クリスマスカラーのサカナ『ホウボウ』の生態 生でも調理してもとても美味

クリスマスカラーのサカナ『ホウボウ』の生態 生でも調理してもとても美味

もうすぐクリスマス。そんなクリスマスっぽい色をしたサカナ「ホウボウ」について調べてみました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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ホウボウってどんなサカナ?

ホウボウはスズキ目>コチ亜目>ホウボウ科>ホウボウ属のサカナです。見た目が非常にユニークであり、体表は赤色で頭が胴体に対して比較的大きくい変わったシルエットをしています。

また、胸びれは鮮やかな緑色をしており、まるで羽のように広げることが出来ます。その胸鰭の付け根には脚のように変化した胸鰭の一部が左右に付いています。ホウボウは泳ぐ以外にもこの脚のような器官を使って海底を歩くように移動することもできます。

クリスマスカラーのサカナ『ホウボウ』の生態 生でも調理してもとても美味美しい大きなヒレが特徴(提供:PhotoAC)

生息地

ホウボウは北海道南部以南のほとんどの沿岸域に生息しています。

日本以外では黄海、東シナ海、南シナ海でも分布が確認されており、水深100~200mほどの比較的浅い砂泥底を好んで生息します。

しかし、水深600mほどの深海でも生息が確認されていることから、塩分濃度や水圧、水温などの外的環境の変化に強いことが伺えます。

食性

ホウボウの食性は肉食性で、海底に生息するゴカイやエビ、カニなどの甲殻類、小魚など口に入るものは何でも食べます。

船釣りではサンマやサバ、イカの切り身などのエサでも釣れることから、基本的に口に入るものは何でも食べることが出来ると考えられます。

様々な呼び名がある

ホウボウはその他にもキミ、キミヨ、キミウオ、ドコなどがあるようです。近縁種にカナガシラがいるものの、ホウボウもまとめて「カナガシラ」と呼ぶ地方もあるようです。

これは頭が固い骨板で覆われていることから「金頭」に由来しており、海外では英名で “Searobin”(「海のコマドリ」の意)、中東では飛行機や凧を意味する「タイヤール」という名前でも呼ばれているようです。

歩きながら味を感じる?

ホウボウは胸ビレの付け根にある足のような部分(軟条)を地面に刺してエサを探しています。

それだけ聞くと、軟条を刺して動くものを感知したりするのかな、と思いそうですが、実はものの動きを感知しているわけではありません。

私たち人間は舌にある味蕾と呼ばれる部分で味や旨味を感じますが、実はこのホウボウの軟条の先端にも味蕾があり、この軟条を刺すことで地面の中にある旨味を感じることでエサとなる生き物を見付けているのです。

地面の中に埋まっている旨味を探すなんて非常に面白いユニークな能力ですよね。

かなり美味しい

ホウボウは江戸前などでは昔から高級魚と扱われるほど美味しいサカナです。身はふっくらとした白身をしており、冬は鍋などにすれば最高の一言。

刺身ではきめ細かい舌触りとほのかな甘みがフグに匹敵するほどだとも言われています。

他にもムニエルや煮つけ、フライなどあらゆる調理法で美味しく食べることが出来ます。

今年のクリスマスはホウボウパーティー?

季節はもうすぐクリスマス、そしてホウボウの体色はまさにクリスマスカラーと言えるでしょう。

その美味しい食味と美しい体色で今年のクリスマスの食卓はホウボウパーティーなんてのも面白いかもしれませんね。

きっと相当マニアックなご家庭だとは思いますが……。

<近藤 俊/サカナ研究所>