渓流釣りで釣った魚を飼育する際の最難関が、釣り場から自宅への持ち帰りだろう。事前に自宅で準備しておくべきことと併せて、8つのステップを解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部 藤村)

(1)事前の水槽準備
先に述べた機材を使用して飼育の魚を持ち帰る前に必ず事前に水槽をセット、水も入れて循環させておこう。

クーラーも稼働させ水温を下げつつ数日から1週間程度水槽を空回しする必要があるので忘れないように。これによって機材の不具合、水温の調整が問題なくできるか確認することはもちろん、ろ過に必要不可欠なバクテリアを増やす準備も行える。

ホムセンのペットコーナーにバクテリア剤も販売されているが、自宅の水槽内だけでも繁殖させることができる。
釣りの前に水槽準備
この順番を間違えて先に魚を釣ってしてしまうと、水槽を好ましい環境に持っていくのにかなりのテクニックが必要となる。飼育あるあるではあるが夜店の金魚すくいでお迎えした金魚が次々に亡くなってしまうのも原因はここにある。輸送等で見えない傷だらけの魚、急な水質、水温の変化、バクテリアのいない安定しない環境が魚たちを致命的な疲弊へと追い込んでしまうのだ。
金魚やメダカは比較的丈夫なのにもかかわらずこの準備を怠るとすべてダメにしてしまい、結果魚を飼うのは難しい……となるのである。更に難易度が高い渓流魚ならなおさらだ。あらかじめ入居先を準備万端整えてから魚たちをお迎えしよう。一言で言えば水槽飼育とはバクテリアをうまく飼育できさえすれば魚も自然とうまく飼えるということに尽きる。
(2)飼育する魚の数
魚の入手は準備できる機材のキャパシティーを超えないよう注意をしたい。基本的に渓流魚は縄張り争いが激しく、相手を嚙み殺すまで攻撃することが多いのでできれば単独での飼育が望ましい。ただ魚自体の性格によって複数飼育が可能な場合もあるので断定は難しい。

3尾が限界か
なお60cm水槽では数的には15~20cmくらいなら3尾くらいが限界と思ったほうが良い。ちなみにハリを飲み込んでしまった個体については水槽にお迎えではなく口から出ているラインをカットしてリリースか、晩酌のお供にしてもらったほうが良いと思う。
(3)釣り場で魚を入れる容器
釣りあげた魚をできる限り良好なコンディションを維持するにあたり、アユ友釣りの引き船が非常にオススメ。網ビクやスカリに入れてと思う人もいるかもしれないが、これらに使用されている網が魚体を傷だらけにしてしまうのでオススメできない。
水汲みバケツでもOK
源流部まで行くので引き船は邪魔という場合は上面がメッシュになっている水汲みバケツも軽くて小さくたためるので有効なアイテムだ。大場所では流れに容器ごと漬けて置いたり、時々中の水を入れ替えつつポイントを廻りお気に入りの一匹を目指そう。

(4)クーラーボックスでの持ち帰り方
釣りを終了して帰るときはクーラーボックスに厚手のビニール袋を入れてその中にできるだけ多くの水を入れて充電式または電池式エアーポンプで送気しつつ持ち帰ろう。

この際にビニール袋の口をエアーポンプのホースごと輪ゴムで縛っておけば水漏れもあまりしない。レンタカーで釣り場に行った時も床を濡らさないで済む(あくまで自己責任で)。水温の上昇も数時間から半日くらいなら問題ない。心配ならコンビニで氷を購入してビニール袋の周りに接しておくことでより魚の輸送は安心だ。

(5)コルドンブリージングバック
さらに長時間の輸送を行う必要があるならは酸素を吸収して二酸化炭素を吐き出すコルドンブリージングバックがオススメ。
この袋ならまわりに酸素がある環境ならみっちり水を入れておくだけでエアーポンプ無しで数日間でも余裕で持つ。ただし水温の上昇を防ぐためにクーラーボックスに入れる場合に氷の準備は必要だ。あと時々ボックスを開けての空気の入れ替えも。
空輸でも活躍
関東から九州の知り合いに飼育用の生きたヒメマスを空輸した際に使用したが、数日かけて送ったすべての魚が完ぺきな状態で届けられた経験が複数回あるのでこれは本当に優れモノである。
空輸の際はバッグの周りをタオルで包み、ビニール袋に入れてドラッグストアで購入できる酸素をビニールに吹き入れて密封して送った。このように魚を空輸する場合は絶対に水漏れをさせないように細心の注意を図ろう(これもあくまで自己責任で)。