いよいよ渓流釣りは最盛期に突入した。釣りの面でも、食の面でも旬を迎える渓魚を食すにあたり、副菜として楽しめる美味しい食材がタダで手に入るとなれば、採取しない手はないだろう。今回は、渓流釣りと相性のいい野草採り第四弾と称し、もはや「野菜」と呼んでも差し支えのない、渓流釣りの最中に入手できる野草を紹介していきたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
どこまでが野草?
スーパーの野菜コーナーに並ぶ物こそが野菜である、というのが一般的な認識だが、場所が変われば食材も変わるのが世の常。ご当地食材とでも言うべき野菜・山菜は実に数多くあり、以前著者が紹介したウワバミソウ(ミズ)等はまさにこれに該当する。
スーパーに並ぶこごみ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)渓流釣りはその特性上、山の奥深くに入っていく事になるし、水質の良い川沿いには実に多種多様な食べられる植物が棲息しているのだ。今回はその中でも、比較的見つけやすいであろう物を紹介していく。
イタドリ
まずは渓流に限らずどこでも見つかる野草、イタドリについて紹介していく。
侵略的外来種!?
日本においては在来種であり、各地でスカンポやイタンコ等、様々な呼び名で親しまれている本種。だがその繁殖力の強さから、世界では「侵略的外来生物」として知られており、イギリスではイタドリが生えた土地は価値が著しく下がるとも言われている。著者はこの事実を野食ハンター・茸本氏の著書やYoutubeで知った。
高知ではメジャー
全国的にはマイナーとされている本種だが、実は高知県では大変メジャーな山菜のようで、スーパーで売られていることも多いようだ。実際に数多くのレシピが存在しているので、気になる方は是非調べてみてほしい。
どこで採る?
著者は子供の頃、川釣りの最中に友と河川敷で齧っていた記憶が残っている。実際空き地や山裾など、ちょっと探せば比較的どこでも見つけられる。だが私有地で採取するわけにはいかないので、やはり渓流釣り師としては釣り場の河川敷、川の土手等で探すのがオススメだ。山間を流れる川なら、それほど苦労せず見つけられるだろう。
こんな感じで見つかる(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)折って採取
先端~真ん中辺りまでの幹部分を食すことになるので、手で折れる場所を探っていくと、ポン!と実に良い音を立てて折れてくれる。そのまま齧るとシュウ酸の影響でレモンのような爽やかな酸味がある。帰宅後はしなびやすいので、速やかに下処理しよう。
処理と保存
肝心の下処理法だが、先端部を取り去り、幹に当たる部分の皮を手やピーラー、包丁等で剥いていく。この時点での見た目は完全に竹だ。
皮を剥いた状態(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)後は熱湯に5~10秒程度くぐらせて冷水に取り、1~2回水を替えつつ丸1日程度水に浸しておこう。
このまましばし放置(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)こちらを大量の塩で漬けて冷凍庫に入れておけば、長期保存も可能だ。
食べ方
アク抜きを終えたイタドリは一口大に切り、鶏がらスープの素・醤油・砂糖・ごま油でざっと炒めるとメンマのようになり大変美味だ。
それ以外にも、軽く油で炒めた後にちりめんじゃこを加え、醤油・味醂・酒・砂糖・本だしで味をつける。
これを白ご飯にのせて食べると美味しすぎて大変危険な食べ物となる。実に様々なレシピがあるので是非試してみてほしい。
ごはんが無限に……(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)ちなみに先端部は軽いアク抜きを行い、天ぷらで食べると爽やかなレモンのような風味で美味しいので、こちらも是非試してみてほしい。
先端も美味しい(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)トウ立ちしたフキノトウ
なぜこのタイミングでフキノトウ?と感じた方も多いだろう。一般的にフキノトウは花の部分が開くとダメと言われる。だが実は、トウ立ちしたフキノトウは食べられるのだ。
4月も食べられる
山菜としてポピュラーなフキノトウの時期は2月~3月で、まだつぼみ状の物を食す機会が多い。だが、この時期に採取されることなく大きく育ったフキノトウ、通称「トウ立ち」した物も食べられるという事実はあまり知られていない。
この状態でOK(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)渓流ならすぐ発見
採集されなかったフキノトウが大きく育ったものなので、その姿は大変目立つ。見た目も特徴的なので、渓流釣りの最中に河原や土手をチラ見していれば、比較的簡単に見つかるだろう。
特徴的なので目立つ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)環境が良い場所では上の写真のように、まとまって見つかる事も多い。ちなみにフキノトウは毎年同じような場所に顔を出すので、来年の渓流釣り解禁直後この周辺にくれば、芽吹いたばかりのフキノトウに出会えるはずだ。
折って採取
あまりに巨大になると茎の繊維質が際立ってしまうが、手で折れる場所を探して採取すれば、その場所から上の部分である茎と花の部分は食べることが出来る。
少々硬ければナイフやハサミで刈り取るのもいいだろう。ただし、花の部分は苦みと香りがかなり強いので、好みが分かれるところだ。
湯がいて筋とり
持ち帰ったフキノトウは葉を取り、花と茎の部分に分けてカットする。その後、塩を入れた熱湯で2~3分程度茹で、冷水にとって半日~1日程度放置することでアクが抜ける。後は筋が目立つ場所の筋取りを行えば、下処理の完了だ。
目立つ筋は取り去る(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)実質フキ
ここまでくると、その見た目はほぼ「野菜」として売られているフキと変わらない。料理法もほぼ同じで、お浸しや煮物などに利用すれば、爽やかな香りと歯触りの良い逸品を楽しめる。著者は白だしでお浸しにすることが多い。
お浸しは爽やかな香り(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)コゴミ
最後に紹介するのは、シダ植物であるコゴミだ。
正しくはクサソテツ
コゴミという名の「山菜」として親しんでいる地域もあるが、正しい名前は「クサソテツ」というシダ科の植物で、コゴミはその若葉・新芽を指す。株の中心から鮮やかなグリーンの枝が放射状に延びていて、毛が付いていないのがコゴミだ。
食べごろのコゴミ (提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)渓流なら簡単に採集
渓流釣りの最中、山裾や河原・河川敷を何気なく見ていると普通に見つかる。渓魚を釣るついでに、晩酌用に数本採集……なんてことが可能だ。
時期が重要
コゴミが採集できる期間自体は4月~5月だが、標高によってかなり差があるように感じる。低標高地域だと、この記事が出る頃にはこの状態かもしれないのだ。
もう食べられない(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)逆に標高が高い場所であれば丁度採り頃になっているはずなので、是非探してみてほしい。
採集と下処理
コゴミは、葉が開ききっていないものをポキっと折るようにして採取する。根に近い部分は硬いので、あくまで簡単に折れる部分が狙い目だ。1株から採りすぎると枯れてしまう可能性が高いので、1株か採取する量は1本~全体の1/3程度に留めておきたい。
帰宅後はしっかり洗浄し、速やかに塩を入れたお湯で1~2分程度茹で、冷水にとっておこう。仮に天ぷらで頂くなら、アクが非常に少ない事もあり、この作業すら省略して洗うだけでいい。
食べ方
味噌類・マヨネーズとの相性が非常にいいため、茹でた物をそのまま絡めて食べるだけでも普通に旨い。
個人的にはテンメンジャン・味噌・ごま油を混ぜた甘味噌、豆板醤・味噌・ごま油を混ぜた辛味噌の他、味噌マヨネーズで食べるのも旨いと感じている。
大変美味な山菜だ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)コチュジャン+マヨネーズも最高だ。カツオ節を掛けた醤油マヨネーズでも良い。天ぷらや胡麻和えもオススメだ。
日本ならではの四季を感じられる食卓を!
渓流魚はスーパーに並ぶ機会が少ないため、新鮮かつ旬の渓魚を食べることが出来るのは、渓流釣り師の特権と言える。さらに今回紹介した三種の野草は、地域によってはスーパーで見かける事があるものの、あまり一般的とは言えない「知る人ぞ知る、旬が短い野菜」なのだ。
この2つがタッグを組めば、我々渓流釣り師の夕食は日本の四季を「これでもか」と感じられる、非常に贅沢な物になる。良い渓魚を確保できたなら、はたまた釣果に恵まれなかったならば、その足で是非これらの野草を探してみてはいかがだろうか。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>


