「釣りはフナに始まり、フナに終わる」という格言は、初心者でも楽しめるフナ釣りの手軽さと奥行きを表現した言葉です。
釣り人によってはマブナ以外が当てはまりますが、昔からの庶民の川遊びの定番といえばやはりマブナ釣りです。
マブナ釣りこそ原点
最近では「マブナに始まりヘラブナに終わる」と解釈している方や、フナとはヘラブナを指すと理解している人も多いものです。
この格言で言うこのフナはマブナを指しており「マブナに始まり、マブナに終わる」が正解。
なぜならヘラブナは琵琶湖のゲンゴロウブナの改良種で、その歴史はおよそ100年ほどなんですね。
「フナに始まり……」は江戸末期からあった言葉で、その時点でヘラブナは存在していません。
こんにちの格言の意味としては「マブナ釣りで入門し、海、川のさまざまな釣りを体験し、最後にはまた釣りの原点としての面白さや奥の深さに気がつき、マブナ釣りに戻る」といったところでしょう。
身近な小場所で狙え、野趣があり、釣りとしてもシンプル。
釣りの原点ともいえるマブナ釣りをご紹介します。
マブナとはどんな魚?
マブナとは体高の高いヘラブナと区別するためのフナ類の総称。
ギンブナ、キンブナ、ナガブナ、ニゴロブナなどの種類があり、すべてマブナと呼ばれています。
中でも、主な釣りの対象として親しまれているのはギンブナ。
全国的に生息していて、幅広い地域で狙うことができます。
マブナはメス100尾に対してオス1尾の割合という、女性優位の不思議な魚でもあります。
マブナ釣の道具とエサは?
サオはノベ竿で、長さは1.5~2.4mあればじゅうぶんです。
竿先からミチイトを結んでウキをつけ、さらに細いハリスを結ぶシンプルなウキ釣りスタイルです。
ミチイトはナイロンの0.8~1号。
ハリスは同0.4~0.6号、ハリは軸太のソデバリかヘラスレバリの3~4号。
比較的小さいサイズのマブナの数釣りには、タナゴバリの極小などもあると便利です。
こだわりがなければ仕掛けがフルセットになったものも販売されてますので、竿の長さに合わせて調整して使ってみてください。
ウキはどこでも売っている玉ウキでOK。
しかしここがこの釣りの面白いところで、小魚用の繊細なウキはトウガラシウキのようなトップのついたものや、複数のウキの繊細な動きでアタリをとるシモリウキなど様々なものがあります。
ぜひ色々試してみてください。
エサはキジや赤虫。
練りエサを使う人も多く、二本バリの上バリにグルテン(市販の練りエサ)をつけて魚を寄せ、下バリにキジや赤虫などの付けエサで釣る、といった組み合わせもアリです。
ちなみにキジとは、釣り用語でいう「ミミズ」のこと。
ミミズをハリに刺したり あるいはちぎったりすると黄色い血(体液)が出ます。
黄色い血→黄血→キヂ→キジというのがそう呼ばれる所以といわれています。
キジは川釣りではマブナのほか、ウグイ、オイカワに、湖釣りではブラックバス、海釣りにも幅広く使える万能エサ。
たいていの釣り具屋さんで買うことができます。
エサは水底に這わせるのがポイント
釣り場所としては、河川の本流や本湖から流れ込む小河川の浅場や、田んぼなどの細い流れが狙いやすいです。ホソといいます。
水深は春の乗っ込み期であれば50cmほどの浅場でじゅうぶん。
通常は0.5~1.5mのアシやガマ、水草などがあるところを狙います。
小河川での釣りは、魚が物音や大声に敏感に反応して食いが悪くなることがあるので、静かに行動するよう心がけましょう。
釣り場についたら、まず棚ゴムやオモリなどを使ってエサが底に着くようにウキ下を調整します。
エサを水底に着くように這わせ、反応がなければ少しずつ釣り場を移動していきます。小さな水路のようなところを狙う釣りなので、魚がいなければ釣りになりません。
マブナ釣りは「足で釣る」ともいう、魚を探す釣り。
気配がなければどんどん移動していきましょう。
アタリははっきりと出ます。
ウキがしっかり沈んだり、連続してウキが動くときがアワセのタイミング。
時折エサを動かして魚を誘うのも効果的です。
釣りの入門魚に最適 尺超えも狙える!?
マブナ釣りは、これから釣りを始める人にとっては最適の入門魚といえます。
慣れてくれば数釣りを楽しむこともできます。
春から初夏にかけては良型が期待でき、30cmの尺超えも夢ではありません。
ヘラブナ釣りのように釣り台をセットし、ガマ際を練りエサで寄せる釣趣を楽しむスタイルも見受けられます。
基本的にはアシやガマ、水草の前や対岸のヘチを丹念に探っていく釣り方が一般的。
天気の良い日を見計らって、フラりとマブナ釣りに出掛けてみてはいかがでしょうか。