渓流釣りの世界において"尺"サイズは一つの目標であり、それを求めて足繁くフィールドに 通う人も多いでしょう。もちろん私もその一人で今年に入ってようやく初の尺ヤマメを手にすることができました。今回はとある源流でのヤマメ釣りのレポートをお届けします。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター小峠龍英)
北海道のヤマメ釣り
私の住む北海道の後志エリアでは、4月と5月はヤマメが降海し始める時期なので禁漁期にあたります。一般的に北に行けば行くほどヤマメは陸封型になりにくく、北海道では全てのメスと一部のオスがサクラマスとなるべく海に降ります。
また水温が低いと陸封型ヤマメは大きくなりにくいとも言われており、それがさらに尺ヤマメの希少性を高めています。平均サイズは 18cm~20cm 前半、25cm を超えたらそれはもう大物です。
基本のタックル
タックルは基本的な渓流タックルです。私は 5.6ft のライトアクションロッドに、リールはカー ディナル33。そこに、PEライン0.8 号+ナイロンリーダー8lb約1m を(FG ノットで結束)を基本の渓流タックルとしています。ヤマメ解禁となる6月にはアメマスも海から遡上してくる事があり、それにも対応できるように強めのラインシステムとしています。
使用ルアー
ルアーは定番の 50mm シンキングミノーと少しサイズを落とした 40mm クラスのミノー、 スプーンも 3~7g を用意します。ミノーの重さは 3.5~6g 前後を状況に応じて使います。
大型ヤマメ&イワナが湧く沢
後志エリアにあるその川を見つけたのは昨年の 10 月。アメマスを探し求めてランガンを 繰り返していた時に立ち寄ったのがきっかけでした。その日はアメマスを拝むことが出来なかったものの、かわりに数えきれないほどの良型ヤマメを釣りました。
当時の私の最大記録は尻別川本流での 27cm、その沢で最高記録が一日で三回更新されるという異常事態。その日釣ったヤマメの最大サイズは29cm。それに加え 40cmの大イワナまで手にすることができました。その時にまたハイシーズンに再訪すると決めて退渓しました。
当日の状況
8月某日、川には昼の11時過ぎに到着。その日の最高気温は 28℃、数日前の雨の影響で水は少し高い様子。ちなみに今シーズンこの川にチャレンジするのはこれで5 回目です。入渓地点の水温は16℃。前回釣行時は18℃だったので増水がプラスに働いているかもしれないと期待を胸に上流へ遡行します。
今まで実績のあったポイントはどれももぬけの空、 高水温に加え、産卵を意識し始めた個体は上流を目指すのでこの事態は想定済み。この沢は全体的に河畔林の影に覆われておりうだるような暑い日でも直接日光が差し込む箇所は少ないので、上流の水温はもう少し下がるはず。
待望の29cmヤマメ登場
反応がない時間が続き、遡行を始めて1時間ほど経ったころにとあるポイントが気になりました。分流から2つの速い流れが岩盤の上で交差して、その真ん中の流れがやや緩くなっていました。距離は約3m 先。もしかしてと6gのシンキングミノーを投げ込んでトゥイッチをかけた瞬間、ロッドティップが孤を描き、水面付近を銀鱗が踊っていました。
ヤマメの特有のローリングに加えロッドに伝わる重量感はこの沢のアベレージである 8 寸(24cm)を 超えていました。無事にランディングし計測すると29cm、あと1cm足りません。やや銀毛がかった太い素晴らしいヤマメでした。手早く撮影し、ヤマメを流れに返す。
ビッグヒットもバラし
今日はいけるかもと遡行の足取りは心なしか軽いものでした。倒木を超え、気になるポイントを見つけたらキャストを繰り返しアベレージサイズである 24cm強と5cmほどの”ヤ豆”もスピ ナーでキャッチ。大型だけでなく小型もしっかり居るのはこの沢が豊かな証拠です。
程なくして幅4m、長さにして6mほどある淵に辿り着きました。ここは毎回大型が出て居るので、すかさずミノーをキャスト、底層まで沈めリトリーブを開始して間も無く強烈なバイトが到来。と思いきや、すぐに外れてしまい「やってしまった」と、苦笑い。
気持ちを切り替えてミノーからスプーンの7gに交換し、すかさずキャスト。同様に底まで沈めスローなただ巻きでロッドアクションは一切なし。ミノーとは全く別のアプローチでもう一度反応を引き出すことができます(毎回ではありませんが……)。思った通り再びロッドに重みが乗りましたが、先ほどの泣き尺と比べてもいくらか軽い。ランディングして測ってみると27cm。十分 な釣果であることにはかわりないものの少々落胆しました(なんて贅沢な)。