カットウ釣りが上達せずに悩んでいる人も多いのでは。今回、兵庫県淡路島沖での実釣を通し、ポイントの地形や潮の状況などに合わせて仕掛けを使い分ける技について、釣りガール2人が達人から学んだ。そのノウハウについて紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)
淡路島沖でカットウフグ釣り
カットウフグ釣りの舞台となったのは、淡路島の群家沖から室津沖にかけての海域。乗船したのは、当海域のフグ釣りのパイオニアであり、多くのファンが訪れる室津漁港の栄真丸。
釣行時期は5月で、ターゲットはショウサイフグとヒガンフグがメイン。回ったポイントは水深10~20m程度の場所で、岩礁地帯から砂地に岩が点在するような場所までさまざま。
なお、淡路島沖では潮流の都合や回るポイントによって、船を繋止して釣るカカリ釣りと、船を流しながら釣るパターンが存在する。今回も両方のパターンでの釣りとなった。
乗船した栄真丸(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)名人から攻略術を学ぶ
今釣行のメンバーは、カットウ仕掛けでお馴染みのヤマワ産業フィールドモニターの木村蘭子さんと上森菜月さん。2人ともカットウ釣り歴は1~2年ほどで、現在腕を磨いている最中。そして、講師を務めるのが同社フィールドテスターの鈴木功さんだ。
当日の釣りでは、潮の動きやポイントの地形に合わせた釣り方と仕掛けの使い分け術、フグの活性の変化への対応など、ケースごとにアドバイスを得て釣りに臨んだ。
カットウ名人の鈴木功さん(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)潮が動いているときの仕掛け
鈴木さんによれば、潮がよく動いているときは吹き流しタイプの仕掛けがベストとのこと。理由は、掛けバリのハリスが潮を受けてなびき、エサを食いにきたフグのボディの下に掛けバリが入りやすいから。
適度に潮が動いていた今回は、木村さん、上森さんともにヤマワ産業から9月に新たに発売される仕掛け「カットウトライシンカー吹き流し完全仕掛けタイプS(シングル)とタイプT(トリプル)」の2つを、目的ごとに使い分けていった。
今回使用した仕掛け(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)岩礁周りでフグを手中
前半、いくつかポイントを回ったが、初めに釣果を得たポイントは岩礁周りのポイント。
木村さんは根掛かりを避けやすいタイプSを用い、聞き上げと聞き下げの動作で根をかわしながらアタリを捉え、コモンフグを連続でキャッチ。さらに、その後に入ったポイントでは良型のショウサイフグも手にした。
木村さんナイス仕掛けワークでゲット(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)タイプSの特徴
さて、このとき使用したカットウトライシンカー吹き流し完全仕掛けタイプSだが、この仕掛けは大きなエサバリを1本装備した仕掛けで、タイプTと比べ根掛かりリスクのある場所での使用に適する。オモリと掛けバリも装備されたそのまま使用できるタイプだ。
こちらがタイプS(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)なお、仕掛け本体に装着されているオモリ「カットウトライシンカー中通しⅡ」は側面がフラットになっており(真上から見ると三角形)、オモリを底に着けゼロテン釣法で攻める際にオモリが転がったりしにくい。
カットウトライシンカー中通しⅡ(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)また、そのままでも十分効果的なこのオモリだが、側面は集魚シールを張ることも想定された形状になっている。オモリを装飾することはアピールを高める有効な方法だが、これを簡単かつ手早くできるのも魅力だ。
なお、オモリや掛けバリを装備していないエサバリと本体のみの「カットウ吹き流し仕掛けタイプS」もある。
エサ盛りアピール作戦
次に入ったのは、砂地と根が混ざり合うような場所。根はそれほどきつくない。
ここでは、上森さんがカットウトライシンカー吹き流し完全仕掛けタイプTを用いて、まずコモンフグをキャッチ。鈴木さんのアドバイスによると、このような場所ではたくさんのエサを付けてアピールを高められるタイプTが好適とのことだ。
タイプTの特徴
先に紹介したタイプSと基本構成は同じだが、こちらは小さめのエサ付けバリが水平に3つ並んでいる。エサが水平方向に並ぶので、エサを節約しながら大きく見せることも可能。もちろん大盛りで付けることもOKだ。また、異なる種類のエサを刺し、その日の当たりエサを絞り込むという使い方もできる。
こちらも仕掛け本体のみの「カットウ吹き流し仕掛けタイプT」がある。
こちらがタイプT(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)なお、ここまで紹介した4つの仕掛けは、掛けバリのハリスを支持している2対のワイヤー支柱を曲げ、掛けバリ同士の間隔を自在に変えることができる。これにより、掛けバリ同士が絡むのを防いだり、フグの寄り方に合わせた変更が可能だ。
掛けバリの間隔を変えられる(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)エサ増量で活性を上げる
中盤、コンスタントに出ていたフグのアタリが鈍化してきた。時合いとの絡みもあるが、活性の高いフグから順に釣っていくことになるため、ポイントに入ってからの経過時間や流し直す回数が重なるほど、フグの密度、活性の点で徐々に釣りにくくなっていく。
ここで、鈴木さんから上森さんに伝えられたアドバイスが「エサを新鮮なものに変え、量も増す」こと。
エサのボリュームをアップさせることで食い気を刺激できるほか、少し離れた場所にいる個体や回遊してきた個体の誘引力がアップする。
エサを大盛りにできるのもタイプTの強み(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)作戦奏功しヒガンフグ手中
上森さんはさっそくこれに倣い、タイプTに赤エビをたっぷり刺す。視覚的に目立つのはもちろん、新鮮なエサはエキスもたくさん出るためフグの寄りがグッと良くなる。
効果はすぐに現れ、上森さんがこれまで通りの聞き上げと聞き下げの動作を繰り返すとすぐに掛かり、良型のヒガンフグを手にした。
上森さんにナイスなヒガンフグがヒット(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)要領を得た上森さんは、エサ増量作戦を続け、今度は大型のコモンフグ、さらに良型ヒガンフグも追加した。

