初心者には少しハードルが高いと思われがちな夜の釣り。今回はそんな夜釣りの楽しみ方を指南しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 浅井達志)
光源を確保しよう
昼間の釣りとの最大の違いは、暗闇によって視覚的な情報が大幅に制限されることだ。安全面はもちろんのこと、道具の扱いにも不自由が生じるため、不慣れな人にとっては確かに厳しい一面もある。
それを解決するための手段は大きく2つ。まずは道具類だ。昼間の通常装備に加え、最低限これだけは用意しておきたいのがヘッドライト。最近はLEDが主流となり、バッテリー消費は抑えられているが、予備の電池も用意しておきたい。
オススメはCOBと呼ばれる面発光の素子を使用したもの。遠くを照らすには不向きだが、広範囲を満遍なく照らしてくれるため、手元の作業が非常にやりやすい。
ライト類に関しては、スポットタイプのハンディライト(懐中電灯)もあると便利だ。使用頻度は低いものの、離れた場所の状況を確認したい場面などでCOBの弱点を補ってくれる。
とはいえ、周囲や水面をむやみに照らすのはマナー違反。最近は強力なライトも多く、無神経な使用はトラブルの原因となるため注意したい。
そしてもう1つの解決策は、常夜灯のある釣り場を選ぶこと。釣り場は都市近郊の港湾部と、港町の漁港に大別される。さすがにライト類が不要になるほど明るくはないが、周囲が見えるだけでも快適性は大きく違ってくる。しかも、集魚効果まで期待できるとなれば狙わない手はない。
タックルも視認性を重視
タックルに関しては、ラインを視認性の高いものに換えておくのがオススメだ。小さなアタリを取る上でも、仕掛けやルアーの位置を知る上でも、ラインが見えるということは非常に大きなアドバンテージになる。
それ以外では、穂先の白いサオもアタリが分かりやすい。ケミホタルなどのマーカーをセットする方法もある。置きザオで狙う場合は、アタリ鈴も便利だ。小型の電池で光る電気ウキも定番のアイテム。夜釣りの機会が多いなら、使用頻度の高い小物類も視認性重視でそろえておこう。
また、常夜灯周りではカニなどが浮いてくることも多く、長柄の磯ダモがあれば思わぬお土産が期待できる。予期せぬ大物に備える意味でも、持っていて損はない。
余談だが、夜釣りでは道具の置き場所に気を配るだけでも、快適性に大きな差が出る。散乱していると探すのに手間取るだけでなく、うっかり踏んで破損させてしまうことも多い。1カ所にまとめ、きちんと整理しておくことが大切だ。
ベイエリアは手軽さ断トツ
それでは、それぞれの釣り場の特徴とターゲットなどを紹介していこう。まずは都市近郊の港湾部、いわゆるベイエリアだ。大規模なふ頭には車を横付けできる岸壁も多く、そのほとんどに常夜灯が設置されている。場所さえ選べば十分に明るく、手軽さという点では断トツだろう。
このような岸壁は大型船が停泊するため、足元から水深の深い所が多い。潮通しがいいため魚影も濃く、釣り場としても非常に魅力的だ。
とはいえ、基本的には港湾作業が優先。中には企業の私有地も多く、立入禁止区域や火気厳禁などといった諸々の制約があることを肝に銘じておく必要がある。
その他、港湾部には釣り公園として整備された施設もある。絶対数が少なく収容人数にも制限はあるが、柵などの設備があるため安全性は高い。施設によっては利用時間に制限のある所も多いので、釣行の際は確認しておきたい。
多彩なターゲット
この時期の港湾部ではクロダイ、キビレ、セイゴ(シーバス)、マゴチ、アナゴ、アジ、タチウオなどを中心に、運が良ければキジハタなどの高級魚も期待できる。逆に、昼間よく釣れるハゼやキスなどはアタリが激減。アジは夜でも狙えるが、定番のサビキは日没とともに反応が渋くなる。
釣り方は魚種によっても異なるが、ブッコミ釣り、ウキ釣り、ルアー釣り、などの方法が一般的だ。クロダイなどを専門に狙うなら、落とし込みやフカセ釣りといった方法が中心になる。