水中に生息する魚はもちろん餌も水中、あるいは水面に落ちてきたものを狙うことが多いのですが、中には陸上にあるエサを捕食するものもいます。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
「魚による夏祭り」が話題
神奈川県の水族館「カワスイ 川崎水族館」で、いま「さかなたちのカワスイ夏祭り」という企画が開催され、話題になっています。
館内には縁日をイメージしたスペースがあり、その中の特別ブースに、縁日を模した六つの水槽を設置しています。そこにはテッポウウオの「射的」や、ピンポンパールという金魚を水風船に模した「ヨーヨー釣り」など、露天を出し物をイメージした展示が人気を集めています。
またそれ以外にも、盆踊りのように脚を動かすアフリカンロックシュリンプと、水玉模様の魚であるミクロラスボラハナビが泳ぐ「花火大会」の水槽などもあり、10種類の魚が来場者の目を楽しませています。(『縁日をイメージ、魚も夏祭り気分…テッポウウオが「射的」に挑戦』神戸新聞 2021.7.17)
「餌を射落とす魚」テッポウウオ
この企画におけるメインコンテンツのひとつ・テッポウウオ。口から水を噴射し、陸上にある虫などの餌を撃ち落として捕食する性質で広く知られています。
彼らは大きくても30cmほどの小魚ですが、ときに1mほども水を噴射し、水面から遠く離れた場所にいる餌も狙うことができます。また撃ち落とすだけでなく、水面から飛び上がって捕食することもあります。
水中から陸上を見ると、光の屈折率の違いにより本来の位置からずれて見えてしまうのですが、彼らはその屈折率をも計算して狩りを行うといいます。
ほかにもいる! 陸の餌を狙う者たち
テッポウウオのように、餌を「撃ち落として」食べる魚は他には知られていませんが、自ら陸上に上がり餌を捕食する魚はいくつかいます。
中でも有名なのがウツボ。ウツボの仲間はしばしば陸上にある餌を狙って水面から上がってくるところを目撃されます。彼らは波打ち際から岩の上に上がり、ヘビのように移動してカニやヤドカリなどを捕食するのです。
また、ヨーロッパ大陸で最大の淡水魚のひとつヨーロッパオオナマズは、水面すれすれを飛ぶハトなどの鳥を、水面から跳び上がって襲うことがあるそうです。
しかし、彼らが陸にある餌をどのようにして見つけるのかなど、詳しいことはよくわかっていないようです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>