魚にも「右利き・左利き」があった 人間同様に幼い頃に決まることが判明

魚にも「右利き・左利き」があった 人間同様に幼い頃に決まることが判明

水中に暮らす魚には手も足もありませんが、実はヒトと同じように「右利き」・「左利き」という概念が存在しているということをご存知でしょうか。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

魚の「利き」はいつ決まるのか

今回、この魚で行われた実験は「『利き』がいつ体得されるのかについて調べる」というもの。富山大学と名古屋大学、アクア・トトぎふの合同研究チームによって行われたものです。

実験ではまず、稚魚をランダムに選び人工餌で育てます。そして特定の段階(生後4ヶ月、8ヶ月)の若魚、または成魚の段階で初めて獲物である他の魚と対峙させます。そのまましばらく飼育し、利きが行動にどう現れるかを観測していきます。

魚にも「右利き・左利き」があった 人間同様に幼い頃に決まることが判明実験に関する展示(提供:世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ)

鱗食魚は生まれつき、口の向きが左右どちらかに多少傾いています。しかし、生まれてすぐの稚魚にはまだ「利き」は発現していません。生後4ヶ月、8ヶ月の若魚では、捕食行動を行ううちに自分が捕食しやすい方向を把握し「利き」が発現しましたが、成魚では発現しませんでした。

また、若魚は捕食経験を重ねると、水槽に入れてから襲撃を始めるまでの時間が5分の1ほどになり、成功率も上がったのですが、成魚は時間の短縮も捕食成功率の向上も見られなかったといいます。

この実験から「利きの獲得には幼いころの経験が欠かせない」ことが推測されます。研究者は今後も研究を続け「利きの獲得と脳の発達がどのように関係しているのかを解明していきたい」としています。

(参考:富山大学・東海大学研究機構・名古屋大学・世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふプレスリリース 2022.1.14)

<脇本 哲朗/サカナ研究所>