かつてはムニエルなどの具材として一般的だったニジマス。しかし最近、出荷量がかなり減ってきているようです。
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ニジマスの高級ブランド化
そんなニジマスですが、逆説的に言えば「大衆魚路線をやめれば」まだまだポテンシャルがあるとも言えます。そして実際、いま全国各地で「高級ニジマス」がどんどん開発されています。
ニジマス生産量全国1位の静岡県では「紅富士(あかふじ)」と名付けられたブランドニジマスが生産されています。赤富士は2012年に開発されて以来年々出荷量が増え、2021年度は年間およそ80tを出荷するまでに至っています。9年間で3倍以上になっているそうです。
また栃木には「ヤシオマス」というブランドニジマスがあります。これは通常のニジマスの受精卵を加温処理することにより、性成熟が起こらないように改良したもの。生殖巣に栄養を取られることがないため、成長すると2~3kgと大型になり、肉質も締まっています。県内のホテルやレストランのみで食べられ、観光商材としても優良なものとなっています。
さらに隣の群馬でも「ギンヒカリ」というブランドニジマスが開発されています。ニジマスは一般的に2年で成熟しますが、中には3年かけてより大型になる個体があります。そのような系統のみを選別して養殖したものがギンヒカリです。こちらも大型で身の色が濃く、生食用の高級魚介として人気となっています。
普通のニジマスの生産量が減少する中、これらのような「プレミアムなニジマス」は今後ニジマス市場において主流となっていくかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>