電動リールとともに沖釣りの必須アイテムと言えるバッテリー。様々な規格のものがあるが、新規購入や買い替えの際に「大は小を兼ねる」という考えを基に選ぶことでメリットが得られるケースがある。今回、電動リール用バッテリーでお馴染みのビーエムオージャパンのスタッフとともに訪れた三重県尾鷲沖での実釣に触れながら、そのメリットについて解説したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)
尾鷲沖の贅沢リレー釣行
ひとつの海域で大小様々な魚や美味な超高級魚が狙える……日本にはそんな海域があちこちに存在する。その一つが三重県の尾鷲沖であり、ターゲット豊かな釣りを楽しませてくれるのが同県尾鷲市にある尾鷲漁港のゴールデンイーグル。
9月下旬、ビーエムオージャパンの黒川さん、浦野さんと同船を訪れ、シロアマダイやオニカサゴをメインとした底物五目釣りと、青物やハタ、ヒラメを狙ったタテ釣り(落とし込みサビキ)の二本立てで釣行した。
乗船したゴールデンイーグル(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)尾鷲沖の底物五目
尾鷲沖は急深になっており各水深帯で様々な魚種が狙える。水深100m台までが舞台となる底物五目釣りでは、先に上げた2魚種のほか、アカアマダイやキダイ、特大ウッカリカサゴなどが狙える。
なお、釣行に先立ち、同船の北村船長から「オモリ120号までを背負えるタテ釣りに対応したタックルを持参してください」と連絡を受けていたので、メンバーはタテ釣り用タックルを持参。リールはシマノ・ビーストマスターの3000番と同EJ2000番で、使用するバッテリーはビーエムオージャパンの大容量バッテリー「リチウムイオンバッテリー13.2Ah」とした。
リチウムイオンバッテリー13.2Ah(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)電動リールの使い分け
ここでタックルについて触れたい。沖釣りでは本来、狙いが変わればタックルも変わる。サオはある程度までは流用が効くものの、その釣り専用のモデルが必要になることが多い。一方で電動リールに関してはかなり潰しが効く、大雑把に言うと小型と中型の2サイズがあれば概ね近海の釣り全般をカバーできる。
具体的には中小物や白身の大型魚狙い(ライトヒラメなど)ではダイワ製なら200~300番、シマノ製なら600~800番の小型電動リールが適合。一方で青物やイカのシャクリ釣り、中深海も視野に入れるとダイワ製なら400~500番、シマノ製なら3000番の中型電動リールが好適だ。
バッテリーの選択
一方で、電動リールのバッテリーは、使用するリールのサイズや性能、実釣時間に合わせて選ぶことになる。
今回の取材に協力してもらったビーエムオージャパンのバッテリーを例に挙げると、上述の中型電動リールにはリチウムイオンバッテリー13.2Ahが、小型電動リールを使った釣りにはリチウムイオンバッテリー6.6Ahが適合する。
消費電力量とバッテリーの容量を考慮すると、一日中パワフルな中型電動リールを使うような釣りでは13.2Ahが安心だ。
リチウムイオンバッテリー6.6Ah(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)バッテリーの種類
なお、バッテリーにはリチウムタイプと鉛タイプがあり、同じような規格でもリチウムのほうが性能や重量(軽さ)で優れる。
バッテリーは電池残量が減ってくると発揮できる電圧が低下するが、高い電圧を維持し続ける能力において、リチウムは鉛を大きく凌駕している。電動リールが持つポテンシャルを終日発揮させるためには、間違いなくリチウムタイプがおすすめだ。
持久力の差は歴然(60W放電テスト)(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)本番前のタテ釣りから
さて、ここからは実釣の話。出船後、まずは出がけにベイトの反応を見つけ、タテ釣りからスタートとなった。
良型のマトウダイが登場(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)船中ではマトウダイやツバス、オオニベなどが上がったが、オオニベはサメにかじられた姿で上がってきた。推定130cmはあろうかというオオニベをひと口で食いちぎるとは相当でかいサメ。
ベイトを食ったオオニベがベイトに……(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)なお、船長の話では、沖のポイントではバショウカジキやイシナギ、キハダやメバチもタテ釣りで食うそう。尾鷲の海はとんでもなくダイナミックだ。
尾鷲沖のタテ釣りではイシナギも(提供:ゴールデンイーグル)なお、今回のタテ釣りでは20cmを超えるサバがベイトとして掛かってしまい、数匹付くと遊泳力がありすぎて仕掛けの扱いに四苦八苦させられた。
一方で、タテ釣りと言えば本来イワシや小アジがベイトとして掛かるものだが、35cm超の極太アジや、超高級魚のヒメダイが食ったりとベイトがゴージャス。魚に食わせるにはもったいない、人間のためのベイトを釣るというエキセントリックな展開になった。
途中、大型のヒラメと思しきアタリがあり期待が膨らんだが、潮が速すぎてポイント攻略が難航。船は早めに見切りをつけて底物五目釣りを始めることになった。
超高級魚のヒメダイも(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)状況に応じた釣りの楽しみ方
さて、今釣行は一度に2ジャンルの釣りを楽しむ計画なわけだが、地域によって1日で2カテゴリー以上の釣りを行うケースはしばしばある。
また、仕立便やプレジャーボートによる釣行では、一回の釣行で異なる魚種を狙ったり、現場で状況を見て狙いを変更することもある。こういったケースにおいて、タックルはターゲットに合わせるのがセオリーだが、バッテリーに関しては「大は小を兼ねる」と言う選択法がベターな場合もある。
大きな魚、強いタックルに合わせた容量のものを使った方が、後半に残量不足や電圧低下に不安を覚えることもない。


