関しては更にひどい「マルハゲ」と呼ばれています。

スーパーの鮮魚コーナーに並ぶ際は【ハゲ1匹 OO円】のように表示されるらしく、「ウマヅラ」と呼ばれたり「ハゲ」と呼ばれたり非常にかわいそうな名前を持つサカナなのです。

食べたら美味しい?

可愛そうな呼ばれ方をするウマヅラハギですが、彼らはフグの仲間だけあってか、非常に美味しく、関東では高級魚として扱われています。

また、冬になると、内臓の肝が大きくなり、新鮮なものは生でも食べられます。その肝を醤油に溶いた【肝醤油】には熱狂的なファンがいるほど。

新鮮でコリコリのハゲのお刺身を肝醤油にくぐらせ、口の中に入れれば、今まで食べたどんなお刺身よりも美味しいと思うかもしれません。

ネズミゴチ

なぜか動物名が入っている「ちょっと変な」名前のサカナたち5選ネズミゴチ(撮影:週刊つりニュース関東版編集部)

名前の由来

ネズミゴチという名は、尖った口先と、エラの近くにあるトゲがネズミの耳のように見えることからついた名前のようです。

体表が非常にヌルヌルしていることからヌメリゴチと呼ぶ地域も存在します。

ネズミゴチは一般に、釣り人の間では「メゴチ」などと呼ばれていますが、和名で「メゴチ」という名前のサカナは別に存在します。

和名のややこしいところですが、お間違いのないよう気をつけてください。

ちなみに、

・ネズミゴチ:スズキ目ネズッポ科ネズッポ属
・メゴチ  :カサゴ目コチ科メゴチ属

全くの別種なのは一目瞭然ですね。

食べたら美味しい?

天ぷらやお刺身で食べるのがポピュラー。

他のサカナに比べて、ヌメリが強いため、下処理の工程が多く、あまりメジャーではありませんが、味はキスの天ぷらよりも美味しいという人がいるほど。

関東のちょっと高級な天ぷら屋さんでは実はかなりの確率で用意されているとか。見かけた際はぜひ注文してみてください。

オオカミウオ

なぜか動物名が入っている「ちょっと変な」名前のサカナたち5選オオカミウオ(画像出典:PhotoAC)

名前の由来

今までの4種類のサカナとは違い、このサカナは「見た目がオオカミのような見た目だから」というわけではありません。

オオカミウオの口の中には非常に大きな歯が並んでおり、これを使って貝やウニなどをかみ砕いたり、甲殻類をボリボリと噛み砕いて食べるそうです。

名前の由来はこの尖った犬歯や強靱な顎などの特徴からだと言われています。

食べたら美味しい?

日本国内ではあまり流通していませんが、アラスカ、カナダなどではフライなどで重宝されています。

日本で食べようとした場合は、北海道あたりまで行かないとなかなかお目にかかれない一品。

身質は少し水っぽいので、刺し身には向きませんが、加熱することで驚くほど美味しくなるのだとか。ちなみに唇はプルプルのゼラチン質。

オオカミウオのフィッシュバーガーなんて売り出せばもしかしたら流行るかもしれません。

変な名前・変な見た目の魚は美味しい

今回紹介した5種類のサカナたちは「和名」にすると、名前の中に他の種類の動物の名前を持った変わったサカナたちでした。

その名前の由来はだいたい見た目に由来していたり、中にはオオカミウオのように体の特徴からイメージするような動物の名前を含んだりしていました。

こういった魚は日本では地魚として扱われる程度で、なかなか一般的とはいえませんが、実は食べてみれば驚くほど美味しかったりします。

地方に遊びに行った際に、もし動物の名前が入ったサカナの料理があったらぜひ食べてみてください。

美味しさへの近道かもしれません。

<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>