博物館などに行けばよく見かけるのが骨格標本。これが釣ってきた魚でも比較的簡単にできるなら、記念に置いておく事もできるし、少々マニアックな部屋の飾りにもなる。今回はそんなちょいマニアックながらも、実は比較的簡単にできちゃう魚の骨格標本の作り方を伝授!
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
目次
博物館イベントで伝授された方法
筆者は家族揃って生き物好きで、博物館などの自然科学系のイベントにはファミリーで参加も多数である。今回紹介する、骨格標本の作成方法は、和歌山県立自然博物館で行われた「骨格標本を作ろう」というイベントで教えて貰った作成法で「案外自宅でもできるじゃん」と言うものだ。
骨格標本は生き物の骨の位置関係を調べるのはもちろん、さまざまな情報収集に役立つ学術的な意味合いも強く、いろいろな分野で活用されてきた。もちろん、専門家になるとヨゴレ一つない立派な骨格標本もできるが、その用途によっては手間を省くこともある。
夏休みの自由研究にいいかも
今回の目的は、何と言っても身近な釣魚を骨格標本にして残してみよう…という点だ。子供たちも一緒に、これから始まる夏休みの1日を使って、自然科学との触れあいを持ってみよう。早めに始めて、夏休み明けの始業に間に合えば、夏休みの自由研究にも使えるぞ。
骨格標本の作成法はいろいろあって、筆者は学生が頃の実験では布に包んだ魚を1度煮て、ピンセットで身を外しながら骨を拾い上げて、別の画用紙の上に骨を並べつつ骨格を再現すると言う方法。
今回は生の魚を使って、最終的にはミルワームという昆虫の幼虫に骨に突いた肉を食べてもらう方法だ。
骨格標本作製に必要なアイテム
まず、骨格標本を作製するのに必要なものは
・魚(釣ってこよう)は冷凍した物でもOK
・先の尖ったピンセット
・カッターナイフ(できれば実験用のメス)
・発泡か軟らかめの木の板
・まち針
・ミルワーム(おがくずに入った箱入り)
・エアコン
・冷蔵庫
夏場の骨格標本作りでもっとも重要なのが気温。生の魚を扱うので、暑い中でやるとすぐに魚が傷んでしまう。いや、傷んでもいいのだが、部屋中に生臭いニオイが広がるので、エアコンで部屋を冷やすのは必須なのだ(笑)。
ミルワームの正体は?
さて、今回使用するミルワームはゴミムシダマシという小さな昆虫の仲間で、ペットショップに売られている。本来はペットして飼っている鳥やは虫類、両生類などのエサとして売られているもの。扱う注意点としてはとにかく低い温度下で置いておく事。なんせ、本来は昆虫なので、カブトムシやクワガタムシと同様、気温が高くなってくればサナギになり、成虫になってしまう。
先ずは余分な部分を取り除く
実際の手順に入ろう。まず骨格標本にする魚を板の上に置き、内臓や目玉などは全て取り除いてしまう。ちなみにコレ↓はサンゴアイゴという魚。
背ビレ、尾ビレ、胸ビレなどヒレをカットしないように、皮に切り目を入れてピンセットでめくるようにして剥がす。身はボロボロになっても構わないので、骨は切らないよう注意が必要だ。
頭皮も忘れずに!
実は身の上に乗っている皮は比較的簡単に取れてしまうが、面倒なのは頭部など身の付いていない部分。頭部など骨に皮が付いている部分は特に、剥がすと言うよりもこそげ取るといった感じで、ピンセットの先やカッターナイフ、まち針の先などを駆使して剥がしてしまう必要がある。
その理由は簡単で、骨以外の部分を食べて貰うミルワームは皮や膜などを食ってくれないのだ。つまるところきれいに食べてなくなるのは肉だけである。
魚の種類によってはこの頭部の皮を剥がすだけで数時間かかるものもあるので、手間のかかる魚に当たった人は、運が悪かったという事で(笑)。
ミルワームは肉しか食べない!
前述のように、ミルワームは膜も食べないので、ヒレの棘や軟棘をつなぐ薄い膜も取ってしまう必要がある。背ビレや尾ビレなどはすべて薄い膜で繋がってウチワのようになっているので、そのウチワを骨だけにする感じ。
そして、肉を食べてくれるとはいえ、小さな虫だけに食べる量や速度は遅く、肉片を大量に残すと食べ残しができてしまうので、これでもか…と言うくらい、骨に付いた肉もこの時点で取ってしまうのがコツだ。
で、皮と膜部分は絶対、肉もほぼ取り除いたら、今度は見た目をかっこうよくするために、まち針で各ヒレをしっかりと広げて仮固定する。この状態で少し乾かして、ある程度固まったらいよいよミルワームにお任せ。
ここでミルワームを投入
コンテナなどに入れて密閉できる容器に、おがくずとミルワーム(できるだけたくさん)を入れ、そこに魚を乗せてフタをし、ミルワームが羽化しないように冷蔵庫に入れて待つ。実際にはこの待つ時間が長い!
短ければ1カ月ほどで完成するが、ちょっとミルワームの活性が低い条件などに当たってしまうと、数ヶ月を要する。ま、その間は時々確認しながら放っておけばいいんだけどね。
完成したらガラスケースへ
完成した骨格標本はガラスブタのケース(我が家ではプラスチック製の簡易標本箱)に入れ、ハリで固定する事によって、壁掛けのように立ててインテリアに。
ちなみに真っ白のまま置いておきたいなら、キッチンで使用する漂白剤に30分ほど浸ける方法もあるが、こちらは骨の表面を溶かすのでボロボロになる可能性もあるからご注意。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>