近年愛好家が増えているスピアフィッシング。「開かれた海」の象徴とも言えるレジャーですが、軋轢の原因ともなっているようです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
海の人気レジャー「スピアフィッシング」
近年、古くからある「海のレジャー」の人気がじわじわと上昇しています。そのレジャーとは「スピアフィッシング」。
スピアとは銛のことで、スピアフィッシングとは「海に潜って魚を銛で突く」行為のことです。普通の水着で潜る人もいますが、一般的にはウェットスーツを着てシュノーケリングをしながら素潜り(スキンダイビング)をして魚を突きます。
スピアフィッシングの釣果(提供:PhotoAC)水中の機敏さでは決して敵わない魚を、知恵を駆使してハントしていく楽しみは他のレジャーにはないものです。
地域によっては制限や禁止も
そんなスピアフィッシングですが、最近しばしばフィールドでのトラブルがニュースに取り上げられています。先日も鳥取県でスピアフィッシングを行っていた男性と遊覧船が衝突した件が報道されました。
スピアフィッシングは水中にいる時間も長く、船からはその姿が見えていないことも多いです。そのため浮上のタイミングで船とかち合ってしまうと大事故につながりかねません。
スピアフィッシャーのふりをした密漁者も検挙されている(提供:PhotoAC)またスピアフィッシャーの格好や行為は素潜り漁師のそれとほぼ変わらず、密漁者と混同されがちです。実際にスピアフィッシング中にアワビやイセエビを密漁し検挙される例も出ています。
これらの理由から、一部地域ではスピアフィッシングを漁業調整規則というルールで規制しています。また「銛を使うこと」は禁止されていなくても「水中眼鏡を併用すること」を禁止する形で結果的にスピアフィッシングをできなくしている海域もあります。
マナー向上と地域とのすり合わせが喫緊の課題
このような例を聞くと「じゃあもうスピアフィッシング自体を法律で禁止したら良い」という意見を持つ方もおられると思います。ただそもそも我が国は海岸法という法律で「海岸線は何人にも開かれている」と規定されており、スピアフィッシングを行う自由を毀損することはできません。
また狙った魚を銛で突くという行為は乱獲に繋がらず、釣りや網漁と比べて自然への負荷が少なく、環境破壊も発生しません。レジャーとしては本来好ましいスタイルなはずなのです。
スピアフィッシングは楽しい(提供:PhotoAC)ただ、これらの真理も先述のような事故や密漁などのルール違反があれば全て無意味になってしまいます。浮上時の衝突事故は、大きくて視認性の高いフロートを水面に浮かべておくことでかなり回避できるはずですし、密漁はしないことはもちろん、怪しい人間を相互監視ししっかり通報することなど、界隈の中で撲滅させていくことが可能です。
これらの行為で界隈のマナー向上を行うと同時に、その地域の人たちにもその様子を伝えていくことによって、スピアフィッシングがより市民権を得られるのではないかと思います。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

