魚をおいしく食べるには、上手に捌いて適切に保存する必要があります。そこで、今回は、代表的な魚種ごとに捌き方を解説します。板前さんに聞いた失敗しない捌き方や身を傷めない方法、おいしく保存できるアイテムなども紹介していくので、すでに魚捌きに慣れている人もぜひ参考にしてください。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部・五井)
おいしく保存するために
腹腔やエラの中をキッチンペーパーで丁寧に拭き取ったあと、魚を胴体のまま保存する場合は、腹腔やエラの中に密着させるようにキッチンペーパーを詰めます。保存中に魚から出るドリップを吸収させるためです。
エラと腹腔内に密着させて詰める(提供:TSURINEWS編集部・五井)また、魚の頭を落とした場合は、腹腔に突っ込んだペーパーの一部を折り返して切断面に当てると無駄がなく密着性も上がります。
魚体を包む
保存する際は、キッチンペーパー等で全体を包み、その上からラップで巻きます。でも、もっとおいしく味わいたいなら、紙屋街のグリーンパーチという専用の保存紙を使うのがお勧めです。
プロも愛用する保存紙グリーンパーチ(提供:TSURINEWS編集部・五井)鮮魚の流通業界、料亭や寿司店などで昔から使われている保存紙です。
どうしてグリーンパーチなの?
なぜプロの人たちはグリーンパーチなのでしょうか?。もちろんキッチンペーパーでも構いませんが、キッチンペーパーは濡れた食材や調理器具を拭き取ることも想定して作られています。このため、吸水力が強く、魚を寝かせるにはオーバーパワーとも言えます。
一方で、グリーンパーチは魚を保存するために作られたもの。水分の吸収が穏やかなので、潤いを保ったまま、出てきたドリップだけ吸い取ります。触った感触はパリッとしていますが、魚体に触れて湿ると柔軟になり、身の形に合わせて密着させることができます。
魚にしっかりと密着させる(提供:TSURINEWS編集部・五井)なお、魚を保存するときは空気に触れないようにするのが鉄則。しっかりとグリーンパーチを密着させ、その上から空気を押し出すようにしてラップで密閉しましょう。
空気を押し出しラップで密閉(提供:TSURINEWS編集部・五井)また、グリーンパーチを含め、包み紙やラップは毎日交換します。放っておくのは雑菌を繁殖させ、魚の身に臭いも移ります。腹腔やエラに入れたキッチンペーパーも同様です。
表面の水分を検証
グリーンパーチの特性が、どのような効果をもたらすのか?。そこで、一般的なキッチンペーパーと比較検証してみました。
二晩寝かせた魚の表面
マダイとアジでそれぞれ実験しました。写真では少しわかりづらいですが、キッチンペーパーのほうは、表面が少し乾いた感じ。一方でグリーンパーチのほうは立体感を保っていました。また、潤いについては指でなぞると差は明確。前者は引っかかり感がありますが、後者はスル~と指が滑りました。
マダイとアジで実験(提供:TSURINEWS編集部・五井)一方で皮の薄いアジはより明確。写真のアジは、それぞれ保存に使った紙を下に敷いてあります。キッチンペーパーで包んでいたものは、皮に少し皺ができていますが、グリーンパーチで包んでいたアジの皮は、張りと潤いを保っています。
下がグリーンパーチで保存したアジ(提供:TSURINEWS編集部・五井)さらに、表面の水分がどうなっているか確かめるために乾いたキッチンペーパーを押し当ててみました。結果は写真の通りです。
実際に食べ比べてみた
続いては気になる実食です。取材日の2日前に、味彩さんでマダイとアジの仕込みをしてもらい、それぞれキッチンペーパーとグリーンパーチで包んで寝かせました。マダイは刺身で、アジは塩焼きでいただきました。
まず、マダイの刺身ですが、今回の取材で協力してもらった紙屋街の鈴木さん、そして店主の吉田さんと筆者も食味を検証しました。
三人とも感じたのは、弾力の強い食感と、身の自然な甘みがグリーンパーチのほうが強く感じられました。また、吉田さんは「後味の深みが違う」と言っていました。水分や旨味が身に閉じ込められていたためではないでしょうか。
食べ比べ検証を実施(提供:TSURINEWS編集部・五井)続いてはアジ。味彩さんで名物の炭火焼きです。焼いているとき、グリーンパーチで保存したアジは、肉汁の流出が多く、水分を保持しているのがわかります。食べてみるとそのぶん身がフワッとしており、もちろんジューシーでした。
理科的に実験
ただ、味やジューシー感はとても感覚的なもの。これを可視化できないかと思い、実験をしてみました。グリーンパーチとキッチンペーパーでアジを包んで2日間寝かせたあと、家庭の電気式グリルで15分間強火で焼きました。焼き終えたあと、キッチンペーパーの上にアジを置きドリップが流出し切るまで吸わせてみました。
こんなに違ったジューシーさ(提供:TSURINEWS編集部・五井)さらに、皮や身の柔らかさにどんな差が生まれるか実験。箸でつまんで見たところ、グリーンパーチで包んだアジは皮が軟らかく身がすぐにほぐせました。
皮も身も軟らかく容易にほぐせた(提供:TSURINEWS編集部・五井)キッチンペーパーのほうは、少し干物っぽくなっていたのか皮が硬く、なんと箸でつまんだままアジ本体が持ちあがる結果に。すみません。キッチンペーパーを否定するつもりはなかったのですが、結果としてこうなりました……。
皮が…硬くて…持ちあがった(汗)(提供:TSURINEWS編集部・五井)実証を動画で観る
厄介な生ゴミの対策
さて、ここまで魚の調理について書いてきましたが、魚を捌くと生じるのが生ゴミ。暑い季節は臭いが気になりますよね?
生ごみ対策に「臭わない袋」(提供:TSURINEWS編集部・五井)そこで、紹介したいのが同じく紙屋街の「臭わない袋」。もとは特殊な包材で作られたパン用の袋なのですが、その機能は生ゴミにも有効です。
下処理と保存法で魚の味が変わる
さて、今回は魚の下処理と捌き方をメインに、保存の基礎まで紹介しましたが、手間をかけて仕込んだ魚はやっぱりおいしい。
彩さんでご馳走になった今回の魚(提供:TSURINEWS編集部・五井)お金と時間を費やして釣ってきた魚なのだから、おいしさを追求したいのが釣り人の本望。今回紹介したノウハウやアイテム、ぜひ次の獲物で試してみてくださいね。
<五井/TSURINEWS編集部>

