20㎏を超えるビンナガ(ビンチョウ)や数十kgのキハダにも出会えるトンジギ。夢はあるが、重量級のジグを果てしなくシャクるため体力と根気が欠かせない。そんな問題をすべて解決してくれるのが電動ジギング。今回、この釣り方にフォーカスし、三重県熊野灘での実釣と現地の船長が教えてくれた虎の巻について紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)

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志摩半島沖で電動トンジギ実釣
熊野灘を訪れたのは2月の下旬。乗船したのは三重県志摩市の浜島から出船しているフィッシングビレッジりなちゃん。

電動リールのバッテリー
実釣を担当するのは電動リール用バッテリーでお馴染みのビーエムオージャパンの浦野さん。電動リールはビーストマスターEJの2000番。
ハードな釣りゆえ、リールの電源には同社が誇るパワーゲーム用バッテリー「リチウムイオンバッテリー13.2Ah」を用いた。
なお、ジグはクレイジーオーシャンの「トンボジグ 400g」をメインに使用し、フックはシーズンフックの「天TEN 合金ジギングフック #2」を使用した。

開始早々ビンナガをキャッチ!
ジグは400gでスタート。「僚船でタナ100mで食った」と船長からアナウンスが入った直後、ファーストヒットが浦野さんに。
「糸出し110mまで落として、3回目のジャークで来ました」と、ロッドをホールドしながら浦野さんが応える。まさにタナを狙い撃ってのヒットだ。
即座にファイトに入ったが、電動リールはリフトも速い。残り20mほどで相手はドラグを滑らせ抵抗したが、労せずにネットインとなった。キャッチしたのは8kgほどの本命。あっという間にファーストフィッシュのビンナガをゲットした。

電動リールのファイト優位性
電動=ファイトが楽なだけではない。大型回遊魚とのファイトでは、重圧に負けて脇挟みのままのされてしまうと、ロッドの柔軟性を活かせずに首を振られてバラしたり、いいように走られてファイトが長引き、ハリ穴が広がってサヨナラという事態が起こる。
巻く作業はリールに任せ、ファイト中はロッド操作に集中でき、かつ負荷には両手で対応できる電動ジギングは、バラシ防止の面でも非常に有効だ。

巻きアワセでバラシ対策
ファーストフィッシュが上がったあと、船中でパタパタとヒットしたが、いずれもフックアウト。大きくラインが出た状態ではアワセが効きにくい。
同船の井口船長が言うには、ラインが大きく払い出している状態で食ったら、そのままアワセるのではなく即座に巻いてラインを張り、鋭くアワセるようにすべしとのこと。
ちなみに、電動リールならば、レバーをグイっとやるだけで鋭い巻きアワセができ、あとは追いアワセを入れれば完璧だ。

風波強くなり船酔い続出
釣りも中盤に差し掛かったころ、風が強くなりウネリも出てきた。船が流れるのも速くなり、あっという間に200mくらいラインが出ていく。
井口船長は、「ラインの放出角が45°なら1.4倍、60°なら2倍で計算してタナを通してくださいね」とピタゴラスの定理をもとに丁寧なアドバイスをくれる。
「ありがたや……」とマーカーを凝視しながら暗算で対応していくアングラーたち。しかし、ここに思わぬ落とし穴が……。ラインのマーカーを凝視していると、やってきたのが船酔い。高くなった波も加勢し、一人また一人と船上に横たわっていく。ついでに私もちょっと気持ち悪い……。
タナボケ&船酔い対策に
多くのPEラインのマーカーの色は50mで一周するが、例えば「3回目の青色で100m、4回目で150m」と覚えていても、巻いては出しをくり返すうちに、何回目なのかわからなくなってくる。
一方、電動リールならディスプレイを見れば一目瞭然。マーカーを凝視する必要もないので船酔いのリスクも低減できる。これって結構すごいアドバンテージだ。

ハードな中でも本命手中!
さて、半数の戦士たちが戦場、いや船上に伏すなか、一人元気な浦野さん。朝から400gをシャクリ続けて依然集中力を維持している。
そして、沈滞ムードを打ち破ったのもやっぱり元気な人だった。「140m出したところできました」と浦野さん。電動リールでグイグイ寄せ、巧みなロッドワークで揺れを吸収している。今度の獲物もスマートに捕獲。会心の一撃を船長とハイタッチで祝った。

トンジギは根気と体力がものを言うが、浦野さんはまさにこれを体現してくれた。加えて言うと、ラインの放出角度とジグの位置を数値で適切に把握し、当日一番実績のあった水深100mラインを正確に攻め続けた結果だ。
