夏チヌ狙いのフカセ釣り入門解説 朝マヅメは「静か」に「際」を狙おう

夏チヌ狙いのフカセ釣り入門解説 朝マヅメは「静か」に「際」を狙おう

今回は、大胆不敵&警戒心の強い好敵手、夏チヌをどう釣るのか。磯、波止のフカセ釣りでの攻略法を考えてみたい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版 南健一)

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海釣り 磯釣り

夏のチヌ釣り

夏のチヌ釣り。釣り人の天敵は容赦なく照りつける太陽光線。ジリジリと磯を、波止を焦がし、反射する照り返しは身体の水分を奪う。水分補給をしつつ、釣りに向き合わなければならない。磯チヌは沖磯の沈礁を隠れみのにする。

大物を求めて磯に立つ真夏の太陽だけは避けたい。容赦ない暑熱で磯肌はかげろうのようにゆらぐなか、釣り人は日陰もなく、ただただ耐え忍び、魚との出会いを待つ。もう少し涼しくなる秋口まで待てないだろうかねぇ……。

夏チヌ狙いのフカセ釣り入門解説 朝マヅメは「静か」に「際」を狙おう大物に対峙(提供:週刊つりニュース西部版 南健一)

たとえば日陰となる断崖絶壁の西向きの磯とかなら、午前中までなら日陰となる。長崎・大村湾でいえば、横島のタヌキの地磯。西向きの磯は太陽が真上に昇るまでなら、なんとか涼しく釣りができる。とにかく、水分補給は万全に、磯の上で熱中症や日射病になれば大変である。

チヌの生息圏と生態

チヌは波穏やかな内海で人里に近い、人間環境に近い川、真水と海水とが混じり合う汽水域にも生息する。深場に比べれば、はるかに主食とするエサが多い砂泥底の地形があり、生活環境がととのっている。そんな敵の少ない浅海に生活場所を選んだのは、賢明な戦略といえよう。

夏チヌ狙いのフカセ釣り入門解説 朝マヅメは「静か」に「際」を狙おう対馬・浅茅湾で上がった58cm(提供:週刊つりニュース西部版 南健一)

反面、岸壁とか人間の生活圏にすむチヌは、危険を察し、身を守るための警戒心を備え、敏速な行動がとれる身動きの早い魚だといえよう。

夏チヌ

夏チヌとはなんぞや。春夏秋冬のチヌがいて、その時期によって、その行動パターンが違ってくる。海水温度の高い、低いによってすむ環境が違ってくるのだ。海水温度が高ければ深場に下がり、低ければ日中の太陽光が差し込む浅い場に活動する。エサとなるカニ・甲殻類を求めて。

チヌ釣りは軟竿細仕掛けの釣りである。ゆえに注意しなければいけないのが、釣り人の習性としてある、勝ち取る欲望。掛けて、早く魚の正体を見たいという欲望である。掛けて、まずは焦らないこと。それがサオさばきの強弱。

夏チヌ狙いのフカセ釣り入門解説 朝マヅメは「静か」に「際」を狙おうしっかり取り込むまで気を抜けない(提供:週刊つりニュース西部版 南健一)

焦りが生じ、無理が生じ、バラシにつながる原因となる。ため息をついて落胆することになる。必ずサオ、ミチイト、ハリス、ハリ、自分の仕掛けのバランスの限界がどの辺にあるのか、自分の技術を過信せず、ゆっくりどっしりと構えて、確実に取り込みたい。

朝マヅメは静かに

磯に上礁したら、やたらと音を立てない。フェルトタイプの磯グツで、ゆっくり周囲を見渡し、長年培った目で、潮通しがよい、自分のポイントを決めて、仕掛けを作る。

朝マヅメの磯ギワはまきエサもしない。多くのチヌが朝食中で、甲殻類やカニなどを食べていることが多く、磯ギワに寄っているのだ。朝マヅメにピチャピチャとまきエサを打って音を立てると、警戒心の強いチヌは、まきエサに興味を示すどころか、音におびえて離れてしまう。朝の静寂な時は、ほんの少々のまきエサを音を立てないように、パラパラとまく。そして、静かに磯ギワへ仕掛けを落とす。

朝マヅメの食い気が立った時間帯は、デカい大型のチヌが静かな地磯のキワまで寄っていることが多いが、スパイク付きの磯グツでガチャガチャ、まきエサでドボンドボンとやって、追い散らすことが多い。磯ギワから一歩下がって、静かに仕掛けを落とす。ガツンときて、大型のチヌの拾い物をすることが多々ある。

夏チヌ狙いのフカセ釣り入門解説 朝マヅメは「静か」に「際」を狙おう対馬東海岸外海の黒島(提供:週刊つりニュース西部版 南健一)

夏磯は手前に寄せる。特にナギの日、早朝の湾内、水面から湿気が上がっている時、つまり気温が水温より低い時は特にいい。そしてチヌがエサを拾い歩いている間に、しっかりと一日、いや半日、午前中まで粘れる場所、ポイントを決めておくことだ。

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