技術革新が進む魚介類の養殖で、いま「光」の活用が注目を浴びています。全国的に漁獲量が激減しているアサリや、ヒラメにカレイの養殖現場でも「光」でプラスの影響が出ることが確認されているようです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
なぜ光で育つのか?
この2つの「光を用いた養殖技術」は、似ているようで1つ大きな相違点があります。
アサリの養殖で用いる3色のLEDは、アサリではなく「アサリの餌を育てる」ためのもの。アサリの餌となる植物プランクトンの一種「パブロバ」を培養するために利用されます。
パブロバはアサリを始めとしたプランクトン食の生物にとって好ましい餌である一方、これまでは培養しようとしてもすぐに死滅してしまうという問題点があったといいますが、3色の光をとある比率で繰り返し当てることで、死滅させることなく効率的に培養できるといいます。
一方、ヒラメ・カレイの養殖で用いられる光は、魚そのものに影響を及ぼしています。ヒラメやカレイが生息している水深には、太陽光のうち「緑色の光」が最も届きやすいといわれており、そのため緑色の光を当てると養殖水槽が本来の生息環境に近い状態になり、魚が活発になるのではないかと考えられています。
これら以外にも、特定の魚に対して特定の光を当てることで成長を促進させられる例はいくつか見つかっているといいます。今後もこれらの例のような「光」を用いた養殖技術は次々生まれてくるのかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>