バスロッドに欠かせない「ガイド」。その中でも現在もっとも広く普及しているのが FUJI 工業の SIC(シリコンカーバイド)リングです。ラインとの接触部分にあたるこの小さなパーツは、キャスト感やファイト時のライン耐久、ルアー操作感にも直結する重要な存在です。本記事では、SICリングの特徴を整理し、バス釣りで使う際のメリット・デメリット、向いている釣り・向かない釣りをわかりやすく解説します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)
SICリングとは
SICリングは、シリコンカーバイド(炭化ケイ素)を素材として加工したガイドリングです。
その特徴は以下の通りです。
・とても高い硬度 → ライン摩耗を防ぐ
・熱伝導性が高い → 摩擦熱によるライン劣化を抑える
・軽量 → ロッドバランスを崩しにくい
・耐食性に優れる → 長期使用でも劣化しにくい
近年はさらに上位モデルのトルザイトリングも登場していますが、価格とのバランスを考えた場合、SICリングは依然として「定番」であり、ハイエンドからミドルクラスまで幅広く採用されています。
SICリングのメリット
ここからはSICリングのメリットを解説します。
ラインの表面が削れにくい(提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)1. ラインに優しい
硬度が非常に高いため、PE・フロロ・ナイロン問わずライン表面の削れを徹底的に抑えます。特にカバー撃ちや、ストラクチャー絡みの釣りでは安心感が段違いです。
2. 摩擦熱に強い
遠投・ファイト時に発生する摩擦熱を素早く放熱し、ラインの強度低下を防ぎます。強引なやり取りでもラインブレイクしにくい性能です。
3. 感度アップに寄与
リングが軽く剛性も高いため、ロッドの曲がりと振動伝達を妨げにくい構造です。底物のわずかなバイトも拾いやすく、アングラーに情報が届きやすくなります。
SICリングのデメリット
メリットがある一方で、SICリングにはデメリットも存在します。
少し価格が高いのがネック(提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)1. 価格がやや高い
安価なガイドリングに比べるとパーツ価格が高いため、ロッド本体の値段が上がりがちです。
2. 衝撃に弱い
硬度が高い=割れやすさを持つ素材でもあります。地面に倒したりガイドをぶつけると、チッピング(欠け)が発生しやすく、ラインに悪影響が出る場合があります。
3. 重量は最新素材に劣る
上位のトルザイトリングなどと比べると、薄肉化できない分やや重いのが現実です。超軽量・高感度を突き詰める場合は弱点となりえます。
バス釣りでのSIC適性
ここからは、SICリングが採用されているロッドに向いている釣りと向いていない釣りを解説します。
フロロやPEラインとの相性が良い(提供:TSURINEWSライター・盛田亮祐)向くシーン
・フロロ・PEラインの使用頻度が高い
・カバー撃ちやストラクチャー周りでライン負担が大きい
・ワーム・底物系など 感度を最優先する釣り
長期間ライン性能を維持したい場合に総合性能が非常に高く、幅広い釣りに安心して使える点が魅力です。
向かないシーン
・とにかくロッド重量を軽くしたい釣り
・低価格帯の装備で揃えたい場合
・ボートデッキに置きっぱなしなど衝撃にさらされがちな人
用途に応じて、アルコナイトやトルザイトとの比較も検討すると効果的です。
SICリングは万能型
SICリングは、耐摩耗性・耐熱性・感度に優れる、バス釣りガイドとしての“ベストバランス”モデルです。価格も極端に高すぎず、現代バスロッドの多くで採用されている理由はまさにここにあります。
「迷ったらSIC」という選択ができる、安心できる標準ガイド。ただし、より軽さを突き詰めたい場合やラフな扱いが前提となる状況では、別リングの検討も視野に入れると良いでしょう。
<盛田亮祐/TSURINEWSライター>


