温暖化に対応した新たな養殖種を見出す動き 新顔の「養殖エビ」たち

温暖化に対応した新たな養殖種を見出す動き 新顔の「養殖エビ」たち

各地で海洋温暖化による不漁や養殖魚の被害が問題になってきていますが、その一方で温暖化に対応した新しい養殖種を見出すということも行われています。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

「クマエビ」養殖実験が成功

神奈川県水産技術センターが、新しい種類の食用エビの養殖生産に成功し、話題となっています。

今回養殖が成功したエビは「クマエビ」と呼ばれる、クルマエビの仲間のエビです。クマエビは南方系ですが我が国の在来種でもあり、神奈川でも少量ながら生息していると考えられています。

温暖化に対応した新たな養殖種を見出す動き 新顔の「養殖エビ」たちクマエビ(提供:PhotoAC)

県では今回、約5000匹の小エビを、海に放流できる大きさまで育てることに成功しました。2016年度から人工的に孵化させ育てる研究をしてきたそうですが、幼生に寄生する危険なカビなどといった脅威もあり、成功までに6年の歳月がかかったといいます。(『温暖化の救世主に…暖かい海に適したエビ生産に成功』テレ朝News 2021.8.11)

高水温に強いクマエビ

なぜ、そこまでしてクマエビの養殖実験を進めてきたのでしょうか。

実は今、温暖化による海水温の上昇が懸念されるなか、全国で様々な魚が捕れなくなってきています。東京湾と相模湾、太平洋という豊かな海に面した神奈川県でもこれは当然起こりうることで、温暖化に対応した漁(養殖業含む)を行う必要性が出てきているのです。

温暖化に対応した新たな養殖種を見出す動き 新顔の「養殖エビ」たち九州では焼海老の原料として高い需要がある(提供:PhotoAC)

今回養殖実験が成功したクマエビは、温暖な海に生息しています。約2年で最大30cmほどに成長し、味や食感はクルマエビと比べて遜色ないとされます。

海水温が上昇しても養殖が可能であるというメリットの他、成長が早く単価も高い高級エビとしての魅力もあるこのエビには、今後の主要な養殖種になる期待がかけられているそうです。

「バナメイエビ」の養殖も

このクマエビに限らず、クルマエビの仲間には温暖な海に適応したものが少なくありません。そしてこの仲間は、世界各地で養殖も盛んに行われています。

その中でも最もポピュラーなもののひとつに「バナメイエビ」があります。バナメイエビは中南米原産の種類ですが、世界的に養殖されており、安価なエビとして人気となっています。

温暖化に対応した新たな養殖種を見出す動き 新顔の「養殖エビ」たち国産バナメイ「白姫えび」(提供:茸本朗)

バナメイエビは我が国にも大量に輸入されており、庶民的なエビとして高い需要がありますが、最近では国内、鹿児島県でも養殖が行われるようになっています。国内産は生食も可能で、歯ごたえの良さや強いエビの風味が楽しめるのが魅力。スーパーの店頭に並ぶこともあり、安価なので見つけたらトライしてみてください!

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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