2022年の春、関西の超人気釣り場の武庫川一文字はルアーで狙う青物フィーバーで、早朝便は事前予約制が適用される異常事態。しかし時間帯とターゲットをかえれば、波止に渡って違う釣りが楽しめる。今回の釣行記は、ルアーは門外漢のエサ釣り師の私が、午後の釣行でチヌ狙いの落とし込み釣りに挑んだ模様をレポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
カーブを探り歩くがアタリなし……
波止上の釣り人の大半はルアーマンだったが、落とし込み釣りの常連も3人いて、様子をうかがいながら釣りができると気持ちは前向きに。水の色を見ると、濁っているが水潮の影響は少なそうで一安心。潮回りは大潮で19時過ぎの満潮となる上げ潮、総合的に考えれば条件は悪くない。
14時前からパイプ虫のエサをハリ付けして、カーブ付近の外側と内側ともに、波止際ぎりぎりにエサを落として探り歩く。落とし込み釣り・ヘチ釣りは探り歩く距離に釣果は比例すると言うが、アタリのない時間が過ぎていく。
15時半ごろに常連が竿を曲げたのを見て、私もギアを上げる。しかし私には一向にアタリがない。追い打ちをかけるように16時過ぎ、知らぬ間にパイプ虫がなくなっていた。アタリを捉えられずに、エサだけがかすめ取られるという情けなさ。常連はポツリ、ポツリと釣果を重ねており、腕の差を痛感させられた。
サオ下サビキはカタクチイワシのみ
夕マヅメが近づいてきたので、もう一つのタックルの準備にかかる。サオ下サビキでデカアジを狙う算段だ。
まずは置きザオにして様子を見て、釣れ始まったら手持ちにして専念する目論見であったが、サオはいっこうに曲がらず、アミエビの詰め替えのタイミングでカタクチイワシが掛っただけの不発状態。
夕マヅメのチャンス到来を願いつつ置きザオは続けて、落とし込み釣りを再開した。
18時前に46cmチヌを捕獲
17時前、サオ先にわずかな感触があったが、アワセのタイミングを逃して、またしてもエサだけがかすめ取られた。当たりエサだったパイプ虫の貴重なアタリを2度も逃して、ここで使い果たしてしまった。焦る気持ちが募る中、イ貝の稚貝ダンゴにエサを切り替えて釣り続ける。
置きザオのサオ下サビキは依然として不発状態で、このままでは丸ボウズ同然で終わってしまう。常連がサオを曲げる様を尻目に、時間だけが過ぎて行ったが、18時前に1ヒロ余りで目印が止まった。仕掛けが波止際で引っ掛かったのかと思い、サオ先をわずかに動かすと、モゾっとした感触から引き込みへとかわった。
「きたっ!」とばかりに追いアワセを入れるとフッキングに成功。ついにアタリを捉えた。魚の引きは半端なく強く、なかなか浮かせられない。バラシを恐れつつ、テンションの調節を慎重に行いながらのファイトに挑む。海面に姿が見えた魚体は一目で判る良型。逃すまじと空気を吸わせようとするが、魚は盛んに抵抗し、勢いが止まらない。
それでもロッドワークを駆使し、海面での勢いが止まったところでようやくタモ入れに成功。綺麗な魚体の46cmのチヌを捕獲した。これを機に納竿し、このチヌ1匹とカタクチイワシ3匹が最終釣果となった。
19時の最終便で波止を後にしたが、常連3人は20匹を超えるチヌの束を抱えて船に乗り込んでいて、釣果が無かった釣り人達の視線を釘付けにしていた。数には恵まれなかったものの、釣果は帰宅後の夕食のおかずとして賞味し、釣行の喜びを二度味わわせてくれた。
今後の展望
武庫川一文字の波止際のイ貝の稚貝は着生状況が良好で、6月、7月の落とし込み・ヘチ釣りは順調なトップシーズンを迎えられそうだ。
同時にこの時期はタコエギ、タコジグを使った波止タコの盛期でもあり、さらにここ数年はデカアジ・大サバの回遊の実績もあるので、釣果情報に注目しながら、梅雨の谷間に釣行して釣果を手にしてほしい。
<伴野慶幸/TSURINEWSライター>