伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「両トロロをやってみよう」。初回は埼玉県さいたま市にある武蔵の池での実釣編をお届けしよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース伊藤さとし)
トロロのエサ作りは難しくない
6月21日(火)、6時30分、開門と同時に中央桟橋の北向き釣り座82番に座る。天候は曇り。時々薄日が差し蒸し暑い。カルガモの親子が散歩をしていて朝から癒やしの光景だ。両トロロ釣りの場合、まずはエサ作りから。道具の準備はそれからだ。
「人によってさまざまな方法で作るけど、今回は新エサ・美緑の裏書きどおりに作るからね」
作り方の詳細は別の回で改めて紹介するが、トロロに不慣れな記者でも特段「難しそう」とは感じなかった。あえてポイントを挙げるなら以下の3点だろうか。
(1)袋から取りだしたトロロ全体をよくほぐす。 (2)トロロの繊維を切らないようにと怖がらずによく混ぜる。(3)基エサの保管方法。
「とくに(3)はこれからの時期、要注意だね。トロロは熱に弱いから、でき上がった基エサは可能ならクーラーボックスとかに一時保管したほうがいい」
って、クーラーボックス忘れました?
「そうなんだよ。自分の飲み物さえも忘れた。野釣りなら欠かさず持ち歩くけど、自販機があると思うとついね。まあ今回はヘラバッグの中でカンベンしてもらおう」
当日のタックル
普天元獅子吼9尺竿を継ぎ浅ダナ狙い。タックルとエサは下図。
ところで、タックルでは両ダンゴと異なる部分ってありますか?
「あえて挙げるならハリの大きさかな。ハリ軸に引っ掛かってるだけでエサを持たせないといけないから、両ダンゴの時よりも1サイズ大きめのハリを使うことが多い」
多いということは必ずしもではないのですね?
「持たせられるなら何号でもOKだよ」
いざ実釣開始
7時30分に、タナ1mでエサ打ち開始。しかし30分経過してもいい反応が現れない。そこでナジミ途中の触りが多いことから、タナを70cmにすると途端に食いアタリが出始める。
わずか30cm程度なのにこれほど変わるとは驚きですね。
「人間にとって30cmはわずかだけど、魚にしてみればビル2階のイメージだからね」
なるほどぉ。いい例えですね(笑)
「それに今日は曇天だったり薄日が差したり空模様が不安定だから、よけいに微妙なタナ選定が求められるのかもしれないね」
それにしても魚が湧かないですね。これって不調なんですか?
「そうじゃない。両トロロの特徴だよ。両ダンゴと比べて明らかに集魚力は落ちる。麩材が拡散しづらいからね。昨日も釣りサポで武蔵だったんだけど、両ダンゴの人は水面が真っ黒だったよ」
型ぞろいで30枚
なるほど。エサの違いですね。それにウキの動きが両ダンゴと比べるとこれまた静かですね。これも両トロロの特徴ですか?
「そのとおり。だから釣りやすいんだよ。あとは型がそろう。どう? さっきからあまりガサがこないでしょ」
はい。むしろ良型ぞろいと言ってもいいくらいです。正直、これは驚きですね。
「これが両トロロの典型的な特徴なんだよ。適度に魚を寄せられるからウキが激しくダンスしたりしない。だから釣りやすいし、寄せ過ぎないから型もそろう」
まさに一石二鳥のエサではないですか?
「決まればね。ただし寄せ効果ではどうしても両ダンゴに劣るから、そのへんをどうカバーするかだよね」
この日、伊藤は午前中いっぱいの釣りでエサの手直しをすることなく釣りきった。とくに手直しが必要なかったからだが、日並みによっては重さとか開きとかの調整も必要になるのだろう。そのへんのところも含めて、次回からは詳しく解説をお願いしよう。
次回も「両トロロをやってみよう」です。
<週刊へらニュース伊藤さとし/TSURINEWS編>