伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「流れ川のドボン釣り」。厳寒期こそ、高活性の魚が狙える流れ川がオススメ。となればドボンはぜひともマスターしたい必釣法だ。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース・伊藤さとし)
垂直と斜めの相違点
いきなりですけど”垂直ドボン”と”斜めドボン”って、どちらが有効的なんでしょうか?それに”中通し”と”外通し”おそらく永遠のテーマだと思うのですが、実際のところはどうなんでしょうか?
「垂直とは、つまりオモリとウキのバランスが極端にズレているからこそ起こる現象だよね。オモリ量に対してウキの浮力が軽いから、仕掛けは沖めに沈み込む。反対に負荷がほぼ同一なら、オモリ(ウキよりも下の仕掛け)はウキの真下に入り込もうとする。ゆえに垂直に近い状態になる」
それはおバカな記者でもわかります。でもどちらがいいのか、伊藤さん的に見解はありますか?
「どうなんだろうね。ボク的には問題はそこじゃなくて、ラインテンションの話だと思うんだけど、どうだろう」
と言いますと?
ラインテンションとアタリ
「要は流れを受けてたわむ道糸のことだよ。流れが速くなればなるほど、道糸は湾曲しやすくなるよね。それとは反対に、高いオモリ負荷のウキほど復元力が増すわけだからウキはオモリの真上にいこうとする。つまりは湾曲が少なくなるよね」
はい、逆にオモリ負荷が低ければ復元力が減るから、ウキはオモリの真上になりづらいですね。
「真上にならないばかりか、水の抵抗に負けて湾曲しやすくもなる。仮に湾曲していないライン(ピンと張った状態)と張っていないラインを比較したら、どちらが食いアタリがはっきり出るかは明白だよね」
はい、湾曲していると、食ったアタリがウキに伝わりにくいです。
「そういうこと。逆の見方をするなら、異常に大きなウキであっても流速に対して適正なオモリ負荷なら、ラインが湾曲してしまうような小さなウキよりもアタリが出やすいってことにもなる」
つまり、たとえ水深が浅くても流れが速いなら、浮力があるウキを使うほうがメリットがあるということですか?
「そうだね。止水域でありがちな常識が、流れ川では通用しない場合があるってことだよ。ただしそれも絶対ではない。小ウキであっても流れが緩ければ湾曲しづらくなるわけだし、前述した斜めドボンにあえてしたほうがアタリが出やすいこともある」
と言うことは、本来必要であろう浮力をあえて殺すのが”斜めドボン”だけど、道糸が湾曲しやすくもある。でもそれを差し引いても、斜めドボンのほうがアタリが出やすいこともあるのですね。
「そういうこと。なぜ斜めのほうがアタリが出やすいのか理屈は正直よく分からないけど、そういう釣りをあえてする人もいる。それに斜めにしたほうが、垂直ドボンよりもウキが手前にくるから視認しやすいってこともあるよね」
でも今の話から想像すると、垂直ドボンのほうが伝達力という点だけ見れば有利ですね。
「それは間違いないでしょう。オモリからウキの距離も、斜めドボンよりも短くなるわけだしね」
中通しと外通し
では中通しと外通しの優劣はどうでしょうか?
「これも何とも言えないね。よくヘドロのきつい底は、オモリが潜ってもラインは潜りづらいから外通しのほうが有利だって話は聞く」
あとオモリ交換が外通しのほうが簡単ですね。
「そうだけどそれもやり方次第でしょう。スナップ付きヨリモドシを使った後付けの中通し仕掛けなら、各種号数のオモリを通した仕掛けをあらかじめ複数用意しておけばいいからね。あと中通しのほうがハリスは絡みにくいよね」
ですね。ただイメージ的に、外通しのほうが仕掛けは止まりやすいと感じます。
「転がらないって点では、たしかにそうかもね」
なかなか結論が出ませんね。
「出そうとするから話がややこしくなるんだよ(笑)。気になるんだったら、両方を試してみればいいだけのことでしょ。どちらもスナップ式にして簡単に入れ替えできるようにすればいいだけのことなんじゃないの」
なるほど。それはそうですね。それにスナップ式で作っておけば、バランス仕掛けのハリスを切って、そこにドボン仕掛けを取り付けるだけで済みますしね。
「そういうこと。ボクの釣友にも、そうやっていくつものドボン仕掛けをスナップ式で作って用意している人がいるよ。オモリの号数もそうだし、遊動幅も変えたりね」
なるほど、いい勉強になりました。ドボンが大好きなので、仕掛け作りを研究してみます。
次回からは「早春の段差の底釣り」です。
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>
越辺川