魚がジャンプする4つの理由を解説 もし人間が同じこと出来たら?

魚がジャンプする4つの理由を解説 もし人間が同じこと出来たら?

海や川に訪れた際に、「バシャ」と魚が飛び跳ねているシーンを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。なぜ水の中で暮らす魚が、水面を割って飛び跳ねるのでしょう。今回は魚が飛び跳ねる理由を4つ紹介していきます。

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なぜ魚はジャンプする?

魚が飛び跳ねる場合、その理由は4つに大別されると考えられています。そして、飛び方や高さ、飛距離などもそれぞれ異なるようです。

魚が飛ぶための理由を紹介するとともに、もし人間が同じようなことをしたらどうなるのか予想してみました。

①健康維持のため

海で釣りをする人なら一度は見たことがあるかもしれない「ボラの大ジャンプ」。

バチーン!と痛そうに落ちていますが、あのジャンプの理由は諸説あります。

一説によると、ボラは体に寄生虫がつくと水上にジャンプし、その衝撃で寄生虫を弾き飛ばすそうです。

その高さは推定数十cm。ボラの体長から考えると体長の2倍くらいの高さまでジャンプし、着水の衝撃で寄生虫を除去していると言えます。

釣り人からすると「ボラが飛び跳ねるとその大きな音と、振動のせいで回りの魚が逃げて釣れなくなる」などと敬遠されがちですが、あのジャンプは彼らなりの健康法なので、大目に見てあげましょう。

もし人間が同じことをしたら?

例えば蚊に刺されそうになった時に、突然約3mくらいまでジャンプ!そこから真横になって地面に落ちるのと同じでしょう。

確かに蚊は潰すことは出来ますが、その他にクリティカルなダメージを受けることは間違いありません。

2本の腕があってよかった・・。

②捕食行動

魚がジャンプする4つの理由を解説 もし人間が同じこと出来たら?写真提供:Pixabay

魚が水面付近の昆虫などのエサを捕食する際に飛び跳ねることがあります。

代表的なのはイワナなどのサケ・マス類の川魚でしょう。

彼らは水面に落ちてきた虫などを、下から突き上げるように捕食し、その勢い余って水上まで飛び出てくるのです。

そして、彼らの見せるジャンプ力は想像のはるか上を行きます。

自然界の食欲旺盛な個体は、自分の体長の数倍はあろう高さまでジャンプし、木の枝についている昆虫を捕食することもあります。

もし人間が同じことをしたら

お腹が減った時に、5mくらいの高さの木の枝に止まっている鳥などを一回のジャンプで鷲掴みにするのと同じでしょう。

ちょっと欲しいと思う能力ではありますが、筆者はお金を払ってコンビニで食料を調達する方が楽だと考えてしまいます。

③障害物を越えるため

魚がジャンプする4つの理由を解説 もし人間が同じこと出来たら?写真提供:Pixabay

目的地までの間に障害物があり、それを越えなければならない際に魚は飛ぶことがあります。

鮭などの遡上がその代表的な例と言えるでしょう。

中でもサクラマスは4~5mの滝を登ることもあります。しかし、すべての個体がこの能力を有しているわけではなく、ごく一部の力のある個体のみがこの大きな壁を越えられるのです。

産卵に適した場所にたどり着くことができるのはほんの一握り。非常にシビアな世界です。

また、ことわざで「鯉の滝昇り」という言葉がありますが、実際に滝を登れるほどの泳力を鯉は有していません。

この言葉には「鯉が滝登りに成功し、龍となって天まで昇る」という成功祈願の意味が込められており、「滝登り」ではなく「滝昇り」と表記されてます。

もし人間が同じことをしたら

魚たちは静かで安全な産卵場所を求めて遡上をし、そのために障害物である滝を越えます。

人に例えた場合、自身の7~8倍もの落差のある滝を登るのは、大型プールにある垂直落下する13m級のスライダーを下から泳いで登っていくのと同じと言えるでしょう。

「スライダーの上で待つ恋人に逢うため。」

愛の力は偉大である!と、思うかもしれませんが、同じように恋人もスライダーを登っていることを忘れないでください。

④逃げるため

魚がジャンプする4つの理由を解説 もし人間が同じこと出来たら?写真提供:Pixabay

魚は自分より大きな捕食者から逃げる場合や驚いた時に、水中での逃げ場がなくなると、水上へ飛び出し、食べられないように逃げ回ります。

もうお判りかもしれませんが、その最たる例がトビウオです。

彼らは逃避行動の際にジャンプするように「跳ぶ」のではなく、グライダーのように「飛ぶ」。滑空するのです。

彼らは、非常に発達したヒレを持っています。

胸ビレと腹ビレが飛行用に発達しており、これら4枚のヒレを巧みに使ってグライダーのように滑空しながら自由自在に飛び回るのです。

また、尾ビレは下側が長くなっているので、水中で速度を上げて助走し空中へ飛び出すための推進力や、より遠くまで飛ぶことに適しています。

高さは1.2mにも達し、そこから滑空をするのです。

彼らは、この滑空を繰り返すことにより、水中に戻ることなく最大で400m程度の移動を可能としており、その時のスピードは時速60㎞前後にもなるそうです。

この驚異的な能力を発揮することで、彼らはマグロなどの大型の肉食魚から逃げられるのです。

もし人間が同じことをしたら

トビウオの体長は大きくても40㎝弱であり、飛行距離から考えると、自身の1,000倍もの距離を飛行していることになります。

人で例えた場合、1.5㎞~2㎞弱もの距離を飛行することになります。

競技スペース確保の観点から、走り幅跳びという競技は存在しなくなるかもしれません。

まとめ

魚にとって「飛ぶ」能力はすべての魚が持っていないことから、必ずしも必要ではない能力でしょう。

しかし、産卵に安全な場所に向かうためであったり、餌を確保するため、捕食されないために発達した能力は彼らの生存本能が導き出した一つの答えなのだと言えます。

彼らの驚異的な身体能力には敬意を表します。

魚の中には「飛ぶ」こと以外にも生き残るために発達した能力が他にもたくさんあります。それはまた次の機会に紹介させていただきます。

<近藤/TSURINEWS・サカナ研究所>