テーマは「ひと癖ある段差の底釣り」。吉森へら鮒センター名物の竿7尺段底で結局はフィニッシュした吉田。最初からやっていればと後悔先に立たずだが、ただやればいいというものではなく基本の積み重ねが重要だった。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース編集部 関口)
これだけは押さえる
竿の長さで悩みバラケにもひと工夫を加えどうにか形にはなった今回の取材。釣果18枚は池全体を見れば悪い数字ではなかった。しかし上には上がいるものだ。
吉田と同じ段差の底釣りをやっているのに型の違いは明白で、さらに吉田よりもあとから入釣し先に納竿したのに枚数でも吉田に肉薄する数字。たらればだが、仮にその常連と同時スタート、同時納竿だったら、吉田は見るも無残な結果となっていただろう。やはり常連強しということか。
まあでもいい線まではいったんじゃない。常連さんは池のクセとかバラケの傾向とか知り尽くしているわけだから。
「そうではありますが悔しいですね。あれほど差を見せつけられると」
そこで聞きたいんだけど、今回のように不慣れな釣り場で位置から探りを入れる場合、吉田はどんな点に注意しているのかな。アドバイス的な面も含めて、たまには”先生”っぽく語ってくれるとありがたいんだけど。
「基本に忠実に。これが大前提ですね。そのうえでウキが動くようになったら、今度は釣り場のクセなども含めて当日の釣況にアジャストする。とくに段差の底釣りではベーシックな部分が確立されていないとウキも動かないですし、その先に進めないでしょうから」
具体的には?いろいろあるだろうけど原稿的にも限りがあるから3つくらいに絞れる?
「そうですね。ならば第一は食わせだけでの勝負目盛ですね。これがちゃんと出るのか。出ないならタナがおかしいはずなので、出るまで再調整します」
いわゆる下バリの重さが消えた状態、いわゆるゼロの目盛でしょ?
「そうなんですが空バリではなく、食わせが付いた状態でそれが出るか出ないかですね」
食わせの存在感
2つ目は?
「食わせの存在感ですね。これはボクの考えなのですが宙の場合はバラケ粒子に食わせを紛れこませるいわゆる誤飲の釣りをやるのですが、段底では食わせそのものを食わせる考えなんです。ですから宙でよく使うサナギ感嘆とかサナギ玉(力玉のさなぎ漬け)とかではなく、ハッキリした発色の食わせを使います」
それって見せて食わせるってこと?
「はい。そのため魚信など純白系を使うことが多いですね」
てっきり比重があるから魚信を使っているものだとばかり思ってたよ。
「比重も確かに大切ですが、ボクの中では色ですね」
バラケとウキ
3つ目は?
「バラケですね。しっかりナジませて、そのうえでどうウキを上げるのか。これはその日の釣況によると思いますので、決めつけずに臨機応変に対応します」
いったん深く入れるのは同じでも、そこから一気に抜くのかそれとも少しずつ上げるのか、そういうこと?
「はい。食わせが底にある釣りなので下方向への意識は誰でも働くと思うのですが、実のところ上げ方もすごく重要なんです。ウキが上がると言うことは、それ自体が誘いにもなりますしね」
でも今回の実釣で言うなら決め手はやはり竿の長さだったようだね?
「そうなんですよね。朝から7尺をやりきっていればとの後悔はありますが、結果論なのでそれは言いません。ですが前述した基本ができていないと、いくら竿を適正な長さにしてもアタリは出ません。段底に必要な最低限のスキルを持ちつつ、その釣り場に合わせる重要性を痛いほど感じました。まだまだ修行が足りません!」
次回は「ナジませて釣る簡単セット」です。
<週刊へらニュース編集部 関口/TSURINEWS編>
吉森へら鮒センター