沖縄県で、人よりも大きな「ハタ」の仲間『タマカイ』が水揚げされ、話題となっています。台湾などでは養殖もされているという同魚ですが、どんなサカナなのでしょう。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
沖縄で超巨大ハタが水揚げ
沖縄県読谷村の都屋漁港で今月8日、超巨大なハタの一種が水揚げされ、話題になっています。
全長185cm、重さ116kgと成人男性の平均的なサイズを上回るこのハタは「タマカイ」という種類のものです。当地では「アーラミーバイ」と呼ばれる魚の一種で、定置網に掛かっているのを漁師が発見し捕まえたといいます。
そのあまりの大きさに、水揚げした漁師は「最初は亀かと思ったが、引っ張ったらアーラミーバイだった」と語ったそう。(『大物!「亀かな?」と思ったら…全長185センチの巨大魚を水揚げ』琉球新報 2021.10.9)
タマカイとはどんな魚か
タマカイは、温暖な海を好むハタ類の中でも南方系の種類です。国内では伊豆諸島や小笠原諸島、南西諸島南方で確認されることがありますが、あまり多くはないようです。
最大で3mにもなると言われ、サンゴ礁に生息する硬骨魚類としては最大種であるとも言われます。オセアニアではその大きさゆえに「人食いハタ」として恐れられることもありますが、実際にヒトを食べたという例は確認されていません。
むしろ性質はおとなしく、その大きさゆえに人を恐れないため、ダイビングでは人気の魚のひとつ。また、各地の水族館でも飼育され、その雄大さから愛されているようです。
食用として有望
美味なものが多いハタ科ですが、このタマカイも生息域では食用魚として重要な種となっています。大型ハタに共通する特徴なのですが、タマカイも肉が締まり脂がよく乗り、刺身や鍋物で非常に美味です。
巨大な個体は乱獲で減少していることもあり、保護が行われています。一方で台湾などでは養殖もされており、日本への輸出も少量ながらあります。スーパーで加工用の安価なハタが売られていると、原材料がタマカイということはしばしばあります。
また日本では沖縄で養殖されているほか、同じハタ科で随一の高級魚として知られるクエとかけ合わせた品種が開発されています。クエの美味しさとタマカイの成長速度の速さという両種の良いところをを併せ持つこの魚は、「タマクエ」という名前で商品化されています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>