駿河湾のカワハギ釣り場のひとつである御前崎沖。
水温が25度前後に入ると20cm半ばの良型サイズが狙えるようになり、出船する船宿が出てくる。
これより水温が上がるとベラやトラギスなどエサ取りに悩まされることが多いものの、潮流のある御前崎ならではの引きの強さや、肝パンの個体が釣れてくるのが特徴。
高水温シーズンのエサ取り対策
かつて船カワハギの釣り教室で印象深かったのは、昨年10月に開催したときのこと。
水温が高めに推移しておりエサ取りが多く苦戦が予想されていた。
しかしそれにも関わらず、船中80尾超えと過去の教室でもトップクラスの釣果となった。
今季は黒潮の蛇行により暖水の流入が多く、水温が高く推移していることから、昨年同様にエサ取りは多そうだ。
10月下旬から11月は荒食いと型狙いとなりそう。
エサ取り対策と食い渋り対策を万全にしていきたい。
ゲーム性の高いこの釣りでは、生アサリを塩締めやアミノ酸、各添加剤で締めて、硬さに変化を付けると効果的。
近年では、生アサリ特有のヌルだけを取り除き、固さはそのまま付けやすくする添加剤など、さまざまなものが販売されている。
大井川港・喜久丸の増田船長のお勧めは、青イソメやエビのむき身、生貝のヒモ、イカ短。
エサ取り対策ではイカ短や繊維質の強い貝ヒモが効果抜群。
貝ヒモは生鮮食品売り場で見つけたら、ぜひエサ用に冷凍保存しておきたいアイテム。
季節による釣り方の選択と仕掛けの選び方
使用する仕掛は市販の標準的なモデル。3本バリ仕様。
ハリ先チェックが手間ではない人はハリ交換対応モデル。
自信のない人や初心者は、ミキイト直結モデルがいいと思う。
根の荒い御前崎沖では仕掛けの消耗が多いので、十分な予備を持って行こう。
シーズン初期は根周りのきつい場所を探ることがあるのでミキイトを5セット、種類の異なるハリがそれぞれ10組あると安心。
オモリは集魚性の強い専用オモリに加えて複数入っている徳用鉛があると安心。
お勧めしたいのがここぞのタイミングで使用する軽量バリ。
渓流8号にフロロ2号を結んで準備しておく。
周りで良型が釣れた時は迷わず選択しよう。
吸い込むように捕食するカワハギには、軽量で吸い込み重視のハリが効果的。
ただし細軸でハリ先が硬いので、エサ取りが多い時や根のきついエリアでは消耗が激しいので注意。
仕掛けの工夫
仕掛けの枝間も釣りに大きく関係する。
この間隔が長ければそれだけ広範囲のタナを探れる。
またはわせれば、海底を広範囲に探れる。
逆に枝間が小さければ、底中心に仕掛けを止めることが可能。
宙に浮かせれば、11月ごろの群れた魚を集中的に狙える。
枝スの長さと枝間のバランスも大切。
基本として枝間の長さは枝スの長さの倍にする。
これは枝ス同士の絡みを防止するためで、胴突き仕掛けと呼ばれるこれら様式の基本。
枝スを出す位置を移動できる仕掛けが販売されているので、その時の活性に応じて間隔を調整してみるといい。
仕掛けを自作してみよう
イラストでは、交換式の仕掛けを紹介。
エサ取りの活性が高く、根の荒いエリアで、仕掛けの消耗が激しい場合を想定している。
魚の活性に応じて、集魚パーツを簡単に使い分けられるタイプなので便利だと思う。
ヘラブナ用の松葉をウキ釣りの遊動仕掛けに使うウキ止めでミキイトに固定。
これに『からまんホタル/LUMICA』Sサイズを取り付ける。
魚の活性など、必要に応じて集魚パーツを取り外し、移動も可能。
枝スは『YHビーズ/YAMASHITA』で接続。
オモリ側は8の字結びを使い、『ハヤテシモリ/OWNER』の極小で止める。
もうひとつのハヤテシモリの極小でYHビーズをはさみ、竿先側はこぶ結び。
こぶ結びは楊枝などで穴の位置をぎりぎりまで調整できる。
根掛かりの多いエリアで対応できるように、徳用の六角オモリにナイロン2号程度のステイトを結んでおくと便利。
コブで止めれば、根掛かりしたときに、そこから下だけ切れる。
松葉に集魚器具を装着する(右)。
釣り方の考え方
駿河湾での最盛期は例年9~11月。
越冬前の荒食いを見せる時期といわれている。
9~10月は浅場に散っていた魚が群れを作り始め越冬に向けて荒食いを始める時期。
ある程度水温が低下し、魚が群れているような状況であればタルマセ釣りやタタキ釣りがいい。
特に25cmを超えるような大型とワッペンサイズが入り交じるようなら、タタキ釣りを中心にすると小型のカワハギを避けて大型を中心とした釣果になる場合がある。
11月以降、肝が大きくなり、ハイシーズンになるころは、次第に深場へ向かう。
より繊細な誘いが必要になる。
タタキの強弱を調整したり、着底後にオモリ1個分を海底から離して竿先に出るアタリで釣る「待ち釣り」などを駆使して次第に食い渋るカワハギを狙う。
1月以降、外気温が最も低くなり始めるころでもまだまだ狙える。
タタキ釣りで魚を呼び込んだり、タルマセで自然なエサの演出をするなどして釣果を伸ばす。
仕掛けの選び方
仕掛けにはハリの号数に加えて枝スの長さ、枝スの間隔など、さまざまな種類がある。
活性に合わせた釣り方と、釣り方にあった仕掛けで初めて数を伸ばせる。
枝ス(ハリス)の長さの目安
・聞き釣り、タタキ釣り、待ち釣りの場合
どのテクニックもアタリ重視の釣り。
その場合、市販のものは平均して7cm前後なので、ハリス交換タイプなら、ハリスをいったんハリス止めから外して、長さを4~5cm前後と短くして使用する。
・タルマセ釣りの場合
エサを十分に吸い込ませることを重視。
また着底したエサが少しでも自然に漂い、十分に吸い込むように長めの枝スで使用する。
魚の活性やアタリの出方に応じて1cm単位で長さを調整するが、長さは4~7cmの間で使用。
だたし枝スの長さは人それぞれで、はわせる長さによっても変わってくる。
まずは市販仕掛けのままで、さまざまなテクニックを1つ1つ確実な物にしてからハリスの長さを調節してみよう。
※2017年10月22日、11月19日に大井川港の善久丸ほかで教室あり
<イシグロフィッシングアドバイザー・加藤義之/TSURINEWS編>