渓流釣り師の皆様は、「引き水」というワードをご存知だろうか。これは警戒心の高い渓魚の食いが活発化し、釣果を得やすい最高のタイミングだと言われている。今回は、渓流釣りの釣果を左右する外的要因の1つであり、かつ影響が最も大きいと言っても過言ではない「引き水」について紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
引き水とは?
まずは「引き水」がどのような事象を指すのかをみていこう。
増水後の水位変化
雨が降り、川の水位が増える状態の事を「増水」と呼ぶ。ここまではごく一般的な話だ。
この増水状態から、水位が下がり始めた(引き始めた)タイミングを総じて「引き水」と呼んでいる。この引き水という言葉を使うのは、渓流師や川に関する産業で生活している方々のみだろうと推測されるので、一般的な言葉ではないと思われる。
増水と何が違う?
増水中は河川上流部から土砂やゴミが流れ込んでくるため、一般的にかなり濁った状態になる。多少の増水であれば渓魚の警戒心が薄れて良いのだが、やはり水位が高いと渓魚の定位場所(着き場)が変わるため読み辛くなり、仕掛けのコントロールも難易度が上がる。
また、増水があまりにキツイ際は、渓魚達は餌を活発に追う事無く、緩やかな場所や底の方でじっとしていることが多い。
濁り方がベスト
水位がある程度下がり始めた頃というのは、上流からの土砂流入が減ってくるため、水中はささ濁り状態となる。この状態は外敵から姿を隠しやすく、渓魚の警戒心も低くなっている。かつ上流から餌が豊富に流れてくるため、渓魚達の警戒心を大きく引き下げると言える。この上ないチャンスという訳だ。
最高の濁り具合(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)空腹のため活性アップ
直前の増水時にじっとしているという事は、ほとんど餌が食べられず空腹状態であるという事だ。水が引き始めたタイミングで渓魚達は捕食を再開するため、どの水位状態よりも圧倒的に食いが立ち、好釣果が期待できる。
良型が多く出る(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)引き水の見極め
では、渓流釣りにとって最高とも言えるこの引き水は、どのように見極められるのかをみていこう。
天候と雨量
何をおいてもまずは天候、特に雨量だ。目安として、丸1日雨が降り続いた場合は、雨量にもよるがその2日程度後が引き水となる。雨量が特に多かった場合は3~4日後がベストとなるだろう。
局所的な雨が数時間だけざっと降った場合は翌日が狙い目だ。仮に数日間雨が降り続いた場合は総雨量によるので、完全に水量・水位との相談になる。
水位
雨量だけでは判断し辛い時に役立つのが川の水位だ。これは国土交通省や河川管理事務局が公開しているライブカメラの映像と水量の数値が大変参考になる。よく通う川の平常時の水位を記録しておき、「+10cmまでは釣りになる」といった事を普段から把握しておくことが重要だ。
遡行にも細心の注意を(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)ちなみに著者のホームリバーの場合、本流の水位が+30cm以上になると釣りにならず、ベスト水位は+10cm~20cm程度であることが判っている。理想となるのは、平水時から10cm増水した時よりも、雨が降った事により+30cmから+10cmに下がった時だ。
この辺りは河川によって多少差があると思われるので、是非ご自身のホームリバーで記録をつけてみてほしい。
釣行タイミング
アングラーの皆様は、釣行日=休日でほぼ確定しているであろうことから、この見極めはかなり辛いものとなる事が予想される。とはいえ、木曜に雨が降った場合、釣りに行くべきは土曜か、はたまた日曜か。どちらがベストな引き水にあたるか、といった時に参考にして頂きたい。
引き水時の攻め方
ではここから、引き水時の具体的な攻め方について紹介しよう。
ポイント選定
最も重要と言えるのが、その日の入渓場所の選定だ。本流が+10cmであっても、支流は+20cmだった……なんて事があるのが渓流。過去の実績等も加味しながら、雨後にベストな水位になっている川・場所を選びたいところだ。
実際に現地周辺に到着してから、水位がやや高めでささ濁りになっている場所、という風に判断しても良いだろう。
こういった場所をチョイス(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)使用する餌
濁りがキツイ場合はミミズが一般的だが、ささ濁り時は割と何でも食ってくる印象だ。ただ著者はヒラタ(ナデムシ)に最も実績があり、本流の場合はやや大きめのクロカワムシが最高だと感じている。場所によっては地堀のミミズが抜群になる事もあるので、頭に入れておきたい。
仕掛け
使用するオモリは、平水時よりもワンサイズ重めが良い事が多い。オモリサイズは豊富に用意しておき、増えた水量に対応できるようにしておこう。ラインは大物がヒットしやすい事も加味してワンランク太めをオススメする。
前提として、ささ濁りで警戒心が薄れている事もあり、やや太めのラインでもヒットしやすいのだ。針サイズは使用する餌に合わせてチョイスするのが良いだろう。
あちこち攻める
普段は水深が浅かったり流れが緩すぎてイマイチな場所も、適度な水位と流れにより好ポイントに化けることがある。普段なら攻めない場所も積極的に攻めてみてほしい。勿論、普段からのテッパンポイントもオモリサイズ変更等により攻略したいところだ。
定位場所を読む
例えば普段好釣果を得られる淵や深瀬があったとする。普段なら流れの先頭、中央のエグレ等が好ポイントになるだろうが、引き水の時は意外と流れの尻や緩流帯に魚が溜まっていたりする。
これは水量・水流に対応するためであったり、より活発に餌を食うため、やや下流部から水量に乗じて遡上してきた個体が休憩していたりするからだ。このような定位場所の変化に気付くことが出来れば、爆釣間違いなしだ。
定位場所の違いを知る(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)最高のタイミングを狙おう
渓流釣りのような、河川全体の魚のストック量がある程度決まっている場所で釣りをする場合、やはり環境の変化が大変大きな要素となる。逆に言えば、天候という最大の外的要因を味方に付けてしまえば、思う通りの釣りが展開できるという事でもある。
渓流釣りというのは、釣行前から始まっているのだ。日頃から天気や河川の水量に気を配っておき、最高のタイミングで釣行できたならば、普段よりも良い釣果を得られるよう頑張ってみてほしい。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>






