『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?

12/7に開催された『ハンドクラフトエキシビジョン』に参加した筆者。量産品にはない、奇妙で愉快な温かみがある作品を前に気付けば財布がどんどん軽くなる……。そんな楽しい時間をレポートします。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・夏野)

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夏野

幅広くジャンルを問わず、色んな釣りを楽しんでいます。さて明日は何を釣りに行こう?

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ハンドクラフトエキシビジョン

年に一度だけ開かれる、ちょっと風変わりなイベント、それが『ハンドクラフトエキシビジョン』だ。釣り × 手作りをテーマに全国のビルダーやクラフト作家が集まる。気に入った作品はその場で購入可能だ。

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?第16回ハンドクラフトエキシビジョン(提供:TSURINEWSライター・夏野)

”手作り”の魅力

ぼくはこの“手作り”という言葉にめっぽう弱い。デザイナーという職業柄、ふだんは均一で再現性のある量産品をつくる側の人間。だからこそ、逆に人の手の温度が残った作品には人並み以上に魅力を感じてしまうのだ。

ましてそれが釣りの道具となれば、なおさらだ。木や金属や樹脂が、誰かのこだわりと時間を吸いこんで、ひとつの作品になっていく——「手作り」という響きには、量産品にはない作り手の熱のようなものが宿っている。

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?削り出したルアーは全て1品もの(提供:TSURINEWSライター・夏野)

科学技術館へ

イベントは年に一度の一日限り。静かな釣り道具の世界が、年末のこの日少しざわっと色めき立つ——そんな雰囲気を想像しながら皇居近くの科学技術館に向かった。

熱気あふれる会場

会場に着いたのはスタート直後の正午。すでに多くの釣り好きでにぎわっていて、“みんなこの日を待ってたんだなあ”という空気が伝わってくる。

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?スタート直後からすでに人だかり(提供:TSURINEWSライター・夏野)

ブースにはルアーやロッド、ネットなどがぎっしり並び、真剣な表情で手に取って眺めたり、作り手と話し込んだりしている。ハンドメイド特有の「一点もの」への熱が、そこかしこに漂っている。

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?削り出しのグリップ(提供:TSURINEWSライター・夏野)

気になったブースを片っ端から覗いてみた

会場内に入ったらやることはひとつ。気になったブースを片っ端からのぞいてみた。

LIFハンドクラフト

LIFハンドクラフトのブースで出店されていたのは、スケボーのデッキを削って作った手作りミノー。これがやたらとカラフルで、まるで南の島の魚がルアーになったようだ。見てるだけでちょっと楽しい。気づいた時には言っていた。「これ下さい。」

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?LIFハンドクラフトのミノー(提供:TSURINEWSライター・夏野)

池田精巧

池田精巧のブースでは、様々なウール素材のリールポーチが整列していた。触るとふわっとして、冬のストーブ前の猫みたいな落ち着きがある。素材はじわじわ味が出るタイプ。使い込んだ姿が脳裏に浮かんでしまい、結局こちらも買い物袋の中へ吸い込まれていった。——困ったもんだ。

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?池田精巧のリールポシェット(提供:TSURINEWSライター・夏野)

ORCA

パックロッドが専門に扱うORCA。8ピースのロッドを手に取ると、ひとつひとつのピースがちんまりしていてかわいい。

だがこのしっくりくるコンパクトな長さ、どこかで見覚えがある気がする。気になって眺めていたら、ビルダー本人が「実はね、1ピースの長さを決めるときに、日本人にいちばん馴染みのある“箸の長さ”を基準にしたんですよ」と、ちょっと得意げに教えてくれた。

なるほど、この妙に馴染み深い雰囲気の正体はそれか!それにしても普段の生活にある“箸”からロッド設計の基準を選ぶあたり、パックロッド製作に対するプロの真剣な姿勢が伺える。

実際曲げてみると、コンパクトさとは裏腹に絶妙にしなやかで、「お前、その見た目でそんなに性能あるのか」と言いたくなるギャップもまた良い。

イラストレーター・トキシン

会場の片隅に、どこかのんびりした空気をまとったブースがあった。あ、トキシンさんだ。

釣り雑誌で見かける、あのやわらかな線と色づかいの作品に実はずっと憧れていた。描き手としての人柄も、作品の奥にうっすら滲むような気がして、ひそかに会ってみたいと思っていた人なのだ。

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?初めてお話ししたトキシンさん(提供:TSURINEWSライター・夏野)

普段は沖縄在住だが、今回はイベントのために東京へやってきたとのこと。実際にお話してみると、やはり絵の雰囲気どおり、ふんわりした穏やかな空気をまとった方だった。

何と言うか、暖かな南国の午後みたいにポカポカした人だ。すっかり楽しい話に引き込まれてしまい、気がつけば、グッズを手に持っていた。——もちろん買った。

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?買いたいものばかりのトキシンさんのブース(提供:TSURINEWSライター・夏野)

奇妙で愉快な温かみ

手作り品には大手メーカーの量産品にはない、奇妙で愉快な温かみがある。作り手のクセや想いがそのまま染みこんで、触った瞬間に「これは誰かの手が作った品だ」とわかる。

ハンドクラフトエキシビジョンは、そんな作品たちと、それを見つめる人々が集う小さな文化圏だった。釣りは古くて長い歴史があるが、こういう小さなイベントの中にも、まだまだ自分の知らない風景と、人の情熱が潜んでいる。

きっと来年もまた覗きに行くだろう。そして気がつけば財布がどんどん軽くなっていく、そんな危険で楽しい一日だった。

『ハンドクラフトエキシビジョン』に行ってきた 気づくと財布が軽くなっていた?当日の戦利品(提供:TSURINEWSライター・夏野)

<夏野/TSURINEWSライター>

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